今週はかなりマニアックなカジノ関連の話題をお届けしてみたい。
具体的には近年のルーレット台の変化に対するカジノ側の収益率がどのように変わってきているかの検証だ。
したがって、その種の話題に興味が無い場合は時間の無駄になるだけなのでこれ以上読み進めて頂く必要はない。
ここ2~3年で当地ラスベガスにおけるカジノのルーレット台には大きな変化が見られる。いわゆる「トリプルゼロ台」の新たな出現と、その後の急増だ。
ちなみにその傾向はコロナ騒動が始まる直前の 2018年頃から見られるのでコロナの流行とは関係ない。
そして 2022年10月現在、ストリップ地区の主要カジノホテルのほぼすべてにトリプルゼロ台が導入されており、長らく主流だったダブルゼロ台よりも台数的に多くなりつつある。
両台の違いに関してはこのコーナーの 過去記事(←クリックまたはタップでジャンプ)で詳しくレポート済みなので詳細はそちらを参照して頂くとして、ここではダブルゼロ台とトリプルゼロ台の違いを簡単に写真で紹介しておきたい。
この写真の通り、ルーレット台には赤と黒で色分けされた番号(1番から36番まである)に加え、緑の0番と00番が存在していることがわかる。このスタイルの台がいわゆるダブルゼロ台で、ラスベガスのみならず世界中のカジノにおいて長らく主流だった。
そして数年前に登場してから近年急増しているのがこの写真の台。緑の 000番が追加されていることがわかる。いわゆるトリプルゼロ台だ。
ついでなので参考として、00 や 000 が存在しないシングルゼロ台も紹介しておきたい。
これは高額の賭け金でプレーするギャンブラー(カジノ側からすると重要顧客)向けの特別セクションや、ヨーロッパのカジノなどで見られる希少な台なのでラスベガスでは一般的ではない。
では 緑の0、00、000 の存在は何を意味するのか。それはカジノの収益に大きく影響してくる。
なぜなら顧客(プレーヤー)は、赤が出るか黒が出るか、もしくは偶数が出るか奇数が出るか、あるいは自分の好きな番号などにそれぞれ賭けるわけだが、たとえば 緑の0 に玉が落ちた場合、それは赤でも黒でもなく、また偶数でも奇数でもないので、緑の0 に賭けていた者以外はすべて負け、つまりカジノ側の総取りとなる。
(「0 は数学的に偶数だ!」と主張しても相手にしてもらえない)
つまり総取りとなる緑の番号が多く存在するほどカジノとしては都合が良いわけで、シングルゼロ台よりもダブルゼロ台のほうがカジノは儲かり、トリプルゼロ台のほうがさらに儲かるというわけだ。
したがってプレーする側としてはトリプルゼロ台の出現は改悪ということになる。
ではどの程度、払い戻し率が悪化しているかというと、シングルゼロ台ではカジノ側の控除率が 2.7%、ダブルゼロ台では 5.26% だった数値がトリプルゼロ台では 7.69% に悪化する。
このことは、トリプルゼロ台の場合、1回賭けるごとに毎回平均で賭金の 7.69% をカジノ側に吸い上げられることを意味する。
数学の知識などがなくてもこの数値の意味を理解することは簡単だ。たとえば、1~36番までの数字と 0、00、000 の合計39ヶ所のすべてに1ドルずつ賭けたとする。
必ずどれか 1ヶ所が的中し、38ヶ所が外れる。1ヵ所的中すると 36ドル戻ってくるので、39ドルを投じて 3ドル失うことになり、その 39ドルの 7.69% が 3ドルというわけだ。
赤や黒に賭ける場合でも同様だ。1回 1ドルで 39回プレーすると、平均で赤が18回、黒が18回、緑が3回出現するので(あくまでも平均なので、必ずそうなるとは限らないが)、39戦18勝21敗が平均的な結果となり、39ドルを投じて 18勝のときに払い戻された 36ドルが手元に残るので、やはりトータルの賭金の 7.69% の 3ドルを失うことになる。
さて前置きが長くなってしまったが、過去12年でルーレット台におけるカジノ側の収益はどのように推移しているのか。
ネバダ州のカジノライセンスなどを管理している当局が発表する統計値をそのまま書き出してみたのが以下の数字だ。
当局は地域別、カジノの規模別、カジノのゲームの種類別などさまざまな統計を管理しており、以下の数字はストリップ地区に存在するカジノで、なおかつ年間売上が7200万ドル(約100億円)以上という最も規模が大きいカテゴリーのカジノ、すなわち一般の観光客がストリップ地区で利用する大型カジノホテルにおける各年度のルーレット台での利益率 だ。
数字は左から順に年度(1月から12月まで)、その年の12月末時点における該当カジノライセンスの軒数(ストリップ地区の大型カジノホテルの軒数と考えればよい。ただしバリーズとパリス、ベネチアンとパラッツォなどは同一のライセンスで運営されたりしているので実際のカジノホテルの軒数とは一致しない)、運用ライセンス登録をしているルーレット台の数、該当ルーレット台における12ヶ月の利益率。
2011年 23軒 236台 15.52%
2012年 23軒 229台 16.71%
2013年 23軒 219台 17.18%
2014年 22軒 218台 17.88%
2015年 23軒 215台 15.79%
2016年 23軒 222台 17.01%
2017年 24軒 226台 17.27%
2018年 24軒 233台 17.95%
2019年 24軒 233台 18.21%
2020年 15軒 135台 15.38%
2021年 25軒 240台 19.45%
2022年 25軒 252台 19.87%
【補足と考察】
◎ 2018年ごろから利益率が伸びていることが読み取れる。トリプルゼロ台の出現とその後の増加が原因の可能性がありそうだ。
◎ 2020年はコロナを理由に閉鎖していたカジノが多く、通常時と大きく異なる運営だったため、この年の利益率の落ち込みは検討対象から除外すべき。
◎ 2022年の数値は 2021年9月から2022年8月までの12ヶ月間の集計。軒数、台数は2022年8月末のもの。
利益率の増加傾向は本当にトリプルゼロ台の増加が影響しているのか。わずか2~3年のデータで断定すべきではないが、たぶんそのように考えて良いように思える。念のため数年後にもう一度検証してみたい。
コメント(1件)
旧モンテカルロに2018年頃まで毎年行ってました、ルーレットで長く遊ぶのが大好きでトリプル0️⃣が出始めたためダブル0️⃣の台が混雑するので待ち時間長くて困ったことが思い出されます。皆さんルーレットをするので有れば絶対ダブル0️⃣がお勧めです。