ラスベガス国際空港がロサンゼルス国際空港を抜いて世界第5位に!

ラスベガス国際空港。左奥の背景に見える球形の建物は多目的アリーナ Sphere。

ラスベガス国際空港。左奥の背景に見える球形の建物は多目的アリーナ Sphere。

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 今回の話題は見出しタイトルのとおり、離発着便の本数においてラスベガス国際空港がロサンゼルス国際空港を抜いて世界第5位になったという話。
 話題としてはそれ以上のものでもそれ以下のものでもないが、一般的な感覚からするとかなり意外に思われるのではないか。なぜなら世界にはラスベガスよりも遥かに大きな都市がたくさんあるからだ。
(なおラスベガス国際空港の正式名称は、長らく McCarran International Airport だったが、2021年から現在の Harry Reid International Airport に名称変更されている。その納得がいかない変更理由に関しては バックナンバー1287号 に掲載)

 まず何はともあれそのランキングを見ていただきたい。以下がこのたび Airports Council International から発表された 2023年のデータだ。
(シカゴにオヘア空港、ミッドウェイ空港、そしてニューヨークにジョンFケネディ空港、ラガーディア空港があるように、複数の空港を持つ都市の場合、都市名だけでは空港の区別がつかないので、カッコ内に国際航空運送協会 IATA が定めた空港コードを記載しておいた)

【離発着便数の世界ランキング】
1. アトランタ(ATL)
2. シカゴ(ORD)
3. ダラス(DFW)
4. デンバー(DEN)
5. ラスベガス(LAS)
6. ロサンゼルス(LAX)
7. シャーロット(CLT)
8. イスタンブール(IST)
9. ニューヨーク(JFK)
10. 東京羽田(HND)

 この統計が集計された2023年はすでにコロナの影響はほぼなくなっているので(日本人の海外旅行客数はコロナ前の水準に戻っていないようだが)、おおむね平常年の航空需要と考えてよいだろう。つまりコロナなどの特殊要因による順位ではないということ。

 この10都市の顔ぶれを見る限り、都市圏人口がラスベガスとほぼ同じシャーロット(米国ノースカロライナ州)を除けば、世界屈指の巨大都市ばかりで、第5位という順位はなんとも不思議に思えてくる。
 それでもデータの集計ミスとか突発的な変化などがあったわけではない。コロナ期間中もコロナ以前も、ラスベガス国際空港は過去10年以上、常にトップ10 に入っていたのである。

 ではなぜ世界に冠たる巨大都市を差し置いて毎年上位にランクされているのか。
 それはロンドン、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどの巨大都市には、羽田に対して成田があるように、複数の空港が存在しているが、ラスベガスには一つしかないからだ(軽飛行機などのためのローカル空港はいくつか存在しているが)。

 それともうひとつの理由は、国際線の比率が相対的に低く、アメリカの各都市からの国内線がほとんどということ。
 結果的に国内線の場合、使用機材が国際線で使用される大型機とは異なり、ボーイング737エアバスA320 に代表される 200席以下の機材が使われることが多く、旅客需要に対するフライトの本数は増えてしまう。

 以上のような理由でラスベガス国際空港は世界第5位にランクされているわけだが、離着陸の本数ではなく乗降客数で比較すると別の景色が見えてくる。以下は 2023年の乗降客数のランキングだ。

【乗降客数の世界ランキング】
1. アトランタ(ATL)
2. ドバイ(DXB)
3. ダラス(DFW)
4. ロンドン(LHR)
5. 東京羽田(HND)
6. デンバー(DEN)
7. イスタンブール(IST)
8. ロサンゼルス(LAX)
9. シカゴ(ORD)
10. デリー(DEL)
11. パリ(CDG)
12. 上海(CAN)
13. ニューヨーク(JFK)
14. アムステルダム(AMS)
15. マドリード(MAD)
16. フランクフルト(FRA)
17. シンガポール(SIN)
18. オーランド(MCO)
19. ラスベガス(LAS)
20. ソウル(ICN)

 ではなぜ乗降客数だとこれほどまでに順位を落としてしまうのか。
 座席数が少ない国内線がほとんどということもあるが、他にも大きな理由がある。
 それはラスベガス国際空港の場合、ラスベガスを最終目的地とする利用者が大部分ということ。言い換えれば乗り継ぎの利用者が少ない

 ラスベガス以外の都市の空港の場合、乗り継ぎの利用者が多く、その数も含まれていることは、この統計を集計している Airports Council International も明記しており、上のリスト内のほとんどの空港はいわゆる大規模なハブ空港なので乗り継ぎの利用者が非常に多い。

 その典型は 6位にランクされているデンバーだろう。ニューヨークやロサンゼルスほどの巨大都市ではないにも関わらず、アメリカの大陸のほぼ中央に位置していることから地理的に乗り継ぎに適しており、実際にそこを本拠地としているユナイテッド航空はとてつもない数のフライトを運行している。

 以上のような理由から、フライトの本数と乗降客数では世界ランキングが大きく異なってくるというラスベガス国際空港の特殊性が見えてきて興味深いのではないか。
 ラスベガス情報を発信している当サイトとしては離発着数では世界第5位の自慢の空港であることを覚えておいて頂けるとうれしい限りだ。

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