帰りのスーツケース内のスペースは、日ごろ着ている衣類や日常品で満たすよりも、非日常品(みやげ物など)で満たしたいもの。
そのほうが旅が楽しくなるし、思い出も増える。だから帰路のために、行きは可能な限り荷物を減らしたい。
少々極端だが、絶対に必要なものはパスポートと現金とクレジットカードぐらい で、あとはどうにでもなる。
物資が乏しい発展途上国や無人島へ行くわけではないので、「現地で何でも手に入る」という前提で荷造りをし、ホテル街に多数存在するドラッグストアやコンビニで手に入るような雑貨類を不必要に多く持って行くことや、客室内にあることがわかっているタオル、シャンプー、コンディショナー、石鹸、ヘアドライヤーなどで荷物を大きくしてしまうことは極力避けるようにしたい。
着るか着ないかわからないような衣類も要注意だ。たぶん着ないことになる。特に冬物はかさばるのでよく考えたほうがよい。
もし到着後の天候が悪く予想以上に寒かったりしても、トレーナー程度でよければホテル内のショップで買うことができるし、徒歩圏内にショッピングモール(写真)がいくつもあるので、いざとなったらコートだって買える。
また夏期は汗をかくのでTシャツなどをたくさん持って行きたくなるものだが、ホテルの客室内で洗って干すことも可能だ。(湿度が非常に低く乾燥しているのですぐに乾く)
もし、どうしてもたりなくなったら買えばいいだけのこと。結果的にそれが良い記念品になったりもする。Tシャツを売るショップなど(写真下)、どこを歩いていてもすぐに見つかるので探すのに苦労はしない。
乳幼児などの子連れファミリー族にとって気になる紙おむつも、かさばるだけにラスベガス到着後の分は現地で調達するようにしたい。(日本のブランドにこだわる場合は持参するしかないが)
ちなみに紙おむつなどの雑貨類は、ホテル街のいたるところにあるドラッグストア&雑貨スーパー Walgreens(写真下)もしくは CVS で買うことができる。ハワイで人気のコンビニ ABC Stores もベガスに進出してきており、存在感で Walgreens や CVS に負けてはいない。
とにかくこれら3店は、多すぎるほど存在しているので、よほど立地条件の悪いホテル(たとえばマンダレイベイ、ルクソール)に泊まらない限り、徒歩圏内にあるので安心してかまわない。
以上のように、あえて日本から持って行くべきものはあまりないが、注意しておきたいこととして、日本のホテルとはちがい、客室内の備品の中に 歯ブラシと歯磨きペースト が含まれていないことだけは覚えておきたい。
これはラスベガスに限らず、アメリカのどの都市のホテルにもいえる一般的な傾向で、これらアイテムは自分で持参することになっている。もちろんホテル内の売店やコンビニなどで買えるものなので、持っていくのを忘れたからといって特に困ることはないが、日ごろ使い慣れた歯ブラシじゃないとイヤだ、という場合は注意が必要だ。
現地で手に入りそうで入らないものの代表格はスリッパ。日本のホテルとはちがい、アメリカの大多数のホテルではこれを客室内に置いていない。ホテル街にあるコンビニやドラッグストアで探すのもむずかしいのが現実だ(サンダルで代用できるが)。
室内でもクツのまま生活するアメリカ人にとっては必要がないのかもしれないが、多くの日本人にとってスリッパはほしいところ。ビーチサンダルなど簡単に手に入るもので代用することも可能だが、どうしてもスリッパがほしいという場合は日本から持参する必要がある。
そのほかでは、持参し忘れて後悔することが意外と多いのが 水着だ。ハワイなどのビーチリゾートではないので忘れがちだが、ラスベガスのホテルにはゴージャスなプールがあり、冬でもジャクージは利用可能。それら施設を使う可能性が少しでもあるならば、水着はぜひ持って行くようにしたい。
もちろん現地調達も可能だが、Tシャツなどと比べると販売店の数も商品の数も少なく、気に入ったものが手に入らない可能性がある。
かさばらない上、シワになっても大丈夫なアイテムだけに、仮に持って行って使わなくても大きな後悔になることはないはずだ。
あとしいてあげるならば、乗り物酔いの薬 が必要な者は(大自然観光などにおいて軽飛行機に乗る予定の者など)、日本から持参したほうがよいかもしれない。なぜなら、ラスベガスでも前述の Walgreens や CVS で簡単に手に入るが(買い求める際は、店員に Motion Sickness、または Moving Sickness 用の Pill などといえば通じる)、アメリカにおけるこの種の薬は睡眠薬の成分が強すぎるのか、日本人の体格が小さすぎるためか、「眠すぎて観光にならなかった」 という話をよく聞くからだ。(日本の製品と比べて実際に成分が大きく異なっているのかどうかは確認していない)
ビジネス出張族などでパソコンを客室内で使用する者は、かつては LANケーブルなどが必要だったが、今では不要だろう。主要ホテルのほとんどにおいて無線接続できるようになっているからだ。
同じくビジネス族などで、コンベンションなどで撮影した写真を取引先の者や現地で知り合った人たちに渡したいという場合、CD-R や DVD-R(写真)などの記録媒体の持参が必須だったが、そんな話は一昔前までのこと。SNSで簡単に送信できたり、クラウドでファイル共有できるようになった今となっては、それらは完全な無用の長物だ。
絶対に必要であるにもかかわらず、うっかり忘れやすいのが 携帯電話やデジカメのバッテリーの充電器。こればかりは機種の違いなどがあり、売店などで簡単に調達できないこともあるので注意が必要だ。調達できたとしても高かったりする。
スマートフォンの充電器はかなり標準化されてきており、街中でも自動販売機タイプの充電スタンドをしばしば見かけるようになったが、客室内での就寝中の充電に比べると、時間と金のムダになるのでそれらに頼るべきではないだろう。
最後は、必要な人にとっては絶対に必要な生理用品とコンドームについて。当然のことながら、アメリカでも生理用品やコンドームは Walgreens や CVS ではもちろんのこと、コンビニでもたくさんの種類が売られている。つまり現地で買い求めること自体、なんら問題はない。
しかし製品に微妙な違いがあるのか、「アメリカの製品はどうもしっくりこない」、「やっぱり日ごろから使い慣れているモノがいい」といった意見もときどき聞かされる。そのような微妙な違いにこだわる場合は、やはり日本から持参したほうが無難だろう。
ちなみにこれは超どうでもいい業界内の余談になるが、アメリカのコンドームは総じて厚いとされる。最近日本で人気の 0.01mm といった極薄タイプの製品はアメリカではまったく人気がないらしい。
以下は日本の業界関係者から直接聞いた話だ。日本のメーカーが、コンドーム業界でアメリカ最大手の Church & Dwight 社(TROJAN ブランドのコンドームの販売元)に、ゴム製ではなく日本が得意とするポリウレタン製の極薄タイプの高級品を売り込んだところ、OEM供給する商談がすんなりとまとまり、とりあえず受注に成功。しかし実際に供給を始めてみたところ、高級品という位置づけで販売してもらえないばかりか、価格を下げてみてもあまり売れていないらしい。
その理由は、アメリカにおけるコンドームは避妊目的よりも(それはピルに頼る傾向にある) 感染症予防として使われることが多いためだという。つまりそういった目的で使用する消費者にとって、極薄の製品はたよりにならないらしい。
TROJAN 側の関係者いわく、「感染症から自分の身を守るという意味では、極薄の製品は不安を感じてしまう。戦車の鉄板はぶ厚いほどいいのと同じで、極薄製品はたよりにならない」とのこと。ところ変われば考え方もちがうようだ。
ちなみに日本メーカーからの OEM供給による TROJAN ブランドのポリウレタン製の極薄製品は TROJAN Supra Bareskin として売られている。あまり人気がないのか、商品棚の片すみにひっそりと置かれていることが多い。
長くなってしまったが、とにかく乏しい発展途上国や無人島へ行くわけではないので、パスポートと現金とクレジットカードさえあればどうにでもなるということを念頭に置きながら、荷造りをするようにしたい。
なお、行きはスーツケースひとつ、帰りは現地で新たに買うのでスーツケースは合計2つ、といったことを想定している人は、パークMGMホテル(元モンテカルロホテル)の向かい側にあるディスカウント店 ROSS (写真)がおすすめだ(サーカスサーカス・ホテルとアンコール・ホテルの間にもある)。品揃えもそこそこあって、値段も安い。みやげ物を買いすぎてスーツケース内にスペースがない、といった場合は、追加のスーツケースを買うという方法があることを覚えておくと便利だ。
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