日本では衆議院選挙が行われたばかりだが、11月5日はアメリカの大統領選挙の日。
そしてここラスベガスがあるネバダ州は数少ないスイング・ステート(swing state:共和党と民主党のどちらが勝つかわからない激戦州)とされていることもあり、日々の生活の中で選挙戦の激しさを感じない日はない。
特に後述する郵便物に関しては量的にも質的にも異常ともいえるほどで、ただただ圧倒されるばかりだ。
ちなみにスイング・ステートかどうかの具体的な線引などはないが、現時点では全米50州の中でネバダ、ミシガン、ノースカロライナ、ペンシルベニアなどを含む6~7つの州がスイング・ステートとされている。
といった政治の話はそこまでで、ここエンターテインメントの聖地ラスベガスから政治の話をするつもりはないし、そもそもこのラスベガス大全は政治を語るほどの知識も情報も持っていない。
というわけで、ここでは日米の選挙戦の違い、具体的には候補者自身の売り込みやライバル候補に対する批判合戦などに関して当地ネバダ州における現状を写真を中心にお届けしてみたい。
「日米の違い」と書いたが、かなり違うようにも見えるし同じように見えたりもする。
たとえば候補者の名前を告知する看板やポスターはどうかというと、日本もアメリカもやっていること自体は同じような感じだ。
日本の選挙ポスターがA3サイズ(約42cm×30cm)に制限されていたり、公設の掲示板の中の指定された位置に貼らなければならないのと比べると、アメリカの場合はサイズも場所も自由度がかなり大きいように見受けられる。
では各個人が特定の候補者を応援する場合の看板やポスターについてはどうか。
アメリカの場合、住宅の庭が比較的広いのと道路からの視認性が高いためか、以下の写真のような感じで各個人が自宅の庭に看板を設置したりすることが多い。
といっても日本でも個人宅や商店などが支援者のポスターを貼ったりすることはよくあることで、そういう意味では日米において大きな違いはないのかもしれない。
次に郵便物。これはルールの違いからなのか政治資金の予算的な違いからなのか、かなり日米で違うように見受けられる。
選挙戦が始まると以下の写真のようなさまざまな形態の郵便物が各家庭に連日送られてくる。
これまで当地で大統領選の時期を6回体験しているが、今回は量が半端ではない。投票日が近づいてきたここ数週間は、毎日10通以上が郵便受けの中に。
郵便による配布ばかりではない。近隣の支援者たちがやっているのか、ドアノブにまでさまざまなメッセージが届く。
テレビやネットでの選挙広告も同様にすさまじい。ここ数週間は一般企業のものよりも目立っており、スマホでニュースサイトなどを開けば選挙広告ばかりだ。YouTubeなどの動画もしかりで、動画再生中に選挙広告が差し込まれてくる。
以上のように書くと、さぞかし騒々しい選挙戦のように思われるかもしれないが、そうでもない部分もある。
日本でいうところの選挙カーだ。ウグイス嬢が候補者の名前を連呼しながら繁華街などをゆっくり走るあの種の車両は、ルールで禁止されているのかどうかは未確認だが、少なくとも今までラスベガスで遭遇したことがない。
というわけで、テレビ、ネット、印刷物などでの論戦は激しいが、音声的には繁華街も住宅街でも日本と比べるとかなり静かで、そのへんの違いは興味深い。
さて最後はそれぞれの広告の中身、つまり主張の内容についてだが、これはもう日米でまったく異なっている。
なんともアメリカらしいというか、自分自身の公約や主張よりも対立候補の悪口のほうが目立つほどで、中には自分の名前よりも敵の名前のほうを大きく書いているポスターもあったりする(当然「この人には投票するな!」という内容)。
日本でも対立候補のことにふれること自体は禁止されていないようだが、アメリカでは敵を叩かなければ損とばかりに相手の欠点を箇条書きに並べて自分の正当性を主張したりするのが一般的で、とにかく「選挙戦 = 批判合戦」といった様相だ。
日本では品位を重んじる文化があるためか相手の悪口は自身のイメージダウンにつながりかねない。
しかしアメリカでは戦意や敵意を見せないと弱虫扱いされてしまうようで、のの知り合いの論戦になりがちだ。(日本でも特に野党にはそのような傾向が見られるが、アメリカほどではないように見受けられる)
果たしてトランプ、ハリス、どっちが勝利を収めるのか。その行方や結果はともかく、日米の選挙戦の違いを以上の写真などから感じ取りながら、このあと開票日までのニュース番組などを楽しんで頂けたら幸いだ。