SLS の Umami Burger で、名物バーガー 6種類を食べ比べ

※2019夏、SLS から SAHARA へのオーナー変更を機会に閉店

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 2週間前のこのコーナーで取り上げた SLSホテルに関する記事内でふれた Umami Burger について、読者から、さらなる情報を求めるメールが寄せられたので、さっそく試食に行ってみた。(下の写真はSLSホテルのストリップ側玄関)

 Umami Burger は、ロサンゼルス地区を中心に勢力を拡大している高級ハンバーガーチェーン店。2009年開業なので歴史は浅く、まだ約20店ほどしか存在していないが、すでにニューヨーク、シカゴなど、他の地域への展開も決めており、このたび SLSホテルの開業に合わせてラスベガスにも進出した。

 マクドナルドに代表される一般的なファーストフード型のハンバーガー店よりも高級感を出しているところが特徴で、ハンバーガーそのものはもちろんのこと、店舗内のインテリアなども一般ファーストフード店とは一線を画し、またウェイターやウェイトレスがサーブするなど、レストランに近い雰囲気をウリにしている。

 そしてそのインテリアはそれぞれの店舗で独自色を打ち出すようにしており、テーブルもイスも装飾も個々の店舗ですべて異なる。
 一度訪問して気にいってもらえた客に、「別の店舗も見てみたい」という気持ちにさせるのが狙いとされ、とりあえずその戦略はうまくいっているようだ。ちなみに現時点ではフランチャイズ方式を採用しておらず、本部がすべての店の内装を出店のつどデザインしている。

 高級店ということで、価格設定も普通ではない。店舗によって多少のちがいはあるものの、各種ハンバーガーの価格はおおむね $12~$15。マクドナルドなどでドリンクやポテトが付いたセットメニューが $5 前後であることを考えると、いちじるしく高いことがわかる。日本でいうならば 1個 1,500円のハンバーガーといったところか。
 高いことはたしかではあるが、まったく手が出ない値段ではなく、「どんなものなのか一度は食べてみたい」と思わせるその価格設定は大胆かつ巧妙とされており、また、一度の訪問だけで終わらせてしまわないよう各店舗のデザインを変えるなどさまざまな知恵を絞りながら、可処分所得が比較的高いアッパーミドル層のハートをつかもうとするその経営戦略は、業界関係者の間でも注目されている。

 なお Umami という名称から日系企業が絡んでいると思われがちだが、特に日本とは関係ない。ただ、味付けに味噌やワサビが使われたりしているので、創業者の Adam Fleischman 氏が和食に興味を示していることはたしかなようだ。
 ちなみに、うま味は、甘味、酸味、塩味、苦味に続く第5の味覚として、日本人によって発見された味覚成分であり、umami という単語はアメリカでも認知されつつある。

 さて話をラスベガス店(写真)に戻すと、もちろんインテリアなどにはそれなりの特徴が盛り込まれているわけだが、ロサンゼルスに点在する既存店の延長線上にあると考えてはいけない。ハード的にもソフト的にもコンセプトがまったく異なる。
 ラスベガスならではの特徴といってしまえばそれまでだが、この店舗はカジノと完全に融合しており、カジノのすぐわきに位置しているばかりか、店内にスポーツブックが併設されているというなんとも特異な存在だ。(スポーツブックとは、スポーツの試合結果に賭けるギャンブルを取り仕切る施設。下の写真がその様子、9月4日に撮影)

 また、それにともない店内にはおびただしい数のテレビが設置され、当然のことながら音声も飛び交い非常に騒々しい。
 それだけハード的に異なってくると、おのずと店のコンセプトも既存店と同じにはならず、「落ちついた静かな場所でハンバーガーをゆっくり楽しむためのレストラン」ではなく、「自分が賭けている試合をテレビ観戦しながら、ついでにハンバーガーも食べることが可能なスポーツバー」といった感じになってきてしまう。

 さらに屋外のテラスに設置された Beer Garden と呼ばれるセクション(写真)と一体化しているため、もはや雰囲気としてはレストランというよりも酒場に近い。
 もちろんそういった要素は決して悪いことではなく、活気あふれるスポーツバーや酒場といった雰囲気が好きな者にとっては楽しめること請け合いだ。

 そのようなわけで、いくらロサンゼルスで有名だからといっても、その従来型の Umami Burger を体験することを目的に足を運ぶと期待はずれになるので、そのへんのことはあらかじめ承知しておいたほうがよい。
 とはいっても大きく異なっているのは店全体の造りやコンセプトだけで、ハンバーガー自体は同じとされているので、純粋に Umami Burger の味を楽しんでみたいということであれば、この店で何ら問題ないはずだ。
 以下が今回試食してみた人気のハンバーガー6種類とサイドオーダーやビールに対する感想なので、訪問の際は参考にしていただければ幸いだ。

The Original Burger $12
 名前の通り、この店のオリジナルバーガーで、とりあえずこれを食べなければ始まらないといった感じの看板メニュー。最大の特徴はパルメザンチーズを焼き固めて作ったパリパリ感のある Frico が入っているということ。それにシイタケ、トマト、オニオンをメインとした具をカラメル状にしたものの上に、さらに当店オリジナルの特製 Umami ケチャップ・ソースが乗る。生のトマトやレタスのような生野菜は入っていない。この店の中のメニューとしては万人向けで、特にチーズ好きには最適。

The Royale Burger $15
 ショートリブを使った肉も特徴的だが、なんといってもこのバーガーの主役はトリュフ。高価なトリュフがちゃんと使われているのか半信半疑でオーダーしてみたところ、それなりの香りがハッキリ感じられた。やや甘めの特製ソースで炒めたオニオンの感じも良い。肉も申しぶんないレベル。写真がうまく撮れていないため、おいしそうに見えないが、味は十分満足できるレベルにあり、またトリュフが入っているということだけでもリッチな気分になれるおすすめの一品。

Truffle Especiale Burger $14
 写真からもわかる通り、月見バーガーの贅沢版といった感じのバーガー。これにもトリュフが入っていることになっているが、1ドルの価格差でトリュフの量が少なくなっているのか、The Royale と比べると、その香りは薄い。もしかすると、胡麻の香りがすることで知られるアルガラ(ルッコラ)が入っているので、それに負けてしまっているだけかもしれない。また卵の影響か、肉の風味も The Royale より軽い印象。総じておとなしく上品にまとまっており女性好みのバーガーといってよいかも。

B.U.B. $15
 パティが2枚というベーコン入りダブルうま味バーガー。ダブルでも他のバーガーと値段に差がないという意味では、割安感があるといえなくもないが、生のトマトやレタスでも入っていない限り、肉っぽすぎてくどい感じは否めない。ところで、高級なハンバーガー店においては、ステーキのように肉の焼き方を聞かれるのが普通だが、この店ではこのバーガーに限らず、まったく聞かれない。レアで出てきたら、くどさが半減していたかもと思うと残念。

Ahi Tuna Burger $15
 肉の代わりに、生に近いマグロが主役として使われているのがこのバーガーの特徴。日本人にとっては食べ慣れたマグロではあるが、ニンジンの薄切りピクルスのようなモノ(写真内でオレンジ色に見える部分)がマグロとの絶妙なコンビネーションを演出しており、決して平凡ではない味に仕上がっているところが興味をそそられる。ちなみにメニュー内の説明によると、そのニンジンはショウガで漬けたものらしい。アボカド、カイワレ大根、ワサビもこのバーガーには使われている。さっぱり系のバーガーとして、肉に疲れた人にはおすすめの一品といってよいだろう。

Trust Us Combo $21.50
 これは特殊なセットメニューで、日本語でいうならば「おまかせ」。つまり、ハンバーガー、ポテト、ビールのおまかせセットということになり、どのハンバーガーが出てくるかわからず、またポテトのスタイルもビールの銘柄も運ばれてくるまでわからない。写真は、実際にこのメニューをオーダーしてみたら出てきたもので、ハンバーガーはガーリック・アイオリのフレーバーが特徴の Hatch Burger(単品価格 $11)。肉とチーズというシンプルな構成なので、肉をダイレクトに感じたい人にはグッドな選択。ポテトはシナモンシュガーで味付けされた Sweet Potato Fries(同 $4)が選ばれ、ビールの銘柄は失念したが、たしか単品価格 $8 のドラフトビールだった。何が出てくるかわからないという楽しみはあるが、値段的には大したメリットはなさそうだ。

Umami Caesar Salad $8 + $5
 一般的にシーザーサラダはロメインレタスが主体となっているのが普通だが、ここのものはホウレンソウのような色の濃い野菜が主体。メニューによるとベビー・ケールが多用されている様子なので、やはり通常のシーザーサラダとは根本的に異なっている。アンチョビはしっかり乗っかっていた。$5 の追加でマグロを添えることができるとのことなので、そのようにしてみたところ、その数は4枚。高いか安いかは意見が分かれそうだが、このサラダにマグロはどっちでもいいといった感じ。

Thin Fries, Make’em manly $3.5 + $3
 名前の通り、細切りのフライドポテト。それ自体は $3.5 と良心的な価格でありがたい。シンプルに食べたければ、そのままでかまわないが、今回はとりあえず “Umamify” オプションの中の “Make’em manly”($3)というトッピングをオーダーしてみた。出てきたものは写真の通りで、チーズこってりのフライドポテトになって出てきた。味は悪くないがカロリーアップが気になるところ。

Fried Pickles $6
 これも名前の通り、ピクルスを揚げたもの。当然のことながら中身はかなり酸っぱいので、酸っぱい系のものが苦手な人には不向き。味付けはランチドレッシングなので、これもやや酸っぱい系だ。わざわざフライにする必要もないと思われるが、カロリーなど気にしない人が多い当地では、これでいいのかも。極めてアメリカンなつまみといえそうだ。

Tempura Onion Rings $4.5
 「フライ」ではなく「天ぷら」という言葉が使われていると興味がそそられるが、実際に出てきたものはやはり天ぷらというよりはフライ。それでも見かけよりはサクッとカラリと揚がっているので食感は悪くない。なお、味はほとんど付いていないので、一緒に出される4種類のソースにディップして食べることになる。

Boring Salad $4 + $3
 ふざけた名前ではあるが、逆にそれがゆえにどんなものかとオーダーしてみたくなってしまうのがこのサラダ。特になにもないという意味では名前に偽りはなく、本当に退屈してしまうようなサラダではあるが、意外とシンプルで、これはこれでよいのかもしれない。モヤシのような細くて白く見えるものは、たぶん野菜パパイヤの細切りと思われる。なおトッピングの追加オプションとしてチキン($3)をオーダーできる。この写真の左側に見えるものがそのチキン。それはともかく、ドレッシングを選べないのはいただけない。ちなみにそのドレッシングは “chef’s seasonal dressing” となっている。

Try a Flight $14
 この店はビアガーデンと一体化しているためビールの種類は豊富。どれをオーダーしたらよいかわからない人のために用意されているのがこの Flight で、約140ミリリットルのビールが4種類運ばれてくる。ビールリストの中から好きなものを選ぶことが可能なので、ビール好きにとっては楽しいかもしれない。ただし、この店に存在しているどんなビールでも選べるというわけではなく、選択の対象となっているビールは10種類のドラフトビール。

Frozen Kirin Lager $8
 キリンという言葉がメニュー内にあると、なんとなく応援したくなってしまうのが日本人の心理というもの。何も考えずにオーダーしてみたところ、これが大失敗。日本でも目立ってきているフローズンビールではあるが、これはやはりよろしくない。凍る際に炭酸や味の成分が泡のほうに移動してしまうためか、それとも口の中が、凍った泡の冷たさに慣れてしまうためかよくわからないが、凍った泡が解けてなくなると(あるいは飲んでなくなると)、残ったビールは生ぬるく、気の抜けたような味気ないビールになってしまいまったくダメ。キンキンに冷えたビールと凍らせたビールは別物と考えたほうがよさそうだ。ちなみに写真の左側に見えている Bud Light のボトルはこのフローズン・キリンとは無関係。

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