高いワクチン接種率の効果なのか新規感染者数が減ってきており、コロナ不況から脱しつつあるラスベガス。
5月1日には、各施設の収容人数に対する入場人数制限がこれまでの 50% から 80% に緩和され、さらにこのあともコロナの状況が悪化しない限り各種規制の緩和が予定されている。
それにともない長らく休演を余儀なくされていたショービジネスの世界も動き始めており、日本人観光客の間でも人気が高いシルク・ドゥ・ソレイユ(以下 シルク)の各ショーの公演再開スケジュールも具体化してきた。そんな現在のシルクの状況を現場の責任者から聞いてきたので以下に書き出してみた。
ショーを演じる側であるシルクにとって頭を悩ませている部分は、人数制限などのルールを決めるネバダ州知事と主催者である各ホテルの間で翻弄され、再開のスケジュールなどを自分たちで自由に決めにくいことにあるようだ。
つまり規制の緩和に慎重姿勢を示す州知事、できるだけ早く公演を再開させたい主催ホテル、シルクはその両者の間の駆け引きを見守るしかない立場にあり、先を読みにくい不透明な環境の中で公演再開の準備をしていかなければならないとのこと。
そもそもコロナ自体も完全に終息したわけではなく、ショービジネス界にとってコロナの成り行きは依然として最大の不安要因であり、こればかりはだれにも予測できない。
ちなみに昨年の11月から今年の1月にかけてのネバダ州(人口約310万人)における新規感染者数のピーク時期(毎日2500人前後)と比べると、4月にはそのピーク時の約10分の1程度の毎日200~300人のレベルにまで減少してきており、この傾向自体は大いに明るい材料ではあるが、ここに来て下げ止まり感が出てきている。上昇に転じそうな気配すらある。
人口比で考えるとこの毎日200~300人というレベルは、騒ぎが大きくなっている東京や大阪と比べても決して少ない数値ではなく、州知事としては慎重にならざるを得ないのも無理はない。
そんな状況の中、現状を取り巻く状況がさらに悪化することはないだろうとの楽観的な読みでトレジャーアイランドホテルが「ミスティア」を、ベラージオホテルが「オウ」を、それぞれ 6月28日と 7月1日から公演再開すると発表。すでに両ホテルの公式サイトでチケットの販売も始まっている。
また、もともとはシルクのショーではないが、現在はシルクが運営している「ブルーマン」の 6月24日からの公演再開もルクソールホテルが発表しており、現時点の流れとしてはラスベガス全体が明るい方向に向かっていることはまちがいない。
ちなみにミスティアはシルクにとってのラスベガス第1号のショーとして今でも根強い人気があり、またオウはラスベガスで最もチケットが取りにくいシルクの代表作。さらにブルーマンは世界各地で公演されてきた知名度が極めて高いショー。
コロナの状況次第で今後どうなるかわからない部分はあるものの、とりあえずこれらのショーの公演再開は非常に明るいメッセージであり、シルクにとってもラスベガスのショービジネス界全体にとってもアフターコロナに向けた大きな前進といってよいだろう。
なおシルクのその他のショー、つまり「ラブ」、「マイケルジャクソン・ワン」、「KA」に関しては(「ズーマニティー」は解散済み)、今後のコロナや規制緩和の状況を見ながら再開の時期を検討するとしており、具体的な再開日はまだ決まっていない。
それでもいつ再開が決まってもよいように、どのショーもテクニカルスタッフの再雇用やパフォーマーたちのトレーニングなどは来週から始めるとのことで、コロナに大きな変化がない限り残りのショーの開催もそれほど遠くない時期に発表されるだろうとしている。
ショーの内容に関しては、元のメンバー全員を完全に再雇用できるとは限らないため(休演期間中に故郷などに帰ってしまった者もいるので)、パフォーマーに多少の入れ替わりがある可能性はあるものの、原則として大きな変更はないだろうとのこと。
最後に、現時点で予定されている公演日時は、6/28 から 9/7 までのミスティアが水曜日と木曜日が休演、9/8 から 12/31 までが木曜日と金曜日が休演で、それぞれ毎日 7:00pm と 9:30pm 開演。
オウは月曜日と火曜日が休演で、こちらも 7:00pm と 9:30pm 開演。どちらのショーも日によって 9:30pm の公演がなかったりすることがあるので要注意。
ブルーマンは火曜日と水曜日が休演で、開演時刻は原則として 5:00pm と 8:00pm だが 2:00pm の部もあったりする。
チケット料金はどのショーもかなり複雑なので各ホテルの公式サイトで最新の情報を確認されたし。マスク着用のルールが解除されていない可能性もあるのでマスクは必携。