業界初、州外リンクのプログレッシブ・マシン Powerbucks

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 スロットマシン製造の最大手 IGT社(本社ネバダ州)が今年4月に発表したプログレッシブ型スロットマシン「Powerbucks」(写真上)が、ニュージャージー州、サウスダコタ州に続き、このたびネバダ州(ラスベガスがある州)でもデビューを果たしたので紹介してみたい。

 プログレッシブ型スロットマシンはこれまでにも各州で存在してきたが、この Powerbucks は新法令に基づく Multi-state Wide Area Progressive(複数の州にまたがる広域プログレッシブ)という新規格のマシンで、もちろん業界初。メーカーにとってもユーザーにとってもまったく新しい注目のマシンだ。

 と書いても「プログレッシブ型スロットマシン」が何であるかを知らない人にとってはさっぱりわからないはずなので、まずはその説明から。
 プログレッシブ型スロットマシンとは、ジャックポット(たとえば “777” などが並んだ場合の高額の特別賞)の賞金額をあらかじめ決めることはせずに(最低保証額だけは決まっている)、積立方式によってその金額を決定するスロットマシンのこと。
 そしてその「積立方式」とは、同じ機種のマシンを複数(数十台の場合もあれば数百台の場合もある)連動させ、それらすべてのマシンに刻々と投じられる賭け金の何パーセントかを自動的に積み立てていき、だれかがどこかの台でジャックポットを出した際、その者がその積立金のすべてをボーナスとして受け取れるという方式のこと。
 積立金がその時点でいくらになっているかは、そのマシン自身に電光掲示されているのですぐにわかる。(上の写真はプログレッシブ型スロットマシン Megabucks 機において、積立金が 3700万ドルを超えたときの様子)

 このプログレッシブ型マシンには、そのカジノ内に設置されたマシンだけをリンクさせたインハウス型と、他のカジノのマシンもリンクさせた広域型があり、広域型の場合、系列ホテルのカジノのマシンだけをリンクさせた社内ネットワーク型と、不特定多数のカジノをリンクさせ第三者が管理する広域ネットワーク型がある。(上の写真は広域ネットワーク型の代表的な機種 Wheel of Fortune 機
 日本円で1億円を超えるような大型ジャックポットなどでしばしば話題に上るマシンのほとんどは広域ネットワーク型だ。ただ、広域ネットワーク型の場合においても、各州によって規則や税制などが異なるため、州を越えてのリンクは、これまで長らく認められていなかった。
 ところが 2013年11月、州を越えてのリンクの解禁を求める法案が提出され、2014年4月、めでたくその法案が通り、ネバダ州、ニュージャージー州、サウスダコタ州などの間で州外リンク型のマシンの設置が始まった。今回紹介する Powerbucks はその第1号ということになる。

 一連の法改正に積極的に動いたのはIGT社であることは言うまでもない。同社は Megabucks や Wheel of Fortune を始めとする数々のプログレッシブ型マシンのメーカーだ。
 しかし、デビュー後の年数の経過とともに飽きられてくる機種も目立ち、ここ数年、撤退する機種があとをたたないことから、メーカーとしては新しい展開が求められていた。
 そんな状況での今回の法改正。大いに期待がかかっていることはいうまでもないが、それはメーカーだけではない。ユーザー、つまりスロットマシンのプレーヤーも期待を寄せている。(上の写真は Powerbucks のボーナスゲームの部分のパネル)

 どこの州でもその機種を楽しむことができるという利便性はもちろんだが、この Powerbucks に関して言えば、「ジャックポットの権利が賭け金の大小にかかわらずある」という設定になっており、これは特筆に値するのではないか。
 なぜなら、従来のプログレッシブ型マシンの場合、その機種で賭けられる最大の賭け金でプレーしない限り、たとえジャックポットのマークが的中ラインに並んでも、積立ボーナスを受け取る権利がなかったからだ。今回の Powerbucks の場合、最少賭け金のプレーでも、的中確率は低くなるものの、受け取る権利があるというから、プレーヤーにとっては画期的な機種といえるだろう。
 またジャックポットの出現率自体も IGT社の従来機に比べて高まっているというから、これもプレーヤーにとっては朗報だ。(ただしその数値が公表されているわけではないので、その真偽は確認できていない。また出現率が本当に高くなっていたとしても、マシン全体における控除率もしくは期待値はほとんど変わっていないと思われるので、そのへんの事情は理解しておく必要がある)
 さらに、法整備の進展とともに、ゆくゆくはネットの世界にもリンク、つまりオンラインでも楽しめるようにするというから、スロットファンにとってこの Powerbucks は新時代の幕開けといってよいのではないか。

 マシンの脇に掲示されている IGT社の宣伝文句(写真)などによると、「100万ドルのジャックポットが一番よく飛び出す機種」とのこと。(この機種の場合、ジャックポット的中者が現れた直後の積立金のリセット金額は 100万ドル)
 もちろん飛び出す回数が本当に従来機の2倍、3倍になっていたとしても、複数の州にまたがり、設置台数やプレーヤーの数も2倍、3倍になっていれば、ほとんど意味が無いことになるが、興味がある者はあまり細かいことを考えずに、挑戦してみるとよいだろう。少なくとも、リセット値が 1000万ドルで、年に一度飛び出すかどうか程度の出現率の Megabucks よりも出現率は高いはずだ。
 つまりこの Powerbucks は、「ジャックポット金額は Megabucks の10分の1でも、出現率は10倍ほど高くなっている機種」 と考えれば理解しやすいかもしれない。それでも Megabucks とは1回ごとの賭け金が異なるので、少額の賭け金の場合の出現率などまで考える必要があり、実際のところはかなり複雑そうだ。
 また、リセット値がこの機種に近い Wheel of Fortune と比べてどうなのかという議論も出てきそうだが、どちらの機種が有利なのか、これまたよくわからない。

 未知の部分が多い機種ではあるが、とにかく新しいものに挑戦してみたいという人はぜひプレーして、吉報を知らせて頂きたい。
 「ジャックポットなど、そう簡単に当たるわけがない」と思っている人、それはほぼ事実ではあるが、絶対に当たらないわけではない。実際にここの読者で当てた人もいる。(そのときの様子は 、この週刊ラスベガスニュースのバックナンバー 第544号に掲載)

 プレーできる場所は、現在この Powerbucks は Caesars 社および Boyd Gaming 社系列のカジノホテルにのみ設置されているので、どこにでもあるというわけではないが、たくさんあるので特に探すのに不便はないはずだ。日本人観光客の大多数が宿泊するストリップ地区で設置されているカジノホテルは以下のとおり。
Caesars Palace、Paris、Bally’s、Flamingo、Planet Hollywood、Harrah’s、Rio、Cromwell、Quad (Quad はまもなく LINQ に名称変更)。

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