ナイトショー、ホテル、アトラクション…。何ごとにおいてもゴージャスなことが好きなラスベガス。飲食の分野も例外ではなく、カリスマシェフの店など超一流レストランを探すのに苦労はしない。
一方、庶民的な店は意外と少なかったりする。結果的に食費の予算はオーバーになりがちで、ランチなどはできれば安く済ませたいと思うのが一般庶民の本音だろう。カジノで負けているときならなおさらだ。
そんなときに便利なのがフードコート。ファーストフード店が軒を並べた庶民的なダイニングエリアで、各ホテルにとって中核的な施設ではないものの(安っぽいイメージしかないので、その存在を積極的に宣伝するようなことはしない)、だいたいどこのホテルにも存在している。
今回紹介するのは先月末にリニューアル・オープンを果たしたばかりのシーザーズパレスの “Forum Food Court”。
もともとここのフードコートは他のホテルのものよりもワンランク上の雰囲気が漂い評判が良かったわけだが、それが新しく生まれ変わったというのでさっそく行ってみた。
店舗数は従来の9店から6店に減っていた。そのぶん、座席数が約30%増え雰囲気も洗練されているので、店舗数の減少自体は特に大きな問題ではないだろう。
今回のリニューアルで最も大きな変化は、出店している各店舗の運営形態だ。今までは、すべての店舗がシーザーズパレスの直営店だった。
一般のフードコートにおいては、マクドナルドやサブウェイといった全国的なチエーン店がテナントとして入居しているのが普通なので、全店が直営店というのは非常に珍しい。それがゆえにワンランク上の雰囲気が漂っていたわけだが、今回のリニューアルで直営店はすべてなくなり、全店がチェーン店などのテナントになってしまった。
といってもガッカリするのはまだ早い。スターバックスを除く5店は、世界中に何千、何万もあるようなありふれたチェーン店ではなく洗練された店だからだ。スターバックスも店舗数こそありふれているが、イメージ的にはマクドナルドやサブウェイよりも格上だろう。
というわけで、各店は直営店ではなくなったが、一般のフードコートとは顔ぶれがかなりちがう。
その6店とは、Starbucks、Earl of Sandwich、Smash Burger、Phillips Seafood、Di Fara Pizza、Tiger Wok & Ramen。
この顔ぶれならば、わけのわからない今までの直営の単独店よりもむしろレベルが高く、利用する側にとっても安心感があるのではないか。
個々の店を簡単に説明しておくと、Earl of Sandwich は、サンドイッチの語源にもなったあのサンドイッチ伯爵の末裔が関わって誕生したチエーン店。250年といういにしえの出来事に思いを馳せながら味わうこの店のサンドイッチは格別で、すべてに感動することうけあいだ。(店の歴史やメニューに関しては、このラスベガス大全のバックナンバー 608号に掲載)
Smash Burger は、2007年に誕生したハンバーガー業界の新興勢力。客からオーダーを受けてから調理することをウリにしており、使用している牛肉は原則として高級アンガス・ビーフ。人気急上昇中の知る人ぞ知るハンバーガー店だ。
Phillips Seafood は半世紀以上前からボルチモアやワシントンDCを中心に展開するシーフード店。味のレベルの高さは定評で、今回の出店を機会に西海岸地区への本格的な進出をうかがう。クラムチャウダーが人気。
Di Fara Pizza はこれまた半世紀の歴史を持つニューヨーク・ブルックリン地区のピザ店。シーザーズパレスの社長がお気に入りの店で、チェーン店でもない単独店なのにわざわざベガスに誘致したというからすごい。姉妹店 Dom De Marco’s はすでにラスベガスに進出しており、地元民から人気を博している。
最後は Tiger Wok & Ramen。今回オープンした店が第1号店なので評価はこれからだが、日本人観光客にとっては最も気になる店のはずだ。店名から、ラーメンがあることは当然として、ギョーザ、焼きそば、さらには寿司(巻物のみ)もあるので和食党としては無視できない。味噌や醤油の味に恋しくなった際にはありがたい存在なので覚えておいて損はないだろう。
実際に試食したのは Earl of Sandwich のサンドイッチ2種、Smash Burger のアボカドバーガーと名物のフライドポテト、Phillips Seafood のクラムチャウダー、そして Tiger の豚骨ラーメンとギョーザ。Di Fara Pizza はまだ試していない。
味はどれも問題なく、大きく期待はずれといったものはなかった。値段もすべて $10 以下で、一番高かったものは豚骨ラーメンの $9.99。
残念なのは容器。ファーストフードなので仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、すべてが使い捨ての薄っぺらな容器(ギョーザは紙製のボックス)なので、どんなに味が良くても安っぽさは拭えない。
というわけで、他のフードコートよりも多少格上の雰囲気は漂っているものの、リッチな気分を味わうことはできないので、あくまでもリーズナブルな価格で空腹を満たしたい場合の利用に適している。
なお最後に、たった今「リーズナブルな価格」と書いたばかりだが、ビールだけは異常に高いので要注意だ。このフードコート内のどの店でも買うことができるが、バドワイザー、ミラー、クワァーズなどのありふれたブランドの小瓶が $6.99 もする。これは高級レストランとほとんど変わらない。飲食業界では「ビールはドル箱」とよく言われるが、まさにその通りの価格設定になってしまっているのが残念だ。
営業時間は午前11時から午後11時まで。バーに隣接している Di Fara Pizza だけは、週末深夜2時まで営業することもある。
場所はシーザーズパレスのカジノフロア内で、ローマ・コロセウム劇場の入口の向かい側。
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