8月27日の午前10時、新型コロナの影響により約5ヶ月半に渡って閉鎖されていたミラージュホテルが静かに再オープンを果たした。
すでに多くのカジノホテルが営業を再開しており、再オープン自体に特にニュース性はないが、このホテルは今日のラスベガスの繁栄を築いた草分け的な存在。
1990年代に始まった巨大テーマホテルの建設ラッシュの先駆けとして、1989年末にオープンしたのがこのホテルであり、30年が経過した今でもゴージャスなストリップ地区の象徴的なホテルとして色あせておらず、その再開業が待たれていた。
午前10時、そんな偉大なるホテルのドアが開く瞬間に立ち会い、またその数日後にも館内の様子などを見てきたので、写真を中心に現在の現場の状況をレポートしてみたい。
結論としては、マスクの配布や手の消毒などに関する施設、さらにはカジノ内の各ゲームの現場にアクリル板が数多く設置されたりしていること以外、コロナ前と大きな違いは見られなかった。
変化した部分をあえて書くならば、館内のことではないが、ストリップ大通りから正面玄関に至る進入路に、ある人物にちなんだ道路名が付いたということ。それについても、このあとの写真で紹介。
なお、このホテルのシンボル的存在の「VOLCANO」(火山のショー)に関して、事前に「改良がなされ、新バージョンになっているはず」との噂も耳にしていたので少々期待しながら現場に足を運んでみたが、特に大きな変化は見られなかった。その動画も以下の写真のあとに掲載しておいたので、興味がある人はご覧いただければ幸いだ。
8月27日の開門 10分ほど前の様子。スーツケースを持ち宿泊客と思われるのは 3~4組だけで、あとは地元民か近隣のホテルの宿泊者なのか、大きな荷物を持っている者はそれほど多くない。
開門予定時刻は 10:00am。実際にドアが開いたのは 10:01am。開門時点で待機していた人の数は約100人だった。
館内に入ると、おびただしい数のスタッフが整列して来場者を拍手で歓迎。地元のテレビ局や新聞社などメディア関係者も多数いた。
ここでもメディア関係者が来場者にインタビューしていた。
新型コロナに関する大きな注意書きが、通路をふさぐかのように置かれていた。マスクがない者はここでマスクを受け取り着用しなければならない。消毒用のアルコールもあったが、体温測定はなかった。
このホテルの名物ともいえる熱帯魚が泳ぐフロントロビー。開門直後にチェックインしたのは 3~4組だけだった。
ここにもマスクを配布するスタンドが。なお、この写真も含めて以下に掲載する写真はすべて再開業日の 8月27日ではなく、8月31日の午後7~8時ごろに撮影。
手を洗うことが出来るスタンドが用意されていた。
この写真からは確認しづらいが、アクリル板が存在していることがわかる。通常は6人が着席できるテーブルだが、現在はソーシャルディスタンスを確保する必要があり、アクリル板で仕切られ3人限定のテーブルに改造。
ここでもアクリル板が登場。立ってプレーするゲームのため、通常であれば 10人以上でもプレー可能だが、今はアクリル板で仕切られ6人限定。
たしか当局の規則では「ルーレットは4人まで」となっていたような気がするが、ここではイスが3人分しか用意されていなかった。なぜかアクリル板は存在しない。
このルーレットテーブルでは、悪名高い「トリプル・ゼロ」を採用。カジノ全体ではダブル・ゼロ台も存在していた。もちろんハイリミットセクション(高額の賭け金でプレーする人たちのためのセクション)にはシングルゼロ台も存在。
なお、トリプル・ゼロに関する詳しい情報は <[ルーレット、トリプルゼロ(0、00、000)が常態化] をクリックまたはタップ。
スロットマシンにおいても、ソーシャルディスタンスを確保する必要があるため、プレー可能なのは一台おき。となりの台には黒い円形の張り紙で使用不可であることが説明されている。
使用できないマシンにはこのような注意書きが。
高額ジャックポットが出ることで人気のプログレッシブ型ストットマシン「Wheel of Fortune」
午後8時ごろというピーク時の時間帯だったにもかかわらず人影はほとんどない。(アクリル板がセットされていないことでもわかるように、そもそもここのセクションは使用していない。それほど需要が少ないということか)
スポーツブックの様子。大型スクリーンでは野球、バスケットボール、アイスホッケー、女子テニスが放送されていたが、午後8時というピークの時間帯であるにもかかわらず閑散としていた。コロナの影響はかなり大きいようだ。
カウンター内にスタッフがいなくても各スポーツの試合に賭けることが出来るよう、セルフ用のマシンが設置されていた。ちなみに今週の PGAゴルフの今季最終戦「ツアー選手権」における松山英樹の優勝に賭けた場合の配当倍率は 20倍だった。
和食レストラン OTORO LOUNGE はコロナの影響でまだ開業していない。
食べ放題の Craving Buffet も開業を見合わせ中。
イタリアン料理の COSTA は数少ない開業中のレストランのひとつ。
この道路に、このたびの再開業に合わせて名前が付けられた。以下の写真にその道路名が。
その名も SIEGFRIED AND ROY Drive。 SIEGFRIED AND ROY とは、このホテルの開業時から 2003年までの約13年間、専用シアターでトラや像を使ったイリュージョン・ショーを演じていたデュオの名前でもあり、ショーの名前でもある。
ROY は 2003年10月の公演中、ステージ上でトラに首を噛まれて重症を負うという信じがたい不幸に遭遇。公演はその日を最後に打ち切りとなった。その後 ROY は後遺症が残ったものの、なんとか命は取り留め 2020年までベガスに在住していたが、新型コロナに感染し、本年5月に死去。相方の SIEGFRIED はベガスで元気に暮らしている。
ストリップ大通り沿いの歩道にある SIEGFRIED AND ROY PLAZA。(新型コロナ騒動の前から存在)
SIEGFRIED AND ROY PLAZA には、二人の顔とトラの像が飾られている。
火山のショーは午後8時から1時間おきに11時まで。(冬期は変更になる可能性大)
屋外のアトラクションではあるが、この火山のショーの見学においてはソーシャルディスタンス(6フィート、約180cm)が求められており、足元にはその印が。
ベラージオホテルの噴水ショーと並ぶラスベガスを代表する無料アトラクションとして名高い「Volcano」(火山)ショー。
最後はそのショーの動画(約2分。後半では観客の混雑度なども見ることが出来る)と、根拠に乏しい余談で今週の記事を終わりとしたい。
これは根拠に乏しい余談。一ヶ月ほど前に、あくまでも噂の域を出ていない話として「スポットニュース」のセクションでも書いたが、カジノ業界の重鎮であると同時に世界有数の大富豪でもある Sheldon Adelson 氏(フォーブス誌が発表した 2019年の富豪番付によると、総資産約370億ドルで世界第24位)は、MGM社からミラージュホテルを買い取ったあと、それを爆破解体し、そこにスタジアムを建設してニューヨーク・メッツをラスベガスに誘致するという構想をねっているとの噂がある。
ちなみに Adelson 氏は 1995年、世界最大級のハイテク業界のコンベンションだった COMDEX(毎年秋にラスベガスで開催)を、日本のソフトバンク社に約8億ドルで売却。その資金などを元に、ベネチアンホテルやパラッツォホテルを建設し、現在両ホテルを運営する Las Vegas Sands社の CEO となっているばかりか、同社を通じてマカオやシンガポールにも複数のカジノホテルを所有。
ミラージュは、ストリップ大通りを挟んでベネチアンやパラッツォの向かい側にあることから、立地条件的にもこの噂の信ぴょう性が高まっている部分もあるが、その一方で、Adelson 氏は年齢的にも(87歳)、健康状態的にも(現在健康状態は決して芳しくない様子)、そのような計画を検討しているはずはない、との否定的な憶測もある。
なお COMDEX は 911同時多発テロ後の不況やソフトバンク社の戦略ミスなどにより、2003年の開催を最後に消滅している。
コメント(2件)
爆破解体?ミラージュが?ラクソーの噂ではなく?
えーー ミラージュ爆破は嫌だなー