円安傾向にある昨今の日本での報道を見ていると、やたらと海外の、とりわけアメリカでの物価高の話題が目立つ。
その典型が「ラーメン1杯 3000円」といったたぐいの外食価格に関する話題だ。
はたしてそれは本当なのか、それとも極端な事例を取り上げただけの大げさな数字なのか。
結論から先に書くならば、当地ラスベガスでの現状を見る限り、まったく極端な例ではない。日本円換算で3000円は標準的な値段といってよいだろう。
具体的な内訳は、ラーメンそのものの値段が 15ドル前後、それに日本でいうところの消費税が8.38%、さらにチップ20%を加算すると、1ドル155円換算でほぼ3000円だ。
なおチップ20%に関しては「えっ、そんなに高いの?」との異論や疑問もありそうだが、それについては当サイトで昨年取り上げたバックナンバー 第1357号 を参照して頂くとして、ここではチップの額に関する話にはふれないものとする。
というわけで「ラーメン1杯 3000円」はウソではないことになるが、それはあくまでも地元民の生活圏である郊外店での話であって、一般観光客が活動するエリア内となるとウソということになる。
つまりホテル街のレストランなどでは話は別のようだ。
「ようだ」と表現したのには理由がある。地元民はわざわざホテル街に出向いてまでラーメンを食べないため最近のラーメン相場を直接的には体験していないからだ。
今回たまたまゴールデンウィークを利用して日本からやって来た友人が「どうしてもラーメンを食べたい」というので、以前からそこそこ評判の店を紹介してあげ、その現状を報告してもらったという次第。
(郊外店を紹介してあげるべきだったが、友人はレンタカーを利用していなかったのと、こちらも用事があり一緒に行くことができなかったためホテル街の店を紹介)
ではさっそくその友人の実体験を具体的に報告してみたい。
店の名前はホテル Encore 内にある WAZUZU。おもに中華や寿司を中心としたアジア料理店で、メニュー内に記載されているラーメンの名称は「Tonkotsu Ramen」。その値段は 28.88ドル。
余談になるが、末広がりの「八」は縁起が良いとされるチャイニーズ系の客を意識してのことか、この店の料理の値段の多くには 88セントが付くことは知る人ぞ知る特徴だ。
この 28.88ドルに消費税とチップを加えて円換算すると 5600円前後になり、これがホテル街でのラーメン1杯の出費額の現実ということになる。
今回のこの記事はあくまでも外食料金に関するレポートであって、ラーメンそのものの内容を評価するつもりはなかったのでここで終わりとしたいが、読者としてはそれも気になることだろうから、友人から得た数少ない情報をそのまま報告しておきたい。
値段が高いからといって特に高級食材がトッピングされているというわけではなく、写真を見る限りでは 煮玉子、メンマ、チャーシュー、細切りキクラゲ、のり、ネギが乗っている程度だ。よくある見慣れたラーメンといってよいだろう。
実際の味も友人いわく、麺もスープも具材も極めて標準的で日本人の味覚を満足させてくれるレベルだったとのこと。その点においてはここの読者がこのあとこの店に食べに行ってもガッカリするようなことはないと思われる。
なおテーブルにはコショーが用意されていなかったが、ラーメンが運ばれてきたときに「ペッパーは必要ですか?」と聞かれたとのことなので、必要であれば持ってきてもらえるようだ。
というわけで、ラスベガスのホテル街では昨今話題となっている「ラーメン1杯 3000円」を信じてはいけない。その倍程度の予算を考えておく必要があるだろう。
「ラーメンに6000円以上? バカバカしい!」と思うことだろうが、それでもラーメン党にとっては食べたくなったりするのが日本の国民食ともいえるラーメン。
値段の高さには閉口するが、全米、いや全世界のほとんどの都市でラーメンが食べられるほど広く普及してきていることは喜ばしいことではないか。
たかがラーメン、されどラーメン、恐るべし国民食!
コメント(2件)
ホースシューズ(旧バリーズ)近くのカタナヤは一般的な15ドル前後のラーメン食べられますので、よく利用させてもらってます。円換算したら負けですねぇ。
ラスベガスは、いつもWynnで宿泊しています。アンコアの豚骨ラーメンは、こくがあり、あっさりして、28ドルでも食べる価値が十分にあります。九州地方のラーメンが好きな方は、ぜひ一度お試し下さい。