白い仮面をかぶった役者たちによる一風変わったダンスショー。ストリートダンス、ロボットダンス、ヒップホップなど多彩なダンスと、コミカルな演出が見もの。役者は絶対にしゃべらないので、語学力を気にする必要はない。
公演時刻: 7:00pm と 9:30pm
休演曜日: 火曜日 と 水曜日
チケット料金: $55前後から
ダンスを中心とした一風変わったナイトショー。2012年までモンテカルロ・ホテル(現在のパークMGM)のシアターで開催されていたが、そこに、ブルーマンが移籍してくることになり、追い出される形で、2013年5月、ルクソール・ホテルに移動。さらに 2015年11月から MGMグランドに移動。同時にブルーマンはルクソールに。
モンテカルロ時代と比べ、ショーの内容は大幅にグレードアップされている。その内容を説明する前に、全体像を説明しておきたい。
冒頭で「一風変わったダンス」と書いたが、ダンスといっても、その種類をひとことでうまく表現するのはむずかしく、このショーはストリートダンス、ロボットダンス、ヒップホップダンス、ブレークダンスなどといったさまざまな言葉で紹介されることが多い。
しかし本人たちによると、どれもちがうというか、ひとつのジャンルでくくって欲しくないようで、それらすべてのダンスが含まれていると考えるのが正しいようだ。
マイケルジャクソンのムーンウォークのような華麗な動きから、アクロバットのような激しい動きまで、なんでもありのダンスと考えれば実態を想像しやすいかもしれない。
デビューのきっかけとなったのは、ダンスの腕を競う人気テレビ番組「America’s Best Dance Crew」での優勝で、それを機に、テレビコマーシャルやイベントなどに出るようになり、ラスベガスのショービジネス界とも接触。
短期間ではあるが、MGMグランド・ホテルで公演する機会を得て、それが大ブレーク。
その後、モンテカルロホテルでの常駐ショーとして声がかかり、それを2年ほど続けたのち、ルクソール経由で今日に至っている。
演じているパフォーマーたちは全員男性で、全部で13人。そのうちの半分ぐらいが、その時のテーマに沿った演技をする主役だ。
テーマとは、これまでを例にあげるならば、「PRISM」とか「JREAMZ」といった、1~2年ごとに切り替わる舞台装飾や衣装なども含めた演出のコンセプト。
ここまでの説明だと、いくらダンスの種類が豊富だといっても、単なるダンスショーという印象からは抜け出せないのではないか。
じつはこのショーには大きな特徴がある。それは、すべてのパフォーマーが仮面をかぶっているということ。つまり、自分の素顔は絶対に見せない。
それともうひとつ、しゃべらないということ。ダンス以外の演技においても絶対にしゃべらないので、意思の表現などはすべてパントマイムなど身振り手振りで行われる。
劇場内の放送で英語によるナレーションが流されることは何度かあるが、役者がしゃべらないことだけでも、英語を母国語としない観客にとっては大変ありがたいショーといってよいのではないか。
さてこの2つの特徴、つまり仮面と無言。これは奇しくもモンテカルロ・ホテルから彼らを追い出すことになったブルーマンとまったく同じコンセプトだ。
ブルーマンは仮面ではないが、すべての役者は顔を真っ青に塗り、自分の素顔を見せない。
素顔を隠し、役者の顔のイメージを全員統一するという意味ではまったく同じで、ちがいは色だけ。このショーにおける仮面の色は白だ。(一部の演出で、白と黒のときもあるが)
そしてブルーマンもまったくしゃべらない。さらにいうならば、どちらのショーにおいても、とぼけた表情で観客を笑わせる場面が非常に多いということ。
そうなると、「ブルーマンのマネではないか」という声も出てくるわけだが、たしかにそういった声もあり、デビュー時期のタイミングからすると、ブルーマンを参考にした可能性は十分にありえると考えるのが自然だろう。
仮面を利用することにしたのは、顔を毎日塗る作業がかなりの負担になると考えたからだろうか。
では、ブルーマンとこのショーのちがいは何かということになるが、それはいくつかある。
ブルーマンは踊らない。その代わり音楽を演奏する。逆に JABBAWOCKEEZ は楽器演奏とは無関係。
そのほかの違いをしいてあげるならば、こちらのショーのほうが総じてにぎやか。
つまり、「ブルーマンが静、JABBAWOCKEEZ が動」といったところか。静と動の雰囲気の違いは確実に存在している。
また客層にもかなり違いがあるようだ。日本にも「ダンス甲子園」なるイベントがあるように、アメリカでもダンスにあこがれているティーンエイジャーたちが多いのか、若者の観客が目立つ。
すでに「仮面で素顔を隠す」と書いたが、じつは素顔を見せる。したがってその「素顔の公開」もブルーマンとちがう部分で、このショーでは、エンディングのシーンのあいさつの際、役者全員が仮面を取って素顔を見せてくれる。
ブルーマンは仮面ではないので取ることができないわけだが、このショーにおける生の笑顔でのあいさつは、なんだかほっとするというか、心がなごむ場面だ。
ちなみにダンサーたちの年齢は全員30代とのこと。過激な踊りを披露するだけあってアスリート体型のたくましい男たちが目立つ。
どちらのショーを観るべきかで悩んだ場合の答えは「好みの問題」ということになってしまうだろう。
その「好み」すらわからない場合は、若者は JABBAWOCKEEZ、そうでない人はブルーマン、という判断でよいのではないか。
若者とそうでない人の境目の年齢は、自分が若いと考えるかどうかで決めればよい。
さて、従来の JABBAWOCKEEZ を観たことがあり、最近のバージョンの内容を知りたいという人のために、刷新された部分についてふれておくと、舞台演出全体が総じてカラフルになっているということ。大型ディスプレイや光線を多用するようになった部分も、従来との大きなちがいであり見どころだ。
最後に、JABBAWOCKEEZ というタイトルについて。発音は、すでに日本語としてかなり定着している「ジャバウォッキーズ」で通じると思われるが、現場での発音は「ジャバウァキーズ」に近い。
意味は造語なので特にこだわっていないようだが、 この名称が生まれたきっかけは児童小説「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルが書いた「ジャバウォックの詩」のスペル「Jabberwocky」をわざとひねってみたらこうなったとのことなので、そうなると「ちんぷんかんぷん、意味不明」という意味に解釈すべきなのかもしれない。
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