「コロナは完全に終わった」とばかりに各種規制が解除され、アメリカ全土が平常時とほぼ同じ社会生活に戻ったのはたった2ヵ月ほど前のこと。
そして7月4日の独立記念日には建国と一緒にコロナ制圧も祝うかのようなムードの中でアメリカ全土で盛大な花火大会が行われた。
ところが今、デルタ型の変異ウイルスが猛威をふるっており、いくつかの州では大変な事態になっている。
たとえばフロリダ州(人口約2200万人)では8月に入ってからの直近の日々の新規感染者数が2万人を超えているというから尋常ではない。人口比でいうならば、日本で毎日12万人近くが感染しているようなことになる。
ラスベガスがあるここネバダ州(同310万人)や近隣のカリフォルニア州(同3900万人)でもフロリダ州ほどではないものの日々の感染者数はそれぞれ1千人、1万人を超えており、数字だけを見る限りかなり危険な状態になりつつある。
では数字はともかく健康上の危険度はどれほどなのかというと、これがよくわからない。デルタ型に関してはわかっていない部分があまりにも多すぎるからだ。
ワクチンの効果、ワクチン接種者の感染リスク、無症状者の比率、すでに感染済みの者の再感染の可能性、年齢別の症状、後遺症の程度、重症化リスク、死亡率など、諸説ありすぎ専門家の間でも意見が分かれたりしている。
わかっているのは感染力くらいか。デルタ型は従来型よりも感染者が保有するウイルスの数がケタ違いに多いようで、結果的に感染力が非常に強いということはたしからしい。
つまりわかりやすくたとえるならば従来型の場合、感染者の1回のクシャミで100粒のウイルスが飛び散るとすると(実際はそんな程度の数ではないだろうが)、デルタ型の場合は1万粒が飛び散るとか、そんな感じの違いと考えればよいのではないか。
そうであるならば感染者が急増していることは理解できるわけだが、感染者の急増が必ずしも社会的な健康上のリスクの増大になるとは限らないところが問題をむずかしくしている。
なぜなら従来型よりも感染者が増えてもデルタ型の場合、重症化リスクが低かったり、またワクチン接種率や接種方法の改善などによっては医療崩壊などを防げる可能性もあるからだ。実際に従来型に比べて死者の数は大幅に少ないらしい。
とはいえ死者数が少ない理由を含め未解明な部分が多すぎるため、今後このデルタ型によって社会がどのように変化していくのかまったく読めないばかりか、さらにラムダ型といった変異株も現れてきており不安要素は尽きない。
その一方で、3回目のワクチン接種の効果に期待がかかったり、さまざまな変異株にも効果がある新たなワクチンや特効薬の開発も進んでいるとの話も聞くなど、とにかく悲観論と楽観論が入り乱れているのが今の現状だ。
前置きが長くなってしまったが、ではラスベガス旅行を考えているであろうここの読者(日本からの海外旅行は現実的ではないので在米の読者がほとんどと思われる)に伝えたい結論は何かというと、「しばらくは待ったほうがよいのでは」ということになる。
というのも、死亡率や重症化率が従来型よりは低いとはいえ、新規感染者は日々増加傾向にありピークアウトの兆しがまったく見えていないのと、それにより規制などを決める行政側の今後の方針が急変しないとも限らず、その結果としてレストランやナイトショーなどサービスを提供する側の対応も急変しかねないからだ。つまりラスベガス旅行を計画しても突然すべての予定が狂ってきてしまう可能性がある。
そして何より自分自身の感染リスクを考えると、今は雑踏の中に身を置くような時期ではない。無症状で検査を受けていない者も相当数いるはずで、実際の感染者数は公表されている数字よりもさらに多いと考えるべきだろう。
ちなみに現時点におけるラスベガスでのコロナ規制は室内空間や交通機関内でのマスクの着用だけで、5月末まで継続されていた飲食店や劇場などでの人数制限やナイトクラブなどの営業規制はまだ発表されていない。
経済の発展や雇用も大切という意味では、「死亡率や重症化率が低いのであればインフルエンザと同程度の対応でよいのでは」といった共和党などに多い規制不要論も理解できるが、症状などには個人差があること考えると重症化しにくいとはいえ不安は尽きない。
未知の要素が多い中、経済と健康のバランスを考えながら方針を打ち出さなければならない行政の現場の苦労は想像に難くないが、行政側の規制が今後どのようなものになるにせよ、今は自分の身は自分で守るべく危険を避けるべきと思うが、いかがだろう。
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コメント(3件)
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私がもし御社の社長だったら、あなたの毎回のブログがどれほどの多くのベガスファンの支持をされているか、そしてあなたの給料を上げてやろう!と思います。
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青木様
ご閲覧、そして心温まるご投稿、誠にありがとうございます。少しでもお役に立てているのであれば、大変うれしい限りです。ラスベガスにいらっしゃる際はコロナ感染にくれぐれもお気をつけください。青木様の益々のご活躍ご発展をお祈りいたします。
あなたのブログに感謝してメールを送ろうとするのですが、どういうわけか送信ができない状況になって
諦めていました。原因はアクセスコードが正しくなかったことで・・と分かりました。
これはあなたの届くと思います。今後もあなたのブログを楽しみにしています。