11月25日、ダウンタウン地区に、小さな専門店や飲食店が軒を並べるユニークな施設「コンテナパーク」がオープンした。(上の写真は入口付近の様子)
その名の通り、貨物輸送で使うコンテナを組み合わせて完成させたパークで、子供が遊べる広場や野外音楽ステージもあるなど、老若男女が楽しめるエンターテインメント・スポットとなっている。
(実際にはすべてが本物のコンテナで構成されているわけではなく、コンテナに似せて造られている部分もある)
パークという語感から、それなりに広いスペースを想像してしまうかもしれないが、サイズ的には約100m x 50m ほどの敷地に収まっており決して広くはない。
それでもその適度なサイズが、直線と金属という冷たい素材で囲まれた荒削りな空間を、温かく楽しい雰囲気に転換させるのに役立っており、狭いながらも必要十分な広さといってよいだろう。
さて、なぜこんな施設ができたのか。それは、かつてマフィアの弁護士を務めたことで知られる前ラスベガス市長オスカー・グッドマン氏の提唱の元、シューズのオンライン販売大手 Zappos.com(現在はアマゾンの傘下)の創業で財を成したトニー・シェイ氏らが中心となって進めてきた広域ダウンタウン地区の再開発プロジェクトの一環で、実際にシェイ氏は3億5000万ドル(350億円)を一連のプロジェクトに出資している。
ちなみに Zappos 社は長らくラスベガス近郊のヘンダーソン市に本拠地を構えていたが、ダウンタウンにあったラスベガス市の行政機能の移転に伴い、不要になった旧市庁舎を丸ごと買い取ることに。
そして本年の夏、同社は本社機能も含めたほとんどすべての部門をヘンダーソンから旧市庁舎に移しており、1000人を超える社員の衣食住、とりわけ飲食店不足の解消など、ストリップ地区に押され気味で寂れかけていたダウンタウン地区の活性化は、社員のためにも急務だった。
そのような背景で誕生したコンテナパークは、観光客はもちろんのこと、Zappos 社の社員のための憩いの場になることも想定されており、今後の成り行きが注目されている。
施設内の具体的な内容は、アパレルやアクセサリーなどのファッション関連のショップが10店、家庭雑貨およびアート関連が9店、レストラン、ファーストフード、バーなどの飲食店が10店、美容院その他の専門店が数店、それに前述の子供向けの広場と野外ステージで構成されている。
ちなみに広場の中央にあるコンテナを垂直に立てた遊戯施設およびその滑り台(写真上)は、おとなも利用可能で、もちろん利用料などは一切ない。
各店舗は、コンテナのサイズということで非常に小さく、個人商店の域を出ていないが、それが逆に、全国チエーン店で席巻されたありきたりの商業施設にはない小洒落た雰囲気を醸し出しており、独自のコンセプトの形成という意味では成功しているといってよいだろう。
ただ、食品スーパーやディスカウントストアのような日々の必需品を売っている店がないため、飲食以外の目的では、何度も足を運びたくなるような施設ではなく、集客を不安視する関係者も少なくない。
事実、その部分の懸念から、計画は紆余曲折があり、完成にこぎつけた今でも意見の対立などが地元メディアで報道されたりしている。始めてしまったからには何とか成功してもらいたいものだ。
場所は、老舗カジノホテル「エル・コルテス」のすぐ目の前。電飾アーケード「フリーモント・エクスペリエンス」からも徒歩でアクセス可能。
営業時間は朝9時から夜11時にしたいとしているが、正式にはまだ決まっていない。
実は今回の開業、いわゆる「ソフトオープン」と呼ばれる仮オープンで、すべては試行錯誤の試運転状態となっており、営業時間のみならず、この写真に見られるような大道芸人の起用に関しても、しばらく様子を見てから決めるとのこと。正式オープンは 12月5日を予定している。
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