昨日、いったん第1136号の記事として「Yayoi Kusama 展」を掲載したが、読者から「世界的に注目されているCESが開催されているというのに、それをぜんぜんレポートしてくれないのか」との意見を頂いてしまったので、今週は急きょ 1136号と入れ替えるカタチで CESに関する話題を第1137号として掲載させて頂くこととした。
ご存じではない読者のために説明しておくと、CESとは 50年以上も前から続くハイテク業界の祭典で、ラスベガス最大のイベントであると同時に正月の風物詩でもある。
ちなみにその名称の「CES」は、長らく Consumer Electronics Show の頭文字を取った略称であって、正式名称ではなかった。
しかし数年前から主催者は、このイベントのことを Consumer Electronics Show と呼ぶことを避けるようになり、単純に CES と表現するようになった。
理由は Consumer(消費者)という言葉が、出展企業の業種や出展商品の実態にそぐわなくなってきたからだ。
Consumer Electronics というと、一般的にはテレビ、洗濯機、冷蔵庫などの家電をイメージしてしまいがちだが、実際に展示されている商品は電子部品から自動車まで、ありとあらゆる分野におよんでいる。
それでも日本のメディアの多くは今でも Consumer Electronics という部分を無理やり訳したいのか、このイベントのことを「家電見本市」などと表現することが多い。
そんな現状に問題意識を持ったのか、ついに主催者は 2018年以降のイベントに対して、以下のようなメッセージを発信した。
The official name of the global technology event is “CES”. Please do not use “Consumer Electronics Show” or “International CES”.
つまり、世界中のメディアに対して、従来からの略称である CES が正式名称になったことを通達したのである。
それでも、日本のメディアはいまだに「CES(Consumer Electronics Show)」などと表記しているのが現状で、元の正式名称が忘れ去られるまでにはまだしばらく時間がかかりそうだ。
いずれにせよ、家電製品の展示はほんの一部なので、日本のメディアは「家電」という言葉は使うべきではなく、「ハイテク業界のコンベンション」など別の表現に切り替えるべきだろう。
蛇足になるが、この CESを主催する団体の名称は、今でも Consumer Technology Association というから、なんだか笑えてくる。自らの名前から Consumer の文字を取るつもりはないようだ。
名称の話題が出たついでにもうひとつ。日本のメディアは CESを「セス」と呼ぶのもやめたほうがよい。実際の読み方はもちろん「シー・イー・エス」。
日本のエレクトロニクス業界の間では、セスと呼ぶ習慣が定着してしまっているようなので、個人レベルや社内レベルではかまわないが、メディアの報道としては好ましいことではないだろう。
たとえば、会場にタクシーなどで向かう際、運転手に「セス」と言っても通じないからだ。
ちなみに今年もいまだに多くの日本のメディアが「セス」と呼んでいるようだが、今も昔もそのような呼び方は存在していない。
前置きが長くなってしまったが、このCESの開催期間中は(今年は1月8日から11日まで)、出展企業などが事前にホテルを確保するため、宿泊費は異常に高騰。一般観光客は事実上、閉め出されるカタチとなり、この期間だけは街の様相が一変してしまう。
というわけで、今この記事をラスベガスで読んでいる読者は業界人と思われるので(CESは原則として業界関係者しか入場できない。もしくは 300ドル程度の入場料を払う必要がある)、日本企業を中心に著名企業のブースやその場所を写真で紹介してみたい。
もちろんすべての日本企業を紹介することはできないので、あくまでもごく一部。それと、日本企業以外の注目企業も追加しておいた。
(下に50枚ほどの小さなサイズの写真が表示されるはずですが、読み込みに時間がかかる場合がありますので、もし何も表示されない場合、そのまましばらくお待ちください。各写真はクリックまたはタップで拡大表示されます)
コメント(1件)
こんにちは! いつも楽しい情報をありがとうございます。凄く見やすいと思います。ただ、以前にありましたコンベンション予定表がなくなってしまったのは残念です。是非また情報をサイトに載せていただきたいですです。