今週、いよいよアメリカン・フットボールのプロリーグNFLのレギュラー・シーズンが始まる。
フットボール・ファンにとってはもちろんのこと、ラスベガスの各カジノのスポーツブック(スポーツの試合に賭ける場所。写真上)にとっても待ちに待ったシーズンの到来ということになる。フットボールはカジノにとってドル箱だからだ。
アメリカにおけるプロスポーツといえば、このフットボール(NFL)と、野球(MLB)、バスケットボール(NBA)が3大スポーツで、それにアイスホッケー(NHL)を加えて4大スポーツと呼ばれることもあるが、人気に関しては、少なくともカジノにおけるお金の動きという意味では、やはりフットボールが一番人気だろう。
その理由はいろいろありそうだが、NFLが他のスポーツと大きくちがうところは、なんといっても試合数。レギュラー・シーズンは各チームたったの16試合しかない。野球が 162試合、バスケットとホッケーが 82試合であることを考えると、いかに少ないかがわかる。
過激なスポーツであるため、選手にとっては十分な休養が必要となり、原則として試合は1週間に1回だけ(おもに日曜日に開催)。
結果的に1試合の重みが大きくなり、注目度もアップするためか、カジノでも大きなお金が動くことになる。
「野球だって1試合の重みは軽くても、試合数が10倍もあるから、トータル的には大きなお金が動いているのではないか」と思う人もいるだろうが、統計を見る限り、やはりフットボールが一番のようだ。(下の写真はベネチアン・ホテルのスポーツブックに掲示されているスーパーボウルのオッズ)
ちなみに、カジノを管轄するネバダ州の当局が発表した、2016年のストリップ地区(ダウンタウン地区は含まないという意味)におけるスポーツブック 37ヶ所の各スポーツごとの収益の合計(賭けられた金額の合計ではなく、売上から払戻金を差し引いた収益)は、フットボール 4,627万ドル、バスケットボール 2,667万ドル、野球 1,153万ドルとなっており、フットボールがドル箱になっていることがうかがえる。
(なお、この数字には、プロの試合のみならず、全米最大級のスポーツイベントともいわれる NCAA 大学バスケット「マーチ・マッドネス」など、カレッジの試合も含まれている。アイスホッケーは「その他のスポーツ」として扱われており、個別の数値としては発表されていない)
ただ、この 2016年の数字だけで 「フットボールが一番人気」 と断定するのは早計かもしれない。
なぜなら、賭けられた金額の合計ではなく、収益の数字による比較は、スーパーボウルやワールドシリーズなどのビッグイベントにおけるハンデキャップ(弱いチームにあらかじめ得点を与えるなど)の設定ミスなどによって、カジノ側が大きく損をしたりすることもあり変動が大きいので、各スポーツごとの人気度(賭けられた金額の合計)を公平に比較したいのであれば、単年度だけでなく複数年のデータで比較する必要があるからだ。
以下が過去10年で見た、ストリップ地区のカジノ 37ヶ所におけるそれぞれのスポーツごとの収益の合計だ。
やはりフットボールが人気であることがうかがえる。バスケットもけっこう大きな数字になっているが、これにはかなりマーチ・マッドネスの数字が含まれていそうだ。
というわけで、今週のこの記事は「スポーツブックで一番人気なのはフットボールで、それが今週開幕となる」が結論ということになり、それ以上でもそれ以下でもないが、それだけで終わりにしてしまうのも寂しいので、各カジノから発表されている NFLの今シーズンの年間チャンピオンを決める決勝戦 スーパーボウル の勝者を当てる賭けの現時点における配当倍率を以下に示して終わりとしたい。