過去記事とほぼ同じ内容になってしまうが、今年もまたスーパーボウルの季節がやってきたので、それについて書いてみたい。
(下の写真は、スポーツの試合結果にお金を賭ける場所「スポーツブック」の会場)
「スーパーボウル」とは、プロフットボールリーグ NFL のチャンピオン決定戦のことで、全米最大のスポーツイベント。開催地は毎年異なり、第52回大会となる今年は 2月4日にミネソタ州ミネアポリスで開催される。
7試合制の大リーグ野球のワールドシリーズとは異なり、1試合だけの一発勝負のためか、その注目度は半端ではなく、もはや冬の風物詩ともいえるアメリカの国民的行事だ。
特にギャンブルの街ここラスベガスでの過熱ぶりはすさまじく、日ごろ賭けごとやアメフトに縁がない者までもがカジノへ足を運ぶ。
カジノ側も元スター選手を招いての大型スクリーンでの観戦パーティーを競って開催するなど、年に一度のビジネスチャンスに余念がない。
チーム名すら知らない者や、ひいきチームを持たない者までもが楽しめるようにさまざまな賭けが用意されており、カジノでは大金が動くことになる。
ちなみに、青少年も観戦する神聖なるスポーツを賭けの対象にすることに対して、主催者である NFL組織が強く反対している関係で、Super Bowl という固有名詞をカジノで使うことが法律論争になりやすく、近年カジノでは右下の写真のように Pro Football Championship など、カジノ独自の表現を使う傾向にある。
今年の対戦カードは「ニューイングランド・ペイトリオッツ 対 フィラデルフィア・イーグルス」。
ラスベガスのカジノでのハンデは、ペイトリオッツが有利と見られており、1月23日時点におけるその数値はマイナス 5.5点。(下の写真はスポーツブック内の電光掲示板)
これは、ペイトリオッツに賭けた者は、ペイトリオッツが 6点差以上で試合に勝たなければカジノでの賭けは勝ちにならないことを意味し、逆にイーグルスに賭けた者は、実際の試合でイーグルスが負けても 5点差以内であれば、カジノでは勝ちになり払戻金を受け取れることになる。なおこのハンデの数値は各カジノのスポーツブックによって多少異なることがあり、また時間と共に変化する可能性もある。
このようなハンデ込みの賭けの場合の払戻金は原則としてどちらのチームに賭けた場合も「イーブンマネー」、つまり賭けた金額と同じ額だけ勝てることになるが、実際にはカジノ側が手数料を取る必要があるので(その率はカジノによって異なるが、以下で示す「マネーライン」でいうところの -105 ~ -115 に設定しているカジノが多い)、100ドル賭けて勝っても 200ドル(賭け金も含めて)が戻ってくるわけではない。多くの場合、110ドル賭けて 100ドルの勝ちとなり、合計 210ドル戻ってくることになる。
以上のようなハンデ込みの賭け方(ポイント・スプレッドと呼ばれる賭け方。右の写真の PS となっている部分)が一般的ではあるが、ハンデなしで賭けることもできる。
たとえばイーグルスのファンなどが、「ハンデなどいらない。とにかく試合に勝つことしか考えていない」という場合は、ハンデなしでイーグルスに賭けることも可能だ。
その場合、上の写真からも読み取れるとおり、現在のマネーライン(ML)は +180。同様にマイナスのハンデなしでペイトリオッツの勝ちに賭ける場合のマネーラインは -220。
この「マネーライン」とは、得点によるハンデではなく、賭け金の増減で実力差を調整しているようなものと考えればわかりやすい。(+ と – は、数字の大小などの意味とはまったく関係なく、単なる記号と考えたほうがよい)
「+180」の意味は、100ドル賭けて的中すると 180ドル受け取れる(自分の賭け金も含めれば 280ドル受け取れる)ことになり、「-220」 は、「100ドル勝ちたい人は 220ドル賭けてください」ということを意味する。
つまり、ペイトリオッツに 220ドル賭けて的中すると、100ドルの儲け、つまり自分の賭け金も含めて 320ドル受け取れることになる。
なお、これらマネーラインの賭けの場合、すでにその数値にカジノ側の手数料が組み込まれているので、それ以上差し引かれたりすることはない。
どちらのチームが強いのか、もしくはどちらのチームが好きか嫌いかなどにまったく興味がない者に人気があるのが、トータル得点に賭ける方法だ。今年のスーパーボウルのこの数値は現在 47.5点。(上の写真内の TOT と示されている部分)
これはどちらかのチームに賭けるというものではなく、両チームの合計得点がこの数値を超えるか(Over)、超えないか(Under)を当てる賭けで、これに賭けた場合、テレビ観戦などでの応援スタイルは、「どっちのチームでもいいから、とにかく早くたくさん点を取ってくれ~!」、もしくはその逆に「点を取るな~!」といったカタチで試合観戦することになる。
配当倍率は、Over も Under も -110 が一般的、つまり 100ドル勝つためには 110ドル賭けなければならない。(カジノによっては -105 の場合もあったりする)
なおハンデにしろマネーラインにしろ合計得点にしろ、その数値はファンの賭け方の偏りに応じて、どのような試合結果になってもカジノが損をしないように日々刻々と変化し得るもので、ここまでに書いてきた数値は固定的なものではない。(参考までに: カジノ側が、ハンデの設定をしくじったり、ハンデの変更のタイミングに対して微妙な試合結果になってしまった場合など、たまにカジノ側が損をすることもある)
したがって、今の時期にラスベガスに滞在予定の者でこれから賭けに参加する場合は、必ず電光掲示板などでそのつど数値を確認してから賭けるようにしたい。
なお、ここまでに説明した賭け、つまりハンデあり、ハンデなし、合計得点、はどこのカジノにもある人気の賭け方だが、それ以外にも各カジノのスポーツブックでは独自のユニークな賭け方をたくさん用意している。
「先攻後攻を決めるコイン・トスで表が出るか裏が出るか」、「どっちのチームが先に得点するか」、「最初に反則をするチーはどっちか」といった当てやすい賭けから、「最終的な得点差はいくつか」、「両チームのタッチダウンの回数の合計はいくつか」といった当てにくい賭けまで、ありとあらゆるユニークな賭けが用意されている。
ちなみに今年のスーパーボウルで話題を集めているユニークな賭けは、シーザーズ系列のカジノが受け付けているアイスホッケーの試合とのコラボレーション賭けだ。
同じ日に開催されるアイスホッケーの試合「ベガス・ゴールデンナイツ 対 ワシントン・キャピタルズ」における合計得点と、スーパーボウルにおける合計タッチダウンの数、どっちが多いかを当てる賭けで、マネーラインはどちらも -115。
同じく、その両試合において、最初にゴールを決めるアイスホッケーのプレーヤーの身長と、最初にタッチダウンを決めるフットボールプレーヤーの身長、どっちが高いかを当てる賭けで、マネーラインはホッケープレーヤーが -150、フットボールプレーヤーが +120。どうやらホッケープレーヤーのほうが身長が高いようだ。(身長は公式サイトに掲載されている数値を利用。ゴールやタッチダウンがなかった場合は払い戻し)
ちょうどスーパーボウルの日にラスベガスに滞在することになっている人は、年に一度のこの国民的イベントに、賭けという形でぜひ参加してみるとよいだろう。ラスベガスならではの貴重な体験になることまちがいなしだ。