ミスベガスが高級ナイトクラブ Omnia を徹底解説

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【今週号は、ミスターベガスに代わって ミスベガスが執筆を担当しています】

 またひとつ新しいナイトクラブがオープンしました。10年間にわたり不動の人気を誇ったシーザーズパレスのクラブ PURE が昨年5月に閉鎖されたあと、7,500万ドル以上といわれる巨費が投じられて全面的に改装。今年3月、Omnia Nightclub として生まれ変わりました。
(写真は Omnia のテラス・セクション。右奥に見える大きな建物がシーザーズパレスの客室棟、中央奥に青く見えているのはコスモポリタンホテル、左奥がエッフェル塔とプラネットハリウッドホテル)

 ラスベガスは今やアメリカにおけるクラブ文化の中心地。いや、もう世界の中心地といっても過言ではありません。
 現在のダンスミュージックの本流、エレクトロニック・ダンスミュージック(EDM)の有名な DJ たちの多くが、高額のギャラでラスベガスにやって来ます。昨年秋には、フランク・シナトラやエルビス・プレスリーといった往年の名曲が多く採用されているベラージオホテルの噴水ショーの曲リストにまで EDM が加わりました。

 ラスベガスでナイトクラブが発展した背景には、さまざまな理由があります。
 見本市などが開催されることから、企業のパーティーが数多くおこなわれること、世界各地からやって来る富豪たちが、お金に糸目をつけずにテーブル席(上の写真。安くても数千ドル!)でボトルを開けまくること、そしてクラブはホテル内につくられているため移動距離が短く、たとえ自分が泊まっているホテルでなくとも徒歩で容易にアクセスができるため、飲酒運転の心配がなくお酒をガンガン飲めるということも重要な理由のひとつかもしれません。
 さらに、多くの人が自分の宿泊場所を近くに持っていることから、男の子が女の子をお持ち帰りする場所探しに苦労しないということ、ベガス独自のクラブ環境といわれています。
 そんなこともあり今では Nightclub & Bar Media Group 発表の全米ナイトクラブ売上げランキングにおいて、10位以内のうち7つをラスベガスが占めるまでになりました。

 もちろん開発業者の、良いナイトクラブをつくろうという熱意も見過ごすことはできません。実際、クラブ好きな人たちの評価も高いです。
 クラブカルチャーに最も影響を与えるといわれるイギリスの雑誌「DJ Mag」がおこなう人気投票「TOP 100 CLUBS」で、世界中のナイトクラブの中から MGMグランドの Hakkasan が 3位、アメリカ国内だけをみると 1位を獲得。
 このことはクラブ側でもたいへん栄誉なことらしく、Hakkasan を運営する Hakkasan Group(Wet Republic、Social House などは Angel Management Group(AMG)の傘下でしたが、昨年4月、Hakkasan Group が AMG を買収したためそれらのクラブも運営)は、公式サイトのトップページで告知しています。
 さらにラスベガスのクラブは 21位に LiFE(SLS・米国内 3位)、25位 Drai’s(クロムウェル・同4位)、27位 Marquee(コスモポリタン・同5位)、32位 Surrender(アンコール・同6位)、55位 Light(マンダレイベイ・同10位)が 100位以内にランクイン。
 ひとつの地域で選ばれた数は米国内ではラスベガスが最も多く、次がマイアミの4つ。ちなみに日本からは 48位に Womb が入りました。

 そして来年はまちがいなくこの中にランクインするであろうクラブが今回紹介する Omnia です。運営は先ほどから登場している Hakkasan Group。MGMグランドの Hakkasan のオープン以降では、同社にとってラスベガスで初めて開業させるクラブということもあり、各方面から非常に注目されています。

 Omnia の広さはラスベガスで最大級の 7,000平方メートル、PURE 時代の2倍以上に拡張されました。
 1階はヨーロッパのオペラハウスをコンセプトにし、最新の音響機器と照明を導入したメインクラブ、隣接してウルトラ・ラウンジの Heart of Omnia、階段を上がるとメインクラブを見おろすバルコニー・セクション、さらに上の階がアウトドアのテラス・セクションという構造です。(上の写真は1階のメインクラブからバルコニー・セクションを見上げたところ)

 クラシックで高級感あふれるエントランスを抜けメインクラブに入ると、まず目に飛び込んでくるのは巨大なシャンデリア、そして吹き抜けになっていてとにかく大きいダンスフロア。シャンデリアは周りを8重のリングが取り囲んでいて、それぞれのリングが音楽にシンクロしながら上下左右に動き、曲に華を持たせる印象です。
 ダンスフロアに降りると、DJ がフロアの真ん中にいるように見えるかも。実は DJブースの下側が鏡になっていて奥行きを感じるような造りになっているばかりか、ブースのすぐ後ろが壁ではなくテーブル席のため、奥の壁との間に空間ができ、あたかも中央にいるように見えているだけ。このこともフロアを広く見せているはずです。

 しかし、いくら広くてもフロアは人であふれ、混雑しすぎで踊るというより押されにいくという感じなのは、ほかの人気クラブと同じ。自分の使えるスペースは自分の身体の幅分しかありません。
 ぎゅうぎゅう詰めの中、もし可能ならシャンデリアの下の場所を確保してみてください。リングが天井から降りてくるときには、中に吸い込まれていきそうな不思議な感覚になります。降りてくるのはリングだけでなく、ダンサーや注文のお酒をテーブル席に運ぶウェイトレスも。

 バルコニーに行けばリングやダンサーの空中パフォーマンスを真近で見ることができると思いますが(写真はバルコニーから1階を見下ろしたところ)、残念ながらバルコニーはテーブル席を買った人だけが利用できる空間。テーブルを持たない一般客がうかつに近づくと、すぐにスタッフがあらわれその場から離れるように促されることに。ただしテーブル席の後ろの通路から見るのはアリです。
 ちなみにテーブル席を確保するための料金表はこちらをクリック→ [セット料金]、[ボトル単品料金](単位はもちろん米ドル!)。
 もはや 気絶するような値段ですが、これが最近のベガスのクラブビジネスです。

 ストリップ大通りを見渡せるテラスにはぜひ出てみてください。3~4階の高さに相当するところにあるので、景色が一望できるほど高い位置ではありませんが、夜空の下、クラブが盛り上がるまでお酒を飲んですごすのもよいかも。もちろん踊ることもできます。
 メインクラブは EDM が中心になりそうですが、Heart of Omnia はヒップホップのフロア。DJ Jazzy Jeff、Rev Run といった大物も出演します。ダンスフロアがないので踊るのはテーブル席の間にある通路で。

 Omnia と Hakkasan は経営が同じためか、似ているところが多く見られます。ハード面では吹き抜けの広いダンスフロアとそれを見下ろすバルコニー席、そしてクラブの中にラウンジをつくっているということ。それらが来場者から高く評価されているところも共通点といってよいでしょう。
 逆に評価の芳しくないところとしては、バーで買う飲み物やテーブル席を利用する料金がよそと比べて高めに設定されていること。
 もうひとつ、DJ が豪華なところも似ています。Omnia に出演するのは Hakkasan Group と今年1月、3年間のレジデンシー契約を交わした「世界一稼ぐDJ」こと Calvin Harris(Hakkasan と MGMグランドのデイクラブ WET REPUBLIC にも出演)をはじめ、Armin Van Buuren、Martin Garrix、Nicky Romero、Afrojack など。
 クラブミュージック好きなら夢のようなラインナップに違いありませんが、そうでない人はピンとこないかも。ちなみに先述の「DJ Mag」がおこなう「TOP 100 DJs」を基準にみてみると、上記5人は 12位内にランクイン。世界中に何万人といるであろう中からの上位12人ですので、すごい顔ぶれということになります。
 契約している DJ はまだ他にも数人いますが、ほぼ全員の名前を 40位以内に見つけることができました。

 実はこの投票の 12位までの DJ は、Omnia、Hakkasan またはアンコールの XS のいずれかでパフォーマンスしています。(写真は Omnia のテラス・セクションにある DJブース)
 Hakkasan には Calvin Harris、Hardwell、Dimitri Vegas & Like Mike、噴水ショーに曲を提供した Tiesto、そして Steve Aoki が。Avicii、David Guetta、Skrillex は XS と契約。
 一晩のギャラが40万ドルをくだらないともいわれている Calvin Harris のほか、数十万ドルの出演料が支払われるような DJ を連日のように出すのは、莫大な資金が必要で経営的に大丈夫か気になるところですが、客側から見たらうれしい限り。
 どうせなら有名DJで踊りたいと思っている人が多いようで、XS と Hakkasan は全米ナイトクラブ売上げランキングにおいて、3位以下を大きく引き離し 1位、2位を争うほど好調です。
 新規オープンの Omnia と、売上高で激しく迫る Hakkasan を警戒したのか、XS は今年早々 1,000万ドルを投資し会場を改装しました。当分はこの3つのクラブのラスベガス・ナンバーワンをかけた争いからも目が離せません。

 さて、何を着ていくべきかがいちばんの悩みだと思いますが、女性も男性もクラブにはお洒落をしていってください。ドレスコードがあります。
 女性は身体のラインが出るようなセクシー系ミニドレスに、ヒールのあるパンプスやサンダルが主流。たくさん踊りたいからといってもスニーカーでは入店できません。足が痛くなったら、トイレでフラットシューズを売っているから心配しないで。
 服装は Omnia の Facebook に掲載されている写真で雰囲気がわかりますが、写真ほど胸元を開けなくても大丈夫です。
 男性は襟のあるシャツに革靴のキレイめファッションがベストな選択。短パン、Tシャツ、スニーカー、サンダル、ブーツ、ハットなどやヒップホッパーみたいなファッション、アスレチックウェアは不可です。
 入場は 21歳以上。年齢にかかわらず全員に対して身分確認があるので、パスポートは忘れずに。

 営業は原則、火、木、金、土、日の午後10時から。テーブル席を買わない一般客は、平日・週末にかかわらず、入場するまで長時間待たされることが普通。メインの DJ が目当てでも(彼らは前座DJのあと、深夜1時ごろから登場するのが一般的)、早めの時間帯に並び中で出番を待つほうが賢いかもしれません。
 入場待ちの列は深夜に向かうにしたがって長くなります。特に Calvin Harris が出演する日は混雑がひどく、10時のオープン直後からダンスフロアが満員になることも。
 入場料は出演者、チケット購入のタイミングなどによっても異なりますが、おおむね女性が 20ドルから、男性は 30ドルから。それにライブ・エンターテインメント税(LET)が10%、チケット販売手数料なども加算されます。イベントの確認やチケット購入は公式サイトがおすすめ。入場の際に現場で購入することも可能です。
 ホテル内やストリップの路上で配布しているフライヤー(名刺より二回りくらい大きいサイズ)があれば無料で入場できるので、配っているスタッフを見かけたら積極的にもらってください。なお、路上で入場チケットやテーブル席の販売をしていることがありますが、詐欺なので買わないように。Omnia は会場外でお金を要求することはないと注意を呼びかけています。
 場所はシーザーズパレスのカジノフロア内にあるスポーツブックのとなり。スロットマシーンやスポーツブックの色の洪水の中、そこだけ場違いなほどシックなたたずまいなので、すぐにわかります。

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