大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏によるスキャンダルは日本では大ニュース、そしてアメリカでも野球界をざわつかせているが、メディア報道などにおいては日米でかなりの温度差があるようだ。
　日本では全面的に水原氏側の問題とされており大谷選手は完全にシロ。アメリカでは大谷側にも不明な点があるとして、クロとまではいかないにしてもグレー扱いとする報道が少なくない。

　日本の大谷ファンとしては現在そして今後のアメリカでの評判や処遇などが大いに気になるところだが、メディアの扱い以外の部分での大谷選手の評価はどうなのか。
　それが一番わかりやすいのは、ファン心理やファンの動向が反映されやすい大谷関連グッズの販売状況ではないか。
　当地ラスベガスには繁華街の一等地に Lids の大型店舗があるので（MGMグランドホテルのすぐ北側）さっそく行ってみた。
　ちなみに Lids とは、プロスポーツチームの公式グッズなどを専門的に扱うショップでアメリカやヨーロッパなどに1000店舗以上を展開するチエーン店だ。

店に入ってすぐの一番目立つような場所に大谷選手のTシャツが。ちなみに値段は32ドル。

　結論から先に書いてしまうならば、現時点では大谷選手のユニフォームなどが店頭から片付けられてしまうようなことにはなっていない。むしろ一番目立っているといってもよいほどその存在感は圧倒的だ。
　店の外壁の上部に設置された大型の広告パネルに表示されているのも大谷選手で、野球のレギュラーシーズンの開幕という季節的な要因があるのかもしれないが、あたかもアメリカのプロスポーツ界を代表するアスリートのような扱いだ。

表示される広告は数秒ごとに切り替わるが、この日にしばらく見た限りでは大谷選手以外のアスリートは表示されなかった。他はナイトショーの広告などだった。

　というわけで大谷ファンとしては現時点ではとりあえず安心してよさそうだが、今後どのような扱いになるかはわからないので油断は禁物かもしれない。
　というのも、アメリカの国技とも言える野球というスポーツにおいて、日本からやってきた選手がホームラン王やMVPを取ったことを楽しく思っていないアメリカの野球ファンは少なくないからだ。
　またメディア側にもそのような心理で情報発信しているライターやコメンテイターも多く、今後の状況によっては「やっぱり大谷は怪しい、ギャンブルに関わっていたのではないか」などと大谷選手に対する世間からの風当たりが急に悪くなったりするようなこともなきにしもあらずだ。

店内の奥の壁の様子。中央の大谷や右のトラウトはともかく、左に野茂というのも興味深い。

　そのへんのアメリカ側のファン心理は、日本の大相撲においてモンゴル出身の力士が活躍することをあまり歓迎していない相撲ファンがいるのと同じようなことなのかもしれない。
　また、たとえば韓国からやって来た野球選手が日本のプロ野球でホームラン王を取ったりしたら素直にその偉業をたたえられない日本の野球ファンもいそうなことを想像すると、現在の大谷選手が置かれたアメリカでの状況もなんとなくわかるのではないか。
　まぁそんなことを気にしていても日本の大谷ファンとしてはどうすることもできないので、今シーズンもまたホームラン王やMVPを取るなどの活躍をして頂き文句なしのスーパースターとしてアメリカ国民からもメディアからも認められるようになることを祈るばかりだ。