今年も残すところあとわずか。今週は、リピーター読者にとっては毎年同じような内容になってしまい恐縮だが、ラスベガスの夜空を彩る年末恒例のカウントダウン花火大会「America’s Party 2025」について書いてみたい。

　今回で24回目を数えるこのイベントは、世界に冠たる目抜き通り「ザ・ストリップ」に面した複数の大型カジノホテルの屋上から花火が打ち上げられることで知られており、もはやラスベガスの冬の風物詩として定着している。
　「恒例」そして「定着」と来れば、「マンネリ」、「代り映えがしない」となってしまいがちだが、たしかにそれは否定できない。
　それでも2024年大会（今回ではなく１年前の大会）から打ち上げ場所が９ヶ所に増えたため、2020年大会（2019年の年末）まで長らく続いた７ヶ所（2021年はコロナで中止）、2022年と2023年の８ヶ所と比べると、やや盛大に感じるのではないか。

オレンジ色が花火を打ち上げるホテル。FB が2024年大会から打ち上げホテルに加わったファウンテンブルーホテル。

　今回の打ち上げ場所は北から順に、ストラト（旧ストラトスフィア）、ファウンテンブルー、リゾーツワールド、トレジャーアイランド、ベネチアン、シーザーズパレス、プラネットハリウッド、アリア、ＭＧＭグランドの９ヶ所のカジノホテル。
（2022年からリゾーツワールドが、2024年からファウンテンブルーが加わった）

ストラトからの花火も悪くはないが、遠く離れた場所でのポツリとした存在。

　ちなみにアメリカの花火大会の多くは日本のそれとはちがい １時間も２時間もやらない。
　10分にも満たない短時間で終わるのが普通で、この大会も例外ではなくその継続時間は約８分前後となっている。
　したがって、始まったかと思えばすぐに終わってしまうので宿泊ホテルの館内から群衆をかき分けながらストリップ大通りへ出る際は、打ち上げ開始時刻に遅れないよう十分注意するようにしたい。

　だからといって、各ホテルの宿泊者はルームキーを持たずにあわてて外に出ると大変なことになる（通常でもルームキーを持たずに部屋を出ることはないだろうが）。
　というのも、あまりにも群衆が多いことから混乱を避ける必要があり、アリアやベラージオなど一部のホテルでは、繁華街からホテルの敷地内に入る地点などでルームキーの提示を求められ、宿泊客以外は敷地内に入れないようにしているからだ。
　地元警察の発表によると、今回の年末年始のイベント期間にストリップ地区とダウンタウン地区を訪れる者は合計で約40万人とのこと。

トレジャーアイランドとベネチアンホテルから打ち上げられた花火。

　カウントダウンは 12月31日23時59分50秒に始まり、新年を迎えた瞬間に盛大な花火が一斉に打ち上げられるわけだが、今年は各ホテルの広告塔のみならず、巨大球形アリーナとして人気の「スフィア」の屋外スクリーンにもカウントダウンの数字が表示される予定になっているので、位置的にそれを見られる場所にいる場合はスフィアにも注目だ。
　なおスフィアでは、ラスベガス時間の23時59分50秒だけでなく、31日早朝から世界中のタイムゾーンに合わせてカウントダウンの数字が表示される予定で、ラスベガス時間の31日午前5時にシドニーの、午前7時に日本の新年が告げられる。

巨大球形アリーナ「スフィア」。この写真は花火大会とは関係ない時期に撮影。ここにカウントダウンの秒読みの数字が表示される予定。

　花火の打ち上げ総数に関してはまだ発表されていないが、これまでの例だと約80,000発。
　例年通りの数だとすると、１ヶ所のホテルから８分間に１万発近い数の花火が打ち上げられることになり、単純計算で１秒間に約20発だ。
　ほとんど途切れることのないこの高速連射による演出はまさに短時間勝負なので、脇目も振らずに集中して楽しむようにしたい。
　なお、打ち上げ場所が群衆に非常に近いため安全上の理由により個々の花火のサイズはそれほど大きいものではなく、日本におけるいわゆる二尺玉、三尺玉のような巨大花火は期待できない。ホテルの屋上の強度という意味でも巨大花火は無理だろう。

ラスべガス国際空港の滑走路付近まで離れた位置から見た過去の花火大会の様子。

　なおこの時期になると「どこで見るのがベストか？」といった問い合わせが寄せられることがあるが、どこを選んだとしても現場は高層ホテルに囲まれた環境のため、ストリップ大通りから遠く離れた郊外に行かない限り９ヶ所すべての花火を同時に見ることはできない。
　したがって場所にあまりこだわることなく、宿泊ホテルの近くで見ればよいと思われるが、この鑑賞場所に関してはそのつど現場の混雑状況などを確認しながら臨機応変に対応するようにしたい。
　盛り上がりという意味ではベラージオホテルやフラミンゴホテルがある交差点の付近が中心街なのでベストポジションということになるが、おびただしい数の群衆により、もみくちゃにされてしまう可能性もあるので、子連れファミリーや体力に自信がない人は要注意だ。

　群衆といえば、利用者が多すぎるためかスマホが大変つながりにくい状態になるので、同行者と離れてしまったときを想定し、あらかじめ集合場所などを決めておくようにするとよいだろう。

　なおダウンタウン地区のフリーモントストリートエクスペリエンスでは、ブロックパーティー「Time of Your Life Celebration」と称するイベントが開催されることになっており、プラザホテルからは映像ではない本物の花火が打ち上げられる予定。

　さて、花火や見学のことばかり書いてきたが、持ち物や交通規制に関しても知っておく必要がある。
　テロ防止などの観点から以下のようなものはストリップ大通り、フリーモントエクスペリエンス、そしてモノレールに持ち込めないので覚えておきたい。
　ベビーカー、カート、バックパック、30センチ×30センチ×15センチより大きいカバン（マザーズバッグ、コンピューターバッグ、スーツケースなども含む）、ガラス製のビンやグラス。規制対象は31日午後6時から1日午前6時まで。

　歩行者天国に関してだが、12月31日の午後6時30分からストリップ大通りで通行規制が始まり午後8時ごろまでに完全に閉鎖され歩行者天国に。
　花火大会の終了後、例年午前2時ごろから大通りの清掃が始まり、清掃が終了する午前4時30分ごろに規制が解除される予定。

　その時間帯、路線バス、レンタカー、タクシー、ウーバーなども走行できなくなるので要注意だ。
　モノレールの軌道がストリップからやや離れているためあまり使い勝手がよいとは言えないが、歩行者天国によるバスやタクシーの通行規制を考えるとモノレールの存在を知っておいて損はないかもしれない。

　歩行者天国の範囲は以下の地図のとおり。つまりトレジャーアイランド、パラッツオの前は歩行者天国になるものの、ウィン、ファッションショーから北側は車が通行するので、リゾーツワールド、ファウンテンブルー、ストラトなどで花火を見る場合は車両に気をつけるようにしたい。

縦に走る赤い線がストリップ大通り。赤い線が交通規制になる。（ラスベガス警察のサイトから）

　レンタカー族にとって知っておきたい高速15号線の規制に関しては、トロピカーナとフラミンゴの南北両方向からの出口が午後5時30分から通行止めになる。
　郊外の観光スポットなどを訪れる予定の場合は早めに戻って来るようにしないと宿泊ホテルに帰れないことになるので要注意だ。

　規制ばかりだが、うれしい話もある。路線バスのRTCバスにおいて、31日午後6時から1日午前9時までほとんどの路線で乗車料金が無料になる。
　そしてデュース（ストリップ路線のバス）を含むいくつかの路線では通行止め区間を迂回することになり、迂回する時間帯はダウンタウン地区が31日午前11時30分～1日午前5時、ストリップ地区が31日午後5時30分～1日の規制が解除されるまでとなっている。
　くわしくはRTCの公式ウェブサイトを参照のこと。

　なお、現時点ではまだ発表されていないが、モノレールは毎年31日午前7時から2日午前2時まで休みなく43時間連続運行しているので、たぶん今年もそうなると思われる。

　最後に。群衆に近いということもあり強風の場合は消防当局の判断で花火大会そのものが中止になる可能性がある。
　が、なぜか過去23回、コロナでの中止を除き、一度も中止になったことがない。確率論的にはあまり心配する必要はないだろう。
　では読者の皆さん良いお年を。

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