当地ラスベガスのカジノでは、ルーレットやスロットマシンなど一般的なカジノゲームのみならず、スポーツの試合にも賭けられることは多くの人が知るところ。
対象となるスポーツは野球、アメフト、バスケ、アイスホッケーなどの4大プロスポーツは言うに及ばずボクシング、ゴルフ、テニス、サッカーなど多岐に渡っており、カジノ内にあるスポーツブックと呼ばれる場所で賭けることができる。
世界各地のスポーツイベントを実況中継するための大小さまざまなテレビ画面や払い戻し倍率(オッズ)などを示す電光パネルが所せましと並んでいるので、スポーツブックの場所を見つけるのは簡単だ。
さて、今アメリカで注目されているのはメジャーリーグ野球のワールドシリーズであることはいうまでもない。
アメフトと比べると人気が落ちてきていると言われがちな野球ではあるが、今年は西海岸と東海岸の名門チーム、ロサンゼルス・ドジャース と ニューヨーク・ヤンキースの対戦ということで例年になく盛り上がっている。
ドジャースには大谷翔平選手がいるということで、日本でも大いに注目されているようだが、日本の野球ファンにとって気になるのは、ラスベガスのカジノでの両チームの評価だろう。つまりどっちのチームが優勢と見られているかだ。
それは賭け金に対するオッズで簡単にわかるわけだが、結論から先に書いてしまうならば、ドジャースが優勢と見られている。(ただし最後まで読んで頂ければわかるが、必ずしもドジャースが優勢とは限らない可能性がある)
たとえば第1試合(7試合制)の勝利チームを当てる賭けのオッズは写真からもわかるとおり以下のようになっている。
ヤンキース +115
ドジャース -120
このプラス・マイナスの符号が付いたオッズ表示はアメリカのスポーツブックの伝統的な手法で、日本人にはわかりにくいかもしれないが、プラス符号は単純に 100ドル賭けて的中した場合の払戻額を表している(あくまでも倍率表示なので、必ずしも100ドル賭ける必要はない)。
つまりヤンキースに 100ドル賭けてヤンキースが勝った場合は 115ドルが払い戻されることになり、もともとの賭金も含めれば 215ドルが戻って来る。
マイナス符号の意味は少々変則的で「100ドル勝ちたければ、この金額を賭けてね」という意味で、ドジャースに賭けたい場合、120ドルを賭けて的中した場合 100ドルが払い戻される、つまり賭金も含めれば 220ドルが戻って来る。
このプラス・マイナスの倍率表記を一般的な倍率に書き直すと以下のようになり、ドジャースのほうが優勢と評価されていることがわかる。
(カッコ内は賭金も含めた払い戻し倍率)
ヤンキース 1.15倍(2.15倍)
ドジャース 0.83倍(1.83倍)
その他にもさまざまな賭けが用意されており、たとえばワールドシリーズにおける MVP選手のオッズは以下のようになっている。(おもな選手のみ掲載)
+225 Shohei Ohtani
+700 Mookie Betts
+450 Aaron Judge
+450 Juan Soto
+800 Giancarlo Stanton
+2000 Max Muncy
+4000 Tommy Edman
+15000 Y. Yamamoto
カジノでも大谷選手が高く評価されていることがわかる。ちなみに山本投手に100ドル賭けて的中したら 15,000ドルになる!
優勝チームを当てる賭けも用意されていることは言うまでもない。
以下は、単純にドジャースかヤンキースかを当てるのではなく、何試合目で決着を付けて優勝するかを当てるオッズだ。
カジノでは、「6試合目でドジャースが優勝を決める」というのが一番あり得そうと読んでいるようで、それは4倍。
一番あり得なさそうなのが「ヤンキースの4連勝ストレート勝ち」で12倍であることが読み取れる。
その他にも7試合制のシリーズ中に
「満塁ホームランが出る +200」
「延長戦の試合がある -110」
「トリプルプレーがある +8000」
「ノーヒットのゲームがある +8000」
「どの試合でも最低1本の本塁打 -275」
などが用意されている。
きっとここの読者は多くは大谷選手がいるということでドジャースを応援しているのではないか。
だとすると、この以上の評価を見て安心しているかもしれないが、冷静に考えるとオッズの差ほどはドジャースが優勢ではない可能性もある。
なぜならこれらのオッズはラスベガスのカジノが付けたオッズであり(ちなみに今回紹介したオッズはすべて在ベガスのウェストゲートホテルのカジノが発表した数値)、ラスベガスは西海岸エリアに位置している都市だ。
当然のことながらラスベガスを訪れる観光客の多くはロサンゼルスなどからの来訪者であり(ロサンゼルスからラスベガスは陸路でアクセス可能。他の大部分の都市からは空路)、さらにラスベガスの住民も含めると、当地のカジノで賭ける人の多くはドジャースを応援していると推測される。
だとするとカジノとしてはどちらのチームが勝っても損をしないようなオッズを付けるので、ドジャースの倍率が低くなりがちであることは容易に想像できる。
というわけで、オッズを見てドジャースが優勢だと安心するのはまだ早いかもしれない。はたして結果はいかに。