カジノ関連株は今ベガスに来れないギャンブラーにおすすめ?

ダウ平均株価の直近6ヶ月の推移。(Google Finance)

ダウ平均株価の直近6ヶ月の推移。(Google Finance)

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 コロナ騒動が終結したとはいえ、コロナ前の2019年当時と比べると、日本からラスベガスへの旅行者数はまったく元に戻っていない。
 はっきりした統計などは把握していないが、肌感覚ではたぶん半分も戻っていないのではないか。
 アメリカの物価高円安などの影響もあるだろうが、コロナ騒動の間にパスポートの有効期限が切れてしまい、それが理由で海外旅行が億劫になってしまったという人も多いに違いない。

 そんな理由もあったりで、ギャンブル好きで毎年ベガスにやって来ていた友人とも、2019年を最後にすっかりご無沙汰だ。
 ここの読者の中にも「本当はまたベガスに行きたいが今は行く気にならない」というギャンブル好きの人たちもいることだろう。
 そんな人におすすめなのが株式投資だ。特に米国株。もちろん利益が保障されているわけではないし、あくまでも自己責任でやってもらうしか無いわけだが、おすすめの理由はいくつかある。
 以下は反対意見などがあることを承知の上で理由を列挙してみた。

【理由1】
 カジノは短期的には勝てても長期的に勝つことは極めてむずかしい。つまり「昨日は勝った」とか「今回のベガス滞在では勝てた」ということはあっても、「ベガスに通算で10回来ているが、トータルで勝てている」という人はまずいないはずだ。
 カジノ側にハウスアドバンテージ(確率論的にカジノ側が有利になるように設定されたルール)がある限りそれは当然のことで、長期的なプレーでも客側が勝てるような確率設定になっていたらカジノは倒産してしまう。

【理由2】
 一方、株式投資では「今回の売買では負けた」、「いま保有している株では負けている」といったことはあっても、5年、10年といった長期保有では勝てる可能性が極めて高い。それはダウ平均日経平均など過去のインデックスの実績からも明らかだ。
 もちろん保有期間中にその会社が倒産してしまうといった不運に遭遇することもあり得ないことではないが、分散投資してればそのような被害も軽微なもので済む。

【理由3】
 トランプ大統領の関税政策などをきっかけにした昨今の株式相場の下落場面は絶好の買いのタイミングと考えたい。
 ここ数日間、多くの銘柄は 1日で 5%や10%も株価が下落しており、翌日すぐに反動で値を戻したりもしているが、ピーク時だった2月ごろと比べると、まだ10%くらい下がったままの銘柄がたくさんある。
 本来であれば株価とは、その会社の業績や将来の展望などが反映されて変動すべきものだが、昨今の株式市場は個々の企業の業績などはおかまいなしに、ほぼすべての銘柄の株価が一斉に全体のムードで大きく動いている。
 よく考えてみてほしい、一夜にしてその企業の業績や展望が 5%も10%も変わるわけがないということを。であるならば、業績が悪くなっていないのに全体のムードだけで株価が大きく下がっている銘柄は「お買い得」ということになる。

【理由4】
 上の考えに対して、「トランプ大統領の関税政策によっては、その企業の業績が本当に悪化するかもしれない。だから大統領の発言によって一夜にして株価が大きく下がるのも単なるムードではなく根拠がある」という反論もあるかもしれない。
 たしかにその考えを全面的に否定はできないが、冷静に考えると現在トランプ大統領が公表している関税率は異常に高すぎ現実的ではない。たぶん遅かれ早かれ大統領は考えを修正してくるか撤回してくるように思える。もしそうなった場合は相場全体が全面高になる可能性が高い。

 以上のようなことをアメリカ時間の4月8日に書いていたら、翌日の4月9日には案の定というか、大統領からの関税導入時期の保留発言などもあってか、ダウ平均は2900ドル以上の史上最大の上げ幅を記録している。

 「そんなに上がってしまったら、もう買うのは遅いのではないか」といった意見も聞こえてきそうだが、2月のピーク時と比べると、まだまだかなり安い水準にあるので買うタイミングとしては決して遅くはないだろう。

MGM社の直近6ヶ月の株価推移。40ドル前後だったものが、業績とはほぼ無関係に下落を続け、特にここ1週間のトランプ関税騒動で26ドルまで暴落。4月9日に約30ドルまで戻したものの、まだ25%ほど下がったままだ。

MGM社の直近6ヶ月の株価推移。40ドル前後だったものが、業績とはほぼ無関係に下落を続け、特にここ1週間のトランプ関税騒動で26ドルまで暴落。4月9日に約30ドルまで戻したものの、まだ25%ほど下がったままだ。

 というわけで、ここまでの話をどのように解釈してどのような行動を起こすかは自己責任ということで各自の判断に任せるしか無いが、このサイトはラスベガス情報を発信することが目的。であるならば、せっかくなのでラスベガス関連もしくはカジノ関連の銘柄を紹介してみたい。

 「オレが毎回宿泊していたカジノ、いつもオレから大金を巻き上げていたので儲かっているはずだ。ならば今度はオレがそのカジノの株を買って儲けてやるか!」なんていう発想で投資するのもおもしろいのではないか。

 念のため、米国株を買ったことがない人のために米国株のメリットを補足しておくと、多くの銘柄において1株から買え(日本株の場合 100株が一般的)、配当が年4回の銘柄も少なくない(日本株の場合、年1回か2回が普通)。
 買い方も特にむずかしいことはなく、SBI証券や楽天証券など、多くの証券会社が米国株を取り扱っているので、日本株とほぼ同じような感覚で買うことが可能だ。
 (以下「配」は配当利回り、「時」は時価総額で単位は億ドル ー は無配当や赤字によりPERなし)

Las Vegas Sands Corp

PER: 17.2配: 2.96時: 238
 ベネチアン、パラッツォなどのカジノリゾートをラスベガスで、ベネチアンマカオやマリーナベイサンズなどをマカオやシンガポールで運営していたが、2022年に在ラスベガスのカジノを売却(不動産は VICI Properties に、運営権は Apollo Global Management に売却)。現在はマカオやシンガポールでのビジネスに注力。ただし社名にはまだ Las Vegas が残っている。

VICI Properties

PER: ー 、配: ー 、時: 325
 シーザーズパレスラスベガス、MGMグランド、ベネチアンラスベガスなど、大型カジノホテルの不動産を所有し、運営会社に賃貸している REIT。もちろん保有している物件はカジノホテルだけに限らず多岐にわたっている。

Apollo Global Management

PER: ー 、 配: ー 、時:770
 ベネチアン、パラッツォでの運営権を所有ということで掲載してみたが、この会社のメインビジネスは資産運用や投資で、カジノとはあまり関係ない。

MGM Resorts International

PER: 12.5、 配: ー 、時: 84
 複数のカジノを運営している子会社の持株会社。子会社を通じてベラージオ、MGMグランド、マンダレイベイ、コスモポリタンなど、ラスベガス・ストリップを中心に、ネバダ州以外でも多数のカジノを運営。オンラインギャンブル事業の BetMGM も展開。
( 注: もともとの MGM社は、2015年から「運営権」と「所有権」を分離することにし、運営を当社が、不動産の所有を MGM Growth Properties が担当することになった。その後 MGM Growth Properties は 2022年に Vici 社に買い取られた)

Wynn Resorts, Limited

PER: 16.7、 配: 1.32、 時: 80.5
 ラスベガス、ボストン、マカオなどでカジノホテルを運営。社名には創業者でCEOだったスティーブ・ウィン氏の名前が残っているが、2017年頃から騒動になった社内でのセクハラ・スキャンダルにより 2018年に失脚。現在ウィン氏は同社にまったく関わっていない。

Caesars Entertainment

PER: ー 、 配: ー 、時: 58.4
 シーザーズ、ホースシュー、ハラーズなどのブランドで、全米各地で多数のカジノを運営。2021年、世界的なスポーツブック企業として知られる William Hill社を買収し、Caesars Sportsbook にブランドを変更して運営を開始。
 なお、近年カジノホテル業界では運営と所有の分離がトレンドとなっており、MGM社と同様、当社が運営しているカジノの不動産そのものを所有しているのは Vici社。

Boyd Gaming

PER: 10.9 、 配: 1.1、 時: 55.7
 ラスベガス郊外やラスベガスダウンタウンなどを中心にストリップ地区以外で多数のカジノを運営。さらにネバダ州以外でも手広く事業展開。

Golden Entertainment

PER: 15.6、 配: 3.7、 時: 7.1
「PT’S PUB」、「PT’S Taverns」、「SIERRA Gold」など多数の酒場型カジノをネバダ州で事業展開。なお、これら酒場型カジノ内にあるのは、ライセンスの関係でマシンゲームのみとなっており、ルーレットやブラックジャックなどのライブテーブルゲームは存在していない。

Monarch Casino

PER: 20.1、 配: 1.5、 時: 14.2
 ネバダ州(ラスベガスよりもリノ地区がメイン)とコロラド州でカジノを所有運営。宿泊施設、飲食施設、ショッピング施設なども幅広く手掛けている。

DraftKings

PER: ー 、 配: ー 、 時:179.1
 メインのビジネスはデジタルスポーツエンターテイメントとゲーム関連で、オンラインスポーツベッティングと iGaming を運営。NFL、NHL、PGA、NAB、WNBA、NASCAR、UFC など各スポーツ団体とも良好な関係を維持している。米国内のみならずカナダでも事業展開。

Penn Entertainment

PER: ー 、 配: ー 、時:24.9
「ESPN BET」、「iCasino」など、オンラインカジノやスポーツベッティングに注力。
地域的にはネバダ州以外での存在感が高い。

International Game Technology

PER: 28.2 、配: 5.1、 時: 32.2
 かつてはスロットマシン製造の最大手として知られていたが、さまざまな企業との紆余曲折などがあり、現在はロッタリー(宝くじ)事業を中心に、各種ゲーミング分野の管理運営システムなどの開発販売を手掛けている。

Everi Holdings

PER: 79.2 、配: ー 、時: 11.6
 カジノでプレーする個人向けというよりも、カジノを運営している企業向けのサービス、たとえば金融技術やゲームコンテンツなどの提供などがメインビジネス。

カナダ国民がベガスをボイコット?

 企業紹介は以上だが、ラスベガスのカジノ業界には悲観的な情報も流れてきているので注意が必要かもしれない。
 それは、トランプ大統領のカナダに対するきびしい政策や発言により、カナダ国民の間で、ラスベガスやフロリダなどアメリカの観光地への旅行をボイコットしようという動きが強まっているからだ。
 実際にバンクーバーやトロントなどカナダの主要都市からラスベガスやマイアミなどへのフライト需要が減ってきているという情報もある。いずれにせよ、株式投資は自己責任ということをお忘れなく。

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