今週は、先月オープンしたばかりで、今ラスベガスで最も注目されているレストラン、いや全米レベルでも話題となっているレストラン「GIADA」を紹介してみたい。(下の写真内の赤い車のすぐ上に見える建物の2階部分が GIADA。クリックで拡大表示)
料理のジャンルは、店側の宣伝文句によると Italian cuisine with California influences。さしずめ「カリフォルニアで進化させたイタリア料理」といったところだが、それ自体はなんら珍しいことではなく、この店が全米レベルで注目されている理由は、なんといっても立地場所とシェフだ。どちらの理由も他の店を圧倒しており、話題になるのもうなずける。
まず立地についてだが、「ラスベガスの繁華街のど真ん中」 の定義を、ストリップ大通りとフラミンゴ通りの交差点、いわゆる通称「フォーコーナーズ」(Four Corners)と呼ばれている場所とするならば、この GIADA はまさにそのど真ん中に一番近い店で、これ以上その交差点に近い店は存在しない。(上の写真のほぼ中央が GIADA)
具体的には、この週刊ラスベガスニュースの第902号で取り上げたカジノホテル「クロムウェル」内の最も交差点に近いセクションからさらに少し交差点側にせり出すような形で新設された構造物内で、その周囲はほぼ全面ガラス張り。店内からはベラージオホテルの噴水ショーも見え、だれもが認めるラスベガス・ナンバーワンの立地条件だ。
この店を監修したシェフがこれまたすごい。日本でいうところの「カリスマシェフ」のアメリカにおける同義語は「スターシェフ」もしくは「セレブリティーシェフ」ということになるわけだが、並み居るスターシェフの中でも飛び抜けて有名なのが、店の名前にもなっている Giada De Laurentiis で、日本以上に「一流の料理人=男性」という概念が根強いアメリカにおいては数少ない女性の料理人だ。(上の写真は Giada 本人。7月16日に店内で撮影)
日本ではあまり知られていない彼女だが、アメリカでは料理人という枠を超えた有名人で、そんな彼女が監修した店となれば注目されるのも無理はない。
ちなみに彼女は全米規模の料理専門チャンネル Food Network や Cooking Channel で自身が主役を務める番組を複数持っているばかりか、地上波ネットワーク大手 NBC局の朝の番組にもレギュラー出演。かつては Food Network が日本のテレビ局の「料理の鉄人」とタイアップして放送していた人気番組「アイアン・シェフ」にも出場したことがある。
テレビばかりではない。オリジナル・レシピのクリエーターとして料理本を多数出すなど、出版界でも活躍しており、さらに、全米規模の大手ディスカウントストア TARGET 社を通じて自身の名を冠したキッチン用品も販売するなど、ビジネスに対しても抜かりがない。
家庭の主婦が料理の世界で活躍というと(実際に彼女は一児の母で家庭の主婦)、日本の人気料理家、栗原はるみさんを思い浮かべる人も多いと思うが、主婦や料理人になる前から派手な環境に置かれていたという意味ではかなり異色のバックグラウンドの持ち主で、「一般家庭の主婦がスターシェフになった」というシンプルな成功物語で語られる存在ではない。
彼女は映画界の大御所一族の令嬢で、彼女の母親はイタリアの女優、母方の祖母も女優、祖父はキングコングなど数々の名作を作った著名映画プロデューサーで、叔母もアーノルド・シュワルツェネッガー主演の「コナン・ザ・グレート」などを手がけたプロデューサー。
一族はイタリア生まれではあるが、そのほとんどは映画の都ハリウッドがあるロサンゼルスに移住。彼女自身も7才のときに移住し、現在もロサンゼルスに拠点を置いている。(上の写真は店内、下の写真は入り口にある受付)
料理の世界とは無縁の家庭に生まれ、現在43才の彼女がこれほどまでに有名になれた理由の一つに家庭環境があったことは否定しがたい事実だろうが、料理の知識や経験がまったくないまま親の人脈や知名度だけで名声を築いたわけではない。
祖父が料理の世界に造詣が深かったこともあり、彼女自身も若い頃から映画よりも料理に興味を持つ機会を得て、地元ロサンゼルスの UCLAの人類学科を卒業の後、パリにある世界的に有名な料理学校 Le Cordon Bleu に入学。さらにロサンゼルスに戻ったあとも、ハリウッドスターが集まるレストランとして名高い Spago(スターシェフ Wolfgang Puck 氏の店)にて修行を積みながら腕を磨いた。
そんな彼女自身が監修し、自分の名前を冠した初めてのレストランがこの GIADA。レシピ本からキッチン用品まで手がけて来たこれまでの経歴からすると、今まで一軒も持っていなかったのが不思議なくらいだが、それだけ忙しかったということだろう。(写真は、この店のピザのセクションを取り仕切る彼女の弟子たち)
さて気になるのは実際の料理。待望の1号店ということで、メディアの取り上げ方も半端ではないが、はたして味のほうはどうか。
結論としては、いろいろ試食してみたので中には今ひとつと思えるような料理もあったが、他のイタリア料理店と比べると総じてレベルが高いという印象を受けた。
彼女の家族の話など前置きが長くなりすぎたのと、予約方法、オーダー方法、店内へのアクセス、駐車場、さらには個々の料理などに関してはそれなりの説明が必要と思われるので、中途半端のままいきなり終わってしまう感じになってしまうが、今週はここまでで、続きは来週ということにさせていただきたい。
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