今年も残すところ、あと一ヶ月半。今週は、少々早いかもしれないが、毎年恒例のカウントダウン花火大会の話題と、その花火大会を世界最大の観覧車から鑑賞しようという贅沢な年越しツアーを紹介してみたい。
リピーター読者にとっては毎年同じような内容になってしまい恐縮だが、まずは花火大会について。
今回で20回目を数えるこの「大晦日・年越しカウントダウン花火大会」は、複数のホテルの屋上から繁華街の夜空に向かって約80,000発の花火が打ち上げられることで知られており、もはやラスベガスの冬の風物詩として定着している。
打ち上げホテルがどこになるかに関しては、まだ主催者側からの最終的な発表がないので確定ではないが、過去7年間変更がないことを考えると、たぶん今回もこの地図の赤い部分、つまり北から順に、ストラット、トレジャーアイランド、ベネチアン、シーザーズパレス、プラネットハリウッド、アリア、MGMグランドの7ヶ所のホテルになるものと思われる。
ちなみにアメリカの一般的な花火大会は日本のそれとはちがい 1時間も2時間もやらない。多くの場合、10分にも満たない短時間になるのが普通で、このカウントダウン花火大会も例外ではなく、その継続時間は約8分前後と非常に短い。
したがって、始まったかと思えばすぐに終わってしまうので、宿泊ホテルの館内から群衆をかき分けながらストリップ大通りへ出る際などは、打ち上げ開始時刻に遅れないよう十分注意が必要だ。
開始時刻はもちろん 12月31日23時59分50秒にカウントダウンが始まり、そして新年を迎えた瞬間に盛大な花火が一斉に打ち上げられる。
花火の総数は前述の通り約80,000発。これは1ヶ所のホテルからわずか8分間に1万発以上が打ち上げられることになり、単純計算で1秒間に約23発。それが7ヶ所。
ほとんど途切れることのないこの高速連射による演出はまさに短時間勝負なので、脇目も振らずに集中して楽しむようにしたい。
なお、打ち上げ場所が非常に群衆に近いことから安全上の理由により、個々の花火のサイズはそれほど大きいものではなく、日本におけるいわゆる二尺玉、三尺玉のような巨大花火は含まれていないことはあらかじめ知っておいたほうがよい。
さて、年末が近づくと、「どこで見るのがベストか?」といった問い合わせが毎年寄せられるが、どこを選んだとしても現場は高層ホテルに囲まれた環境のため、ストリップ大通りから遠く離れた郊外に行かない限り、7ヶ所すべての花火を見ることはできない。
したがって場所にあまりこだわることなく、宿泊ホテルの近くで見ればよいと思われるが、この鑑賞場所に関してはそのつど現場の混雑状況などを見ながら臨機応変に決めればよいだろう。
なお、エクスカリバーよりも南、もしくはウィンよりも北のホテルに宿泊している場合、ホテル周辺は通行人が少なく盛り上がりに欠けるのであまりおすすめできない。できれば中心街まで出向いたほうが、この活気あるイベントの雰囲気を楽しめるはずだ。
盛り上がりという意味では、ベラージオやフラミンゴがある交差点の付近(上の写真)が中心街なのでベストポジションということになるが、おびただしい数の群衆の中で、もみくちゃにされてしまう可能性もあるので、子連れファミリーや体力に自信がない者は注意したほうがよい。
あと忘れてはならないのが、ストリップ大通りは 12月31日の夕刻5時ごろから深夜2時ごろまで歩行者天国になるということ。その時間帯のレンタカー、タクシー、ウーバー、路線バスなどの利用を想定した行動は計画しないに限る。
なお、群衆に近いということもあり、強風の場合は消防当局の判断で花火大会そのものが全面的に中止になる可能性もある。
が、なぜか過去19回、一度も中止になったことがない。過去のデータからの予測という意味では、悪天候に見舞われる確率はかなり低そうなので、あまり心配する必要はないだろう。
さて、ここからは冒頭でふれた「世界最大の観覧車 “High Roller” から花火を見よう」というオプショナルツアーについて。
なにやら宣伝広告のようになってしまうが、このたび日本語ガイド付きのこの贅沢な年越しツアーがルックアメリカンツアーから発表され、予約の受付も始まった。(すぐに売り切れになる可能性も)
DJを交えてのオープンバーによる「ニューイヤーズイブパーティー」(アルコールを含めた各種ドリンクやアペタイザー付き)も含まれているというこのツアーのクライマックスは、もちろん観覧車からの花火鑑賞ということになるわけだが、よく考えたらこれが非常に贅沢な超貴重体験であることがわかる。
というのも、花火打ち上げ時のストリップ大通りは、日本のラッシュアワーの通勤電車並かそれ以上の大混雑で、身動きが取れないような劣悪な環境になる可能性が高いが、観覧車の中は人数限定の優雅な空間。
その差を数字で見ると、例年ストリップ大通りの群衆の数は約20~30万人とされており、一方の観覧車からの鑑賞者は全キャビン合計で約300人程度。
そう考えると、このツアーは、花火を見に来た観衆の中の「1000人に1人」というまさに限られた人だけの贅沢な体験が可能なツアーということになる。
そのように書くと、すごいツアーのようにも思えてしまうが(たしかにすごいが)、このツアーにはあらかじめ知っておかなければならない残念な現実もある。それは多くのカップルが期待してしまう「二人だけのロマンティックな空間や時間」といった体験はできないということ。
一般的に日本で「観覧車」というと、1組のカップルだけが乗り込むような状態を想像してしまいがちなため、このツアーにおいても勘違いしてしまう人が多いようだが、世界最大のこの観覧車は個々のキャビンが非常に大きく、1組のカップルだけが占有するような設計にはなってない。ようするに乗り合いだ。(他の国の大型観覧車などでも同様なことが言えるが)
したがってこのツアーは、「二人だけの世界」ではなく、たくさんの人たちと一緒にワイワイ盛り上がることを楽しむツアーと考えるべきで、それを納得した上で参加するのであれば、きっと思い出に残る貴重な体験となるにちがいない。
ちなみに観覧車の個々のキャビンは貸し切りで、花火を見るだけではなく、他の同乗者と一緒にカウントダウン、さらにその直後に新年を祝うスパークリングワインでの乾杯なども予定されており、主催者側の言葉を借りるならば「まさしく映画で見るようなアメリカ流の新年の迎え方を体験できるツアー」ということになるようだ。
さて、ここまでを読んだ読者の多くは、「自分が乗ったキャビンが、カウントダウンのときに下の方の位置だったら景色はほとんど見えないことになるが、その場合はどうしてくれるのか?」と気になっているにちがいない。しかしその心配は無用だ。
なぜなら今回の花火鑑賞ツアーにおいては、観覧車全体の上半分の位置にある十数基のキャビンしか使用しないことになっているからだ。つまり通常の運行とは異なり、花火が打ち上げられている間は観覧車自体の回転が停止する。
そうなると新たに、「オレが乗るキャビンはどの位置で停止するのか?」といった疑問がわいてくることになるが、それは極めて当たり前の市場原理、つまり料金差によって解決されることになる。上に行けば行くほど高い価格設定になっていることは言うまでもない。
ちなみに今回のルックアメリカンツアーが日本人向けに確保しているキャビン(最大25人まで)は半分よりやや上の位置で停止とのことなので、観覧車を時計の文字盤に見立てるならば、10時の位置 もしくは 2時の位置 の付近と考えればよいのではないか。
気になるその料金や、予約方法、支払い方法、その他ツアーの行程などの詳細は、ルックアメリカンツアーの 公式サイト まで。
「たかが観覧車にその値段?!」と驚く者も多そうだが、世界中から数十万人が集まるこのビッグイベントにおいて、どんなに需要が多くても供給を増やすことができないという特殊な状況を考えると、市場原理として驚くに値しない値段という気がしないでもない。
以下、この観覧車の客観情報を紹介して今週の記事を終わりとしたい。
観覧車の名称は「ハイローラー」。完成および運用開始は2014年。
ちなみにハイローラー(High Roller)の意味は、高額な賭け金でプレーするギャンブラーのこと。
観覧車の直径は約160メートル。最下点は地上から約7メートルの位置にあるので最高到達地点は167メートル。
この高さは「シンガポール・フライヤー」、「ロンドン・アイ」、「南昌之星」などの世界に名だたる大型観覧車を抜いて世界一。
キャビンの数は28基。一周に要する時間は30分。つまり角速度は毎分12度。(観覧車を時計の文字盤に見立てた場合、1分間に文字盤上の2分の角度を進むことになる)
それぞれのキャビン内には約7人程度が腰掛けられるベンチが2つあり、15人前後までが着席可能となっているが、すわったままの状態では景色を見づらいためか、多くの乗客は立ったまま景色を鑑賞している。
立地場所は、ラスベガスのホテル街のほぼ中心に位置するフラミンゴ・ホテルやリンク・ホテルの間にある Linq Promenade の東端。ストリップから約370メートルの地点。
北緯,西経: 36.117721,-115.168162
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