昨年夏ごろ登場した新しい乗り物に乗ってストリップ大通りを観光してみた。新しい乗り物とは、巨大ショッピングカート型ビークル「Cartzilla」。
そのユニークすぎる車体はラスベガスの風景に溶け込まず、とにかく走っているだけでも超目立ってしまい、歩行者にざわつかれること間違いなしだ。歩行者から見られるだけでなく、スマホを向けられてしまうこともしばしば。
このネタみたいな乗り物はまさにラスベガス的、見かけたら絶対に乗りたくなるにちがいない。

あまりにも目立つため、沿道にいる歩行者からスマホを向けられること間違いなし。(Cartzilla の車上から撮影)
Cartzilla はストリップ大通りの観光ツアーを提供しているわけだが、なぜかガイドが同乗しているわけでも案内放送があるわけでもなく、シンプルに大通りを往復するだけ。
したがって観光ツアーというよりも、「ショッピングカートに乗ってストリップを疾走するだけの体験」といったほうが正しいかもしれない。
とにかく注目を集めながらひたすら走ることになるので、目立つことが好きな人にはおすすめだ。

超目立つ車両のため、横断歩道の信号待ちをしている人たちからもこのように注目される。
他の都市で似たようなツアーがあるのではないかと思って調べてみたところ、人が乗れるショッピングカートをシカゴで発見。
ただしそれは主にプロモーションで利用されているようなので、カートに乗って街を巡れるのは、どうやらアメリカでは Cartzilla だけと考えてよさそうだ。
【このツアーの内容について】
所要時間は1時間。ルートはトレジャーアイランドホテルを出発した後、ストリップ大通りを南へ向かいラスベガスサイン(2枚下の写真)を目指す。
そこで向きを変え次は大通りを北上。最後にサンズ通りに入りスフィア(巨大球体型アリーナ)を通過したところでUターンしてトレジャーアイランドに戻る。(実際の走行ルートは、この記事の最後に掲載している動画内に詳細地図あり)

巨大球体型アリーナ「スフィア」の近くを走る Cartzilla。右上に見える直線状の構造物はモノレールの軌道。
ツアー中、見えるものについての説明や、下車して写真を撮るなどの時間はまったく無し。
ただし、ラスベガスサインでは車内から写真を撮りやすいように現場に寄った車線を走ってくれるところはありがたい。
なお、悪天候のときは中止になるとのこと。

国家歴史登録財(National Register of Historic Places)にも指定されている世界的に有名な「ラスベガスサイン」。この写真は車内から撮影したものではなく当社ファイルフォト。
【実際に乗ってみた】
集合はトレジャーアイランドホテルの Bus Loading エリア。
その場所は、このホテルの巨大看板とスタバの間の道路を入ったところにあり、バスの乗降エリアや Big Bus のバス停にもなっているところだ。
ちなみに今回の試乗では、Cartzilla は出発時刻の10分前くらいに来てくれた。

トレジャーアイランドホテルの近くにある乗り場。スタート前、ドライバーがカメラマンになってくれる。
はじめに参加者の名前が呼ばれ、全員が集合しているかどうかを確認。
次にドライバーがカメラマンに早変わりし、各自のスマホを使って Cartzillaと記念撮影。
全員の撮影が終わったところでようやく乗車、そして席を選ぶことに。

変則的なシート配列。全部で7席しかない。最後部だけが特に高くなってところに注目。
シートは変則的な配置で最後部のみ3人が横に並んで座れるが、前のほうの席は横1列だったりして、とにかく乗客のキャパシティーは少なく全部でたったの7席。
いちばん目立ちそうな最前列がベスト席かと思いきや、そうではなく最後部のほうがよい席とされている。
というのも、車両の床にはゆるい傾斜がついているが、最後部以外はその傾斜がゆるすぎて前の人の頭が視界に入ってしまうからだ。
一方、最後部の3席だけは、階段を数段上がった高い位置にあり、視界がひらけている。ドライバーは最初に座る人に最後部を案内しているようだ。
(左右はともかく前方だけの視界という意味では最前列も悪くはなさそうだが、座席の位置は最後部ほどは高くない)
ここまでの点呼確認、記念撮影、座席選びはツアーを予約した順番でおこなわれる。
全員が席についたらいよいよ出発。あとは景色や人々の視線などを楽しむだけかと思いきや、ゆっくりはしていられない。
なぜなら「曲をリクエストする」という超重要ミッションがあるからだ。
大音量で音楽を流しながら走ることになっており、かける曲は乗客がリクエストしなければならない。
ひとつの曲が終わったタイミングで次の人が選曲というように、ひとりひとり順番に1曲ずつ走行中に口頭でリクエストする。
今回の試乗で選んだのは「Party Rock Anthem」(LMFAO)、「In The End」(Linkin Park)、「Beautiful Day」(U2)の3曲。
Party Rock Anthem はパーティーミュージックを希望したらドライバーがチョイスしてくれた。
Beautiful Day はちょうどスフィア(球体型アリーナ)を通過していたのでリクエストしてみた。
(U2はスフィアのこけら落とし公演をおこなったほどスフィアと切っても切り離せない関係)
Linkin Park は発音がうまく通じず、再生用のスマホを渡され自分で探すことに。
日本人は「L」の発音が苦手とされているので、Lで始まる曲やアーティストは避けたほうがよいのかもしれない。
実はこの選曲のミッションが意外とダルく、全行程1時間の中のほとんどの時間、次の曲のことを考えることになり、景色を楽しむ余裕がなくなってしまう可能性あり。
したがって Cartzilla に乗るならそのような事態にならないよう、あらかじめ選曲を決めておくようにしたい。
リクエストする回数は参加者の数にもよるが、今回の試乗では 4人が乗っていて3回まわってきた。なので念のため 4~5曲は用意しておきたい。ちなみにスマホの音楽配信サービスを利用しているようなので、日本の曲も選べるかもしれない。
リクエスト曲が思いつかないときは「タイトルにラスベガスがつく曲」や「ラスベガス出身の歌手、バンド」などで検索してみるとよいだろう。
カートの乗り心地はいたって普通で、路面が良くなさそうな場所でも大きな振動が伝わることはなく、むしろ音楽からの方が座席にいて響いてくるほどだ。
ツアーは1時間ちょうどで終了。まったく渋滞がなくスムーズに進みスケジュール通りだった。
最後に悩みがつきないチップについて。今回はひとり参加で10ドル渡した。
参考までにグーグルのAI「Gemini」に、この種のツアーにおけるチップの相場について質問してみたところ、「通常、料金の10%~20%が目安」とのこと。
なお予約に関しては、Cartzilla の公式ウェブサイト(https://cartzillaride.com/las-vegas-strip-tour/)で可能。
料金は59ドルに税金とサーチャージが付いて合計61ドル(2025年4月時点)
日本の Tripadvisor(https://www.tripadvisor.jp/)でも予約ができ、日本円で支払える。
予約完了のメールが来たらウェイバー(事故の際などの権利放棄の契約書と考えればよい)にサインする必要がある。
メール内の「Sign My Waiver」をタップし、氏名、生年月日など必要事項を入れてサイン。乗車までにグループ全員がウェイバーに署名し、送信して完了。
スマホやPCが日本語環境なら、たぶんウェイバーも日本語で表示されるはずだ。
座席数の関係で1回で参加できるのはわずか7人までということもあり、予約はかなり混んでいる様子(今回4人しかいなかったのは、当日キャンセルが3人出たため)。スケジュールが決まったらなるべく早めに予約をするようにしたい。
最後は今回この Cartzilla に試乗した際に撮影した動画。再生開始後 1分5秒あたりから、走行ルートの地図や実際の車窓からの映像が見られる。
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