ハローキティも大阪城も登場、写真で見るベラージオの室内植物園

ベラージオホテルの室内植物園に登場したハローキティ。(2020年6月13日に撮影)

ベラージオホテルの室内植物園に登場したハローキティ。(撮影:2020年6月13日)

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 先週、ハローキティなどで知られる日本のサンリオ社の社長交代劇が日本の経済界で大きな話題となった。だからというわけではないが、今週はベラージオホテルの人気アトラクション「Conservatory & Botanical Garden」(室内植物園)を写真で紹介してみたい。

 サンリオのニュースとベラージオ、何の関係があるのか。はっきり言って何も関係ない。ただ単に、話題となった出来事のタイミングが偶然同じような時期に重なったというだけのことだ。
 6月4日、ベラージオがその室内植物園内に 30,000本のバラを使ったハローキティを公開。そして 6月12日、サンリオ社は、創業者であり社長でもある辻信太郎氏の引退を発表。

 それ以上の話題でもそれ以下でもないが、なぜ社長の引退が注目されているのかに関しては簡単に説明しておいたほうがよいだろう。
 約1年前のこの週刊ラスベガスニュース 1163号 でもふれたが、経済界では広く知られている名物社長だからだ。
 辻信太郎氏は現在 92歳。数千社もある上場企業の社長としては日本一のロングランで、1960年の創業から一度も会長職などに退くことなく、60年連続で社長職を継続中というから有名になるのも、その引退が話題になるのも無理はない。

 ちなみに 7月1日付けで新たに社長に就任することになったのは信太郎氏の孫、辻朋邦氏 31歳。気の毒なことに、経営手腕が心もとないのか、社長交代劇が発表された直後、サンリオの株価は 10%以上も値を下げた。

 ラスベガスとは関係ないどうでもいい話はそのへんにして、ベラージオに話を戻すと、同ホテルを運営する MGM Resorts International 社はここ数年「日本びいき」として知られており、日本関連のイベントの開催に余念がない。
 たとえば、室内植物園では五重塔や大阪城などを再現した日本庭園を演出したり、前庭の湖では歌舞伎の水上ショーも開催している。
 またベラージオ内のアートギャラリーでは本物の鎧や兜を展示するサムライ展、そして縄文土器や埴輪(はにわ)の古代展、さらにはアメリカで人気の日本人アーティストの草間彌生展なども開催。昨年の秋、同社が運営するアリアホテルのロビーを1万枚以上の折り紙で飾り、日本の秋を演出したことも記憶に新しい。

 それらはすべて MGM社が大阪IR(Integrated Resort: ホテル、コンベンション施設、ショッピングモール、カジノなどを含む統合型リゾート)への参入に名乗りを上げているためといわれており、日本側に対して露出度や存在感を高めたいという思惑があるようだ。

 そんな大阪IR、同社にとって社運がかかっているばかりか、日本にとっても超ビッグプロジェクトであるわけだが、新型コロナによる同社の経営の悪化、さらには観光・レジャー市場の激変などで暗雲が立ち込め始めているというから、ただごとではない。

 人気の吉村大阪府知事も今は感染防止対策などに注力するしかないためか、大阪IRに対するコメントはあえて控えているようだが、MGM社の動向は大阪のみならず日本政府も含めた大きな関心事で、遅かれ早かれ、続行、延期、中止といった議論が噴出してくることは間違いないだろう。
 ちなみに今回ベラージオがその室内植物園内でハローキティや大阪城を再現したことは(大阪城は昨年の春に続く二度目の登場)、大阪進出に対して何の揺るぎもないという意思表示のようにも思えるが、そう考えるべきではない。というのも今回の演出は、一連のコロナ騒動が始まる前から決まっていたことだからだ。

 前置きが長くなってしまったが、そんなベラージオホテルの室内植物園の様子を写真でお伝えしてみたい。(以下の写真はすべて 6月13日に撮影)

和服を着た高さ16フィート(約5m)のハローキティ。

和服を着た高さ16フィート(約5m)のハローキティ。

 天井付近には「和」「金」「祝」「宝」などのめでたい文字に混ざって「大阪」も紛れ込んでいるところがおもしろい。

ハローキティの前に置かれている解説プレート。

ハローキティの前に置かれている説明プレート。

 説明プレート内には Cherry Blossom の文字が見て取れるが、着物の柄が桜というだけで、実際に使われている花は桜ではなく、ほとんどがバラ。

胴体部分の拡大写真

ハローキティーの胴体部分の拡大写真

 帯の部分に描かれている「B」の文字は、ベラージオホテルのロゴと思われる。

背中側の様子。

ハローキティの背中側の様子。

 帯の結び目など、背中側も抜かりなくバラの花で飾られている。

ハローキティーの横に飾られているシカ。

ハローキティの横に飾られているシカ。

 このシカの表面は、コメ、ムギ、アマ、キヌアなどの自然素材で作られているとのこと。

シカに関する解説プレート。

シカに関する説明プレート。

 大阪に近いということか、奈良公園のシカを再現したことが説明されている。

大阪城。

大阪城。

 昨年の春に続き、今年も大阪城が登場。

大阪城に関する解説プレート。

大阪城に関する説明プレート。

 2025年に開催予定の大阪万博を MGM社がサポートしていることの宣伝も忘れていない。

鯉のぼりに関する解説。

鯉のぼりに関する説明プレート。

 このプレート内に書かれている説明はおおむね正しい。が、しかし、展示されている鯉のぼりが不自然というか、まったくわかっていないようで笑える。ではその鯉のぼりはどこにどのようなカタチで飾られているのか。じつは3つ上の大阪城の写真内の桜の木にぶら下がっている。(写真を親指と人差指でピンチ拡大するとよくわかる)

日本庭園を再現しており池もある。

日本庭園を再現している部分。ちゃんと池もある。

 アジサイの花と葉、それに鯉のオレンジ色のバランスが絶妙で美しい。

鮮やかな朱色が美しい。

鮮やかな朱色は悪くないが、少々派手すぎ。

 池があれば滝もある。といっても、上の写真の池は本物の水だが、こちらの滝は残念ながらニセモノ。40時間を費やして描いたペイントとのこと。

池があれば滝もあるところがすごい。

この角度からも、花の奥に滝が見える。

 さてこの滝は、はたしてどこの滝か。日光の華厳の滝のようにも見えるが、そんなわけがない。

滝の解説プレート。

滝の解説プレート。

 和歌山県那智勝浦にある那智滝とのこと。それもそのはず、上の朱色の三重塔は同じく和歌山の青岸渡寺のものなので当然といえば当然か。大阪IR を意識しているためか、あくまでも関西圏に固執していることがうかがえる。

滝というには大げさだが、この写真の左側には水の流れが。

滝というには大げさだが、この池には水が流れ込んでいる。

 那智滝の水はペイントだったが、左側の石に沿って流れているのは本物の水。情緒ある音がかすかに流れてきて日本的な風情がなかなか良い。右に見えるのは 猪牙舟(ちょきぶね)。

猪牙舟の解説。

猪牙舟の説明。

 何やら ベラージオ自慢の舟らしい。つづりは Chokkibune よりも Chokibune のほうがよかったかもしれない。 

龍安寺の石庭とイメージしたものか。

龍安寺の石庭をイメージしたものか。

 実際の石庭とは色彩がまったく異なり、わびさびの情緒は感じられないが、これはこれで美しい。

難波八阪神社の獅子殿。

難波八阪神社の獅子殿。

 最後に紹介するのは難波八阪神社獅子殿。幸運を招く大阪を代表するパワースポットとのことなので、大阪IR、それに大阪万博の成功を祈って、今週の記事を終わりとしたい。

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コメント(1件)

  1. りのらん より:

    サンズは横浜進出を断念しましたね。
    吉村知事は先月TVで「MGMの大阪進出の意向に変わりはないと聞いている」と仰ってましたが、どうなるのか。
    MGMの進出は大阪の鉄道延線事業にも関わっているので、大阪市民としては来てくれることを願うばかり。

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