ラスベガスでただ単に「空港」と言えば、マッキャラン国際空港 のことを指す。(なお、まもなく ハリー・リード国際空港に名称変更になる可能性大)
ラスベガス周辺にはこのマッキャラン国際空港以外にも数ヶ所の空港が存在しているが(空軍基地もある)、それらは自家用機や、たとえばグランドキャニオン・ツアーなどで使用されるような中・小型機用となっており、海外および全米各地からの一般のフライトは原則としてすべてこのマッキャラン国際空港に到着すると考えてよい。
繁華街からの近さも華やかさも世界屈指
この空港の特徴はなんといってもその近さだろう。多くの観光客が滞在するストリップ地区のホテル街の南端付近からターミナルまでわずか 3~4km ほどの地点に位置しており(空港の敷地の西端はストリップ大通りにほぼ接している)、主要都市のメイン空港としては世界屈指の中心街に近い空港となっている。
また、近さのみならず空港そのものもいかにもラスベガスらしく、空港内のいたるところにスロットマシンが置かれている他、広告を始めとする何もかもが非常に派手で、世界一華やかな空港 といっても過言ではない。(あくまでも新型コロナ騒動が始まる前の話ではあるが…)
ただし華やかで活気が感じられるのは、古くから存在している Terminal-1(通称 T1)で、2012年に完成した Terminal-3 は(通称 T3)、まだ利用航空会社が少ないためか、新しく美しい立派なターミナルではあるものの、到着ロビーのバゲージクレーム周辺などは人通りが少なく閑散としていることが多い。
なお、長らく国際線ターミナルとして機能してきた T2 は、国際線機能を有している T3 の完成にともない役目を終え、すでに解体され消滅している。
離着陸数、世界8位の隠れた怪物空港
この空港のすごいところは華やかさや近さだけではない。2016年8月から運用が始まった管制塔の高さ(107m)が全米第2位というのはどうでもいいとして(1位は121mのアトランタ空港)、世界に冠たる大空港であることを忘れてはならない。
都市の規模からすると信じられないようだが(ラスベガスの都市圏人口はわずか約200万人)、以下の一覧表(2019年実績)からもわかる通り、離着陸回数は堂々の世界第8位(約55万回)で、パリのシャルルドゴール空港(13位、48万回)、ロンドンのヒースロー空港(15位、47万回)、東京の羽田空港(19位、45万回)といった大都市が誇る世界的な巨大空港よりも多い。(ちなみに羽田は乗降客数では世界第5位)
ラスベガスよりも上位にランクされているのは、たくさんの滑走路を持つ怪物空港御三家とされるシカゴ、アトランタ、ダラス、それに世界屈指の都市圏人口をかかえるロサンゼルスや北京などで、そのような大空港と渡り合っているマッキャランはまさに隠れた怪物空港といってよいだろう。
ロンドン、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどの大都市には、羽田に対して成田があるように、複数の空港があるため利用者が分散してしまいがちというハンデの存在は考慮すべきだが、それにしてもわずか人口200万人のラスベガスが世界第8位とは驚くべき順位で、人口のわりに来訪者が多いことが裏付けられた格好だ。(コロナ後はどこの都市も順位に大きな変動がありそうだが…)
乗降客数では30位になってしまう理由
一方、乗降客数では世界第30位に甘んじている。これには大きな理由が2つある。
ひとつは、座席数が多くなりがちな大型機による国際線の比率が相対的に低いため(ここ数年、国際線の利用者数は国内線の利用者数の わずか 9~11%)、国際線が多いロンドン、パリ、ニューヨークなどの空港よりも、1機あたりの搭乗者数が少ないということ(写真は中型機 ボーイング737)、それともうひとつの理由として、マッキャラン空港はラスベガスを最終目的地とする利用者が大部分であるのに対して、巨大都市の空港では国際線などからの乗り継ぎ客が多く、それらも乗降客数にカウントされているためだ。
したがって、マッキャラン空港の特徴を簡単に表すならば、全米各都市からの国内線が集結している巨大空港ではあるが、大多数の利用者にとって最終目的地であり、乗り継ぎ需要が多い国際ハブ空港ではない ということになる。
なつかしのノースウェストとJALの直行便
さて、国際線といえば、かつてノースウェスト航空(現在はデルタ航空に吸収合併)と日本航空の 成田からラスベガスへのノンストップ便 が一時期人気があったが、2001年に発生した 911同時多発テロによる旅客需要の急減をきっかけに、ノースウェストは同年にこの路線を打ち切り、また日本航空も 2006年9月にこの路線から撤退してしまった。
現在は、その日本航空の撤退と入れ替わるかたちで 2006年9月に参入した大韓航空のソウルからのノンストップ便が、唯一の「日本人に関係するマッキャラン発着の国際線」としてアジアとラスベガス間をノンストップで結んでいる。(大韓航空は、日本の15都市とソウルの間を結んでいる)
2016年12月から中国の Hainan Airlines(海南航空)が、北京とラスベガスをノンストップで結ぶ路線を始めたので、北京経由でラスベガスに入るという方法もないわけではないが、かなり遠回りになってしまうため、日本人観光客にとっての利便性は高くない。(大韓航空も海南航空もコロナ禍の今は運行停止中)
まちがったトラムに乗ってしまう悲劇
さてこのマッキャラン航空を到着便として利用する際の重要な注意事項がある。それは自分が乗ってきた航空会社の荷物回転台が T1 なのか T3 なのかという問題意識と、飛行機がゲートに到着してからその回転台への行き方だ。
困ったことに、かなりの数の到着客が毎日のようにまちがったターミナルへ向かってしまい、現場であたふたしたり、出迎えの旅行会社のスタッフを困らせている。
T3が 2012年にオープンして以来、このトラブルはまったく減る気配を見せておらず、「いくら待っても旅行会社のスタッフが迎えに来なかった。タクシーでホテルに向かったので金を返せ!」、「いや私はお客様をちゃんと荷物の回転台の前で待っていました!」といった言い争いが絶えない。
ちなみにこのトラブルは、初めてベガスを訪れるベガス初心者よりも、リピーターのほうが起こしやすいという。理由は、ベガス初心者は案内板などを注意深く見ながら進むが、リピーターは以前の記憶に頼ってどんどん進んでしまうからだ。
なぜそのような問題が発生してしまうのか。それは飛行機が到着したゲートで飛行機から降りたあと、人の流れに沿って通路をしばらく進み、そのあとに出くわすモノレール(一本軌道ではないので、正確には「トラム」)に乗ってスーツケースが出てくる場所に向かうことになるわけだが、そのトラムに路線が2つあるためだ。ひとつは T1 行き、もうひとつは T3 行きだ。
そして両者は、同じプラットホームから異なる行き先の車両として出発するのではなく(そうであれば、行き先が2つあることに気づきやすい)、乗り場そのもの、つまりプラットホーム自体がまったく異なった場所に位置しているため、他にも乗り場が存在していることに気づきにくく、自分が乗ろうとしているトラムが正しいかどうかの考えに及ばない。
さらに困ったことに、まちがったプラットホームから乗ってしまうと、保安システム上の理由から、原則として元の乗り場へ戻ることができない。
すなわち、自分のスーツケースが出てくる回転台がどちらのターミナルにあるのか、それを知らずに人の流れに沿って深いことを考えずにまちがったホームからトラムに乗ってしまうと、出迎えのガイドなどと会えないばかりか、スーツケースを取り出すこともできないという悲劇に直面することになる。
一般の日本人観光客に関係してくる航空会社としては、アメリカン航空、デルタ航空、サウスウェスト航空が T1 にある回転台にスーツケースが出てくる。
ユナイテッド航空、アラスカ航空、ハワイアン航空、エアカナダ、ヴァージンアトランティック航空、大韓航空が T3 だ。
(あくまでも 2021年2月時点の情報なので、今後変わる可能性はある)
なお、ヴァージンと大韓航空で到着した場合は、到着ゲートの位置が T3 の建物本体に近いため、トラムに乗る必要はなく、自動的に T3 の回転台に向かうことになるので特に意識する必要はない。
間違ったトラムに乗らないための知識
では、まちがったトラムに乗ってしまわないようにするには何に気をつければよいのか。
それはトラムに関する表示の色分けと、写真内の下に見える長いエスカレーターを降りたあと、よく注意することだ。
このエスカレーターを降りたあと、向かって左側にあるプラットホームから出発するトラムが 青路線でT1 行き、向かって右側(もしくはほぼ真っすぐ)の位置にあるプラットホームが 赤路線で T3行きとなっている。(車両そのものが青や赤になっているわけではなく、あくまでも路線の呼び名)
現場にそれぞれの航空会社ごとのプラットホームの方向が示されているので、それをよく確認しながら進むようにするとまちがいはない。
スーツケースを無事ピックアップしたあとは、旅行会社のスタッフなどによる送迎がない個人旅行の場合、タクシーや UBER でホテルに向かうことになるわけだが、これは比較的簡単で、頭上の案内表示などに従って進めば簡単にわかるようになっている。
また幸いにも前述の通り、この空港からホテル街までは非常に近いため、タクシー料金などの負担が少なくて済む。ただ、遠回りをする悪質なドライバーもいるので油断はできない。
このタクシーや UBER に関しては、この [基本情報] もしくは [市内交通] のセクション内の該当ページにくわしく掲載されているのでそちらを参考にしていただきたい。
- 関連カテゴリー