2022年2月16日のこのコーナーで「マスク着用の規制が全面解禁」と書いてしまったので、情報更新しないわけにはいかない。
明るい話題ではないのが残念だが(2月の解禁を望んでいなかった者にとっては朗報かもしれないが)、先週から当地ラスベガスでまたマスク着用(ただし屋内のみ)が復活した。
といってもかつてのような「強制」ではなく、あくまでも保健当局からの「奨励」だ。また今回は全国レベルのルールではなく当地独自の通達なので深刻度は以前よりも低い。
マスク着用復活の理由はもちろん感染状況の悪化で、当地ネバダ州の新規感染者数が増加傾向にあるというからこの夏にラスベガス旅行を計画している読者にとっては聞き捨てならない心配事だろう。
「増加傾向」と聞くと、「ではどの程度の増加なのか」となるわけだが、その説明はなかなか難しい。というか感染傾向を新規感染者数の絶対値の増減で語ることはもはや意味がないとされている。
なぜなら、公的な検査会場や医療機関で検査をせずに、市販されている検査キットを使って自宅で検査をする者が多いからだ。自宅検査の場合、結果がたとえ陽性であったとしても医療機関に行かなければ統計としてカウントされない。
そのような実情を踏まえた上で絶対値ではなく相対的な変化として表現するならば、4月上旬の最低水準だったころと比べると、その後の約3ヶ月の間にゆるやかに上昇を続け、その最低だった時期の 5~10倍程度にまで増加している。
ただ、この相対的な変化すらも自宅検査の存在を考えると意味がある統計とも思えず、実際はもっと増加しているのかもしれない。
では他州はどうかというと、多くの州で増加傾向が見られるものの全国一律ではないようだ。
そのため今回は全米レベルの強制ではなくローカルの通達として発表されたわけだが、その通達内容をもっと詳しく知りたい場合は以下のネバダ州南地区を管轄する保健当局のサイトを参照されたし。
Southern Nevada Health District からの通達
さて気になってくるのは、通達が出てから約10日ほどが経過した現在の現場の様子だろう。
結論から先に書くならば、カジノホテル内でもコンベンション会場内でもマスク着用者はほとんどいない。
以下の写真は本日(6月21日)ウェストゲートホテルのロビーに掲示されていた「安全に楽しく」と題された注意書きだ。てっきりマスク着用を奨励しているのかと思いきや、なんとそこに書かれていたのはマリファナや武器の持ち込み禁止だった。なんともこの国らしい。
現場に保健当局の通達を掲示していないためか、下の写真からもわかるとおりロビーやカジノ内でマスクを着用している者はほとんど見かけない。
仮に通達を掲示したところで強制にしない限り着用者が大幅に増えることはないと思われる。いずれにせよマスク着用が当たり前の日本と比べるとかなり楽観的であることは間違いなさそうだ。
次の写真は現在開催されている大型コンベンション「LightFair」(照明業界の大型トレードショー)の会場内の様子だ。
こちらはホテルとは異なり、いきなり会場の入口付近にマスクを描いた掲示物が立っていた。
ただ内容をよく見ると recommended but not required (奨励するが強制ではない)と書かれているではないか。
わざわざ not required を付け加える必要もないように思えるが、それが影響しているのか会場内にマスク着用者はほとんど見当たらなかった。
やはりコロナに対する人々の受け止め方は、アメリカと日本ではまったく異なっていると言わざるをえない。今後アメリカ旅行を計画している読者にとっては知っておいて損はない現実だろう。
なお最後にこれは蛇足だが、韓国系の出展企業のブースではマスク着用者が目立っていた。
コロナ禍のこの時期に韓国から出張ベースでアメリカまでやって来たのか興味があったので現場で質問してみると、在米支社のスタッフとのこと。
やはりアメリカ在住者でもアジア系はマスクが好きなのか、それとも心配性なのか。
たぶん日本企業が出展していたとしても同じようなことになっていたと思われるが、それはともかく会場内を見渡した限りでは、照明大手の KOIZUMI、KOITO、STANLEY、さらに Panasonic、TOSHIBA、いずれのブースも見つけることはできなかった。
長らく続く景気低迷で日系企業に元気が無いのか、コロナを恐れてのことなのかはわからないが、韓国や中国企業の存在感が高かっただけになんとも寂しい限り。日本企業の今後の奮起を期待したい。
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