先週まで暗いニュースが続いたので今週は明るいニュースをお届けしてみたい。
現在ラスベガス大通りの北地区で建設工事が進められている大型カジノホテル「リゾーツワールド・ラスベガス」(Resorts World Las Vegas)に関する話題だ。
新型コロナで先行きの景気が見通せず、さまざまなプロジェクトが中断、延期、中止などになっているなか、リゾーツワールドの工事は 2021年夏(もしくは秋)の開業を目指し、引き続き順調に続行されている。
とはいえ、既存のカジノホテルの多くが平日の営業を打ち切るなど(つまり週末のみの営業)、現在のラスベガスの景気は極度に低迷しており、宿泊需要の回復の気配はまったく見られない。
そんな状況にあるため、このリゾーツワールドに関しても建設工事の中断や、完成しても営業開始はしばらく見合わせるのではないかといった悲観的な憶測や噂が流れていたが、このたび従業員の募集を開始したというから、失業者が急増中の地元としては大いなる朗報のはずだ。
ちなみにその人材募集の告知は以下の写真の通り、自慢の外壁ディスプレイで大々的に表示させているので本気度がうかがえる。
というわけで、求職中の地元民は応募してみるのも良いかもしれないが、ここの読者の大半は地元民ではないラスベガスのファン。
そんな読者のために、外壁ディスプレイの写真などを中心にこのホテルを簡単に紹介してみたい。
ロケーションは、2007年に爆破解体されたスターダストホテル(写真下)の跡地で、経営の主体はマレーシアに拠点を置くリゾート・レジャー業界の大手 ゲンティン社。
創業者(故人)も現経営陣も華僑というチャイニーズ系の企業のためか、リゾーツワールドのテーマも「チャイニーズ」ということになっている。客室数は約3,500。
ちなみにすべてが予定通りに進めば、このホテル内に別ブランドの Crockfords Las Vegas という高級ブティックホテル(230室)も入居する予定になっているが、コロナの成り行きが不透明なだけに果たしてどうなることか。
リゾーツワールドの自慢というか特徴は、今後さまざまなアトラクションが造られるようだが、現時点においては客室棟の壁面を利用した 超大型ディスプレイ といってよいだろう。
しかしこの突拍子もないアイデアは、建設開始時から計画されていたわけではない。外壁デザインの無断コピーという裁判沙汰の副産物として誕生したもので、当初の計画では近隣のホテル(ウィンとアンコール)の外観とそっくりのデザインだったためクレームが入り、建設開始後に変更を余儀なくされた結果、現在の巨大ディスプレイになったという次第だ。
そのそっくりだったころの写真などに興味がある場合は、当時の週間ラスベガスニュース第1145号にくわしく掲載されているので こちらをクリック。
この写真のように開業前の今からテスト表示も兼ねて宣伝広告などを表示させているわけだが、無断コピー騒動によってこのような外壁になったことは、広大な広告スペースの確保という形で収入に繋がる可能性があるので結果的には良かったのではないか。
さらに「ラスベガス最大の広告ディスプレイ」とかの触れ込みで観光スポットにでもなれば、なおさら良い結果を招くことになるだろう。
ただ、このディスプレイ、喜んでばかりはいられない。面積的に大きいだけで解像度的には致命的な欠点があり、小さな文字の表示にはまったく向いていないからだ。
客室の窓の部分には発光装置を設置していないため、上の写真のように文字の中が 四角い穴だらけの表示になってしまうことが避けられない。
その意味では、「ラスベガス最大の広告ディスプレイ」をうたうには、同様な巨大ディスプレイを持つパームス(Palms)ホテルに負けていると言えなくもない。
話が他のホテルに飛んでしまったが、パームスはストリップ地区で唯一と言ってもよいほど再開業のメドがまったく立っていないホテルで、数年間はオープンしないのではないかとの噂すらある。再開業しなければリゾーツワールドのライバルにはなり得そうもないが、ディスプレイだけはこのまま運営され続ける可能性も。
ちなみに上の写真は 12月1日のもので、現在はラスベガスを本拠地とするアメリカンフットボールのチーム「RAIDERS」を応援するメッセージが表示されているだけで、他の宣伝広告などが表示される気配はなかった。
巨大ディスプレイが自慢の、新規開業を目指して建設続行中の元気なリゾーツワールドも、そしてコロナからの回復を静かに待つパームスも、両ホテル共に今後どうなるかまったくわからないが、とにかく無事にオープンできることを願ってやまない。