愛煙家には厳しいトレンド、全室禁煙のホテルが急増

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 つい先日、「客室内での喫煙が可能なホテルはどこ?」といった質問が寄せられた。夏休みの旅行シーズンを前に、ホテルの予約手配であれこれ悩んでいる読者も多いにちがいない。

 さっそく各ホテルのタバコに関するポリシーを調べてみたところ、予想通り、愛煙家にとってはかなり厳しいトレンドになってきていることがわかった。

 結論から先に書くならば、主要ホテルの約3割が全室禁煙、残りのホテルも「喫煙ルームの数は非常に少ないので、予約時に希望を伝えてくれても、必ずしも喫煙ルームがあるとは限らず、確約できるものではありません」というのが最近の傾向だ。

全室禁煙のホテルが急増  全室禁煙を宣言しているストリップ地区の主要ホテルは以下のとおり。MGM系列のホテルが多いことがわかる。(ヴィダラまでのグリーンの文字の 10ホテルがMGM系列)

 MGMグランド、シグネチャー at MGM、ベラージオ、モンテカルロ、ニューヨークニューヨーク、アリア、ミラージ、サーカスサーカス、ルクソール、ヴィダラ、コスモポリタン、トランプ・インターナショナル、マンダリン・オリエンタル、マリオット・グランドシャトー、エララ・ヒルトン・グランドバケーションズ、ウェスティン・ラスベガス、ジョッキークラブ。

全室禁煙のホテルが急増  ちなみにMGM系列となっているエクスカリバーは、4棟ある客室棟のうち、南側と東側の客室棟が全室禁煙、北側と西側の客室棟のうちの約1割の部屋だけが喫煙可能。同じくMGM系列のマンダレイベイも喫煙室は全室の1割以下とのこと。

 なお、上のリストの中に含まれているコスモポリタンにはバルコニー付きの部屋もあり、そこもとりあえず禁煙となっているようだが、バルコニーのテーブルに灰皿が置いてあったりすることもあるので、屋外だけは黙認している可能性もある。

 その黙認の真偽はともかく、全室禁煙をうたっているホテルにおいては、チェックイン時に、「私が客室内でタバコを吸った場合、私のクレジットカードに除臭作業の費用として 300ドル請求してもらってかまいません」といった内容の同意書に署名させられることが多いので(紙の同意書ではなく、タブレットPCなどの画面に署名)、コッソリ吸おうと思っている者は注意が必要だ。

全室禁煙のホテルが急増  さて愛煙家にとって期待したくなるのが、MGM社のライバルであるシーザーズ系列のホテル。リゾートフィーの導入時や、先週特集した駐車場の有料化など、何ごとにおいてもライバルの逆の方針を打ち出す傾向にあるホテルなので、期待したくなるのも無理はないが、喫煙ルームを必ず確保できると楽観しないほうがよいだろう。

 なぜなら、たしかにフラミンゴやバリーズなどのシーザーズ系列のホテルにおいては、喫煙ルームを確約するようなカタチで予約を受付けているが、喫煙ルームは全客室の1割程度しか存在しないのが現実で、はやばやと売り切れ満室となってしまうことが少なくないからだ。
 したがって、「なにがなんでも喫煙ルームじゃないとイヤだ」という者は、なるべく早い時期に予約行動を起こすようにしたい。

 なぜこれほどまでに喫煙ルームが少ないのか。喫煙者の比率は各国で大きく異なるので、世界中からやって来るラスベガス全体の訪問者の喫煙率はわからないが、各ホテルの喫煙ルームの存在比率が、実際の喫煙者の存在比率に対してかなり少ないことは、まちがいなさそうだ。

 その理由は、火災のリスクはもちろんのこと、家具やカーペットを焦がされることによる修繕コスト、さらには悪臭の除去などの清掃管理コストなど、いくつかあるようだが、最大の理由は、日々の現場における客からのクレーム対応にあるとされる。

 喫煙ルームと禁煙ルームの数をどんなにうまく調整したところで、日々の喫煙者と非喫煙者のバランスが、部屋の比率とピッタリ一致することなど確率論的にあり得ることではなく、結果として、喫煙者が禁煙ルームに泊まらざるを得ないことや、その逆のことは、毎日のように必ず発生する。
 その場合、喫煙者に対して禁煙ルームしかない場合は「申しわけございませんが、カジノで吸ってください」でなんとか済むが、その逆の場合は、非喫煙者から 「臭くて耐えられないので、部屋を替えてほしい」と言われてしまい、このクレームに対する対応は簡単ではない。

 また禁煙ルームそのものを喫煙ルームに切り替えることは簡単だが(灰皿を置くだけでいい)、その逆は除臭作業などが伴うので容易ではなく、「ならば常に禁煙ルームを多めにしておこう」となってしまうのは当然のことだ。

全室禁煙のホテルが急増  そのような事情や、社会一般における喫煙に対する風当たりの悪さなどを考えると、レストランや飛行機の中が全面禁煙になったのと同様、遅かれ早かれラスベガスのホテルのすべてが全面禁煙となることはまちがいないだろう。
 それでもカジノ内だけは、しばらくは喫煙できる環境が維持されるように思える。ギャンブラーに喫煙者が多いため、カジノとしては収益を考えると背に腹は代えられないからだ。

 ギャンブラーあってこそのラスベガス。愛煙家の読者のみなさん、客室内では吸えなくてもカジノ内では吸えるので、とりあえず安心してラスベガスに来てください。

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