超一等地に、スターシェフ GIADA の店がついにオープン 【後編】

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 今週も引き続きイタリアン・レストラン GIADA について。
 店の立地環境やシェフ Giada De Laurentiis(写真上)に関してはすでに先週ふれているので、今週は、実際の利用方法などについて書いてみたい。

 基本的には他の高級レストランと同じと考えてかまわないが、この店の利用に際して、あえて知っておいたほうがよいのは、とにかく会話をする場面が多いということ。つまり、さまざまな場面において、ひんぱんに相手から話しかけられる。
 それもそのはず、GIADA の方針という以前に、この店が入居するホテル・クロムウェル自体が「ブティックホテル」を標榜し(それに関しては、この週刊ラスベガスニュースの902号で紹介)、対話型の手厚いサービスをウリにしているからだ。
 クロムウェルは客室数が 200にも満たない小さなホテル。3,000室規模の大型ホテルが当たり前のラスベガスにおいては極めて異色の存在で、その小規模であるがゆえの特徴を前面に押し出そうとしている。

 たとえばこのクロムウェル(写真)にはどこのホテルにもあるセルフパーキングがない。すべてバレーパーキングになっているため(セルフとバレーの違いなどに関しては、基本情報セクションの[駐車場] の項に掲載)、レンタカーなどで乗り付けると、正面玄関前でスタッフが迎えてくれることになる。さらに車を預けたあともドアマンが挨拶。

 入館するときだけではない。GIADA の受付でも数人のスタッフが笑顔で歓迎。さらに席まで誘導する案内係もレストラン内を簡単に説明しながら、あれこれ話しかけてくれたりする。
 また着席したあとも、担当ウェイターによる各料理に対する念入りな説明はもちろんのこと、他のスタッフもときどき声をかけてきたり、さらに食事中に店長までもが挨拶にやって来る。
 そういったおもてなしに対する調査も怠っていないところがこの店の真骨頂で、食べ終わったあとの精算の際、客は、小さなタブレット端末に入力する形で、受付嬢、ウェイター、店長など各スタッフの仕事ぶりを評価できるシステムになっている。

 とにかく会話の機会が多くなるので、英語が苦手という場合は始めから避けておいたほうがよいかもしれない。
 ちなみに取材時、少し離れた席にいたアジア人と思われるカップル客が(日本人かどうかは不明)、ウェイターなどの説明に対して、笑顔ひとつ見せることなく無表情で対応しており、そのテーブルのまわりには気まずい空気が流れていた。
 通常の高級レストラン以上に、明るく楽しい賑やかな雰囲気に包まれたダイニングルームなので、たとえ会話が通じにくくても、笑顔で対応するなどして、その場の雰囲気を壊さないようにする心がけは必要だろう。

 さてここからは料理の話。メニューは、ランチタイムとディナータイムで大きく異なる
 まずはランチタイムから。料理の種類としてはそれほど多くない。アペタイザーやサラダ(写真上)以外には、ピザ、ハンバーガー、サンドイッチのたぐいが中心で、ゴージャスな本格的な料理はほとんどないと考えてよい。
 とはいえ、そこは人気シェフ GIADA が監修している店だけあって、単なるピザやハンバーガーではなく、彼女独自のオリジナルメニューがほとんど。そしてそれらメニューに対して多くの場合、細かい選択肢が用意されており、ドレッシングやソースのみならず焼き方(肉系のものが含まれるハンバーガーやサンドイッチにおいては焼き方も指定可能)、さらには付け合わせの野菜の種類なども問われたりするので、ここでも英会話が要求される。

 それらの選択肢がメニュー内に記載されていれば事前に心の準備ができるが、そうでないことも多く、さらにイタリア語での食材の名称だったりするので、知識がないとかなり戸惑う。そういったこともこの店の楽しみといえなくもないが、メニュー内においては少なくとも英語での説明はあったほうがよいと感じた。

 ちなみに恥ずかしながら、「Tenderloin Sliders」(ひき肉ではなくステーキを使った小型サイズのハンバーガー、写真上)をオーダーした際、焼き方を聞かれたあと、「付け合せはアルグラのサラダにしますか? それともズッキーニのなんとか…?」と問われたが、そのなんとかの部分がよくわからず、聞き直してみたものの書き留めなかったため失念してしまった。

 むずかしい単語といえば、「パンナビアンコを持ってきましょうか?」とも言われたが、これまた聞きなれない単語で戸惑った。何のことだかわからないままイエスと答えると、運ばれてきたそのパンナビアンコ(写真上)は、シンプルな見かけによらずかなりの絶品。ピザのようにも見えるが、食感はもっとふんわりした感じで、インド料理のナンとピザの中間のような歯ごたえだった。
 ちなみにこのパンナビアンコは、日本でいうところのいわゆる「お通し」なのでメニューには掲載されていない。

 ランチタイムメニューの中のかなりの種類を試食してみた限りでは、総じて高いレベルにあり、どれをオーダーしても大きく外れるようなことはないという印象を受けたが、それら料理のすべてを個々にコメントしていたのでは長くなってしまうので、あえて「これは大したことがなかった」と思えたものだけを簡単に列挙しておきたい。
 パスタと称される数少ない料理が「G’s Baked Pasta」(写真上)。これは小さな器に入ったラザニアのようなパスタ系料理の表面をオーブンで焼いたものだが、味的にも量的にも平凡かつ貧弱だった。スープの「Pasta e Fagoli」も、特徴がない味で、印象に残るようなものではなかった。

 デザート類も期待しないほうがよいだろう。「イタリアのデザートはこれが普通」と言われてしまえばそれまでだが、総じてこってりしており、日本人の一般的な味覚からはかなり甘く、食感もずっしりと重い。ティラミス(写真)などはまさにその典型で、サイズは大きくないものの、こってりしすぎで、多くの人は食べきれないのではないか。
 このように書くと、「ダメなものばかり」という印象を与えてしまうかもしれないが、そういうことではない。ダメだったものだけを書き出しているだけで、その他の大部分の料理はすばらしいので安心してよい。

 あまり細かく書いていると長くなりすぎるので、ここからはディナータイムに話を移す。
 ランチタイムとは異なり、興味深いメニューがたくさんあるので、いろいろ食べてみたくなることだろう。実際にあれこれ試食してみた限りでは、やはりどれも総じて高いレベルにあり、後悔するようなものはほとんどないと考えてよい。
 逆にデザート類はランチ同様、かなり甘くてヘビーなものが多いので残念だ。後述するセットメニューをオーダーすると、ワゴンで運ばれてくるすべてのデザート(その日は約10種類、写真上)を好きなサイズ、あるいは好きな数だけ食べることができるが、全滅に近い状態といった感じで、とにかくデザートはほとんど期待できない。

 ちなみにメニュー内で、各料理名の先頭部分に g のマークが付いているアイテムは本人 Giada のお気に入り料理、ハートマークは前号で登場した叔母 Raffy のお気に入り、そして映画フィルムのマークが付いているものは同じく前号で登場した祖父のお気に入りだ。

 Giada は総じてレモンを多用した軽い味付けの料理が好きということになっているので、そのことを知っておくと、g マークが役に立つかもしれない(上の写真はレモンフレーバーのスパゲティ)。叔母と祖父のマークに関しては、とにかくその料理が好きということで、特に傾向的な意味などはないようだ。

 参考までに彼女の出身地は南イタリアのローマ。7歳という若さでローマを離れているばかりか(ロサンゼルスに移住)、自らの料理を「カリフォルニア風」と言っているので、南イタリアの食文化の影響がそれほど大きいとは考えにくいが、母親や祖母の味覚を受け継いでいる可能性があるので、無意識のうちに南イタリアの料理を踏襲しているのかもしれない。

 一般的に南はトマトなど野菜や魚介類を中心とした料理で、北は肉やクリームなど乳製品を多用する傾向にあるとされる。
 今回の取材で Giada 本人と話す機会を持てたが、彼女としては北や南といったこだわりはないようだ。
 なお最近、有名シェフの間で、日本の料理を取り入れることがトレンドになってきているが、彼女自身はまだ一度も日本に行ったことがないとのこと。(NHKの料理番組に出演していたこともあるが、それはアメリカの番組の吹き替え)

 話があっちこっちに飛ぶが、何をオーダーすべきかわからない場合はすべてがコースになったセットメニューがよいかもしれない。(この写真はラム肉)
 コースメニューの料金は日によって異なるようだが、おおむね $120 前後。デザートが食べ放題、さらには食べた料理のレシピをもらえるなどの特典付きではあるが、金額的にはやや割高になっていることは覚えておきたい。

 なお、料理によってはウェイターから「トリュフを乗せるオプションもありますが、いかがいたしますか?」といったことを聞かれる。
 市価なのでいくらになるかはその場でウェイターで確認するしかないが、今回試食した際のトリュフ(写真)は $25 増しだった。高級食材の代名詞のようなトリュフをたっぷり食べられると思えば、リーズナブルな価格といってよいのではないか。

 営業時間はランチタイムが 11:00am ~ 3:30pm、ディナータイムが 5:00pm ~ 10:30pm、電話は 855-442-3271。
 かなり混雑しているので(特にディナータイム)、予約はしないよりもしていったほうがよい。
 ただし、予約や受付の作業がまだ不慣れなのか、到着順に入れている感じがしないでもないので、とりあえず現場に足を運んでしまったほうが手っ取り早いと思われる。(上の写真において窓の外に白く見えるものはベラージオホテルの噴水ショー)

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