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雨や雪が降ったらどうすればいい?


 雨や雪でツアーが中止になったり予定が変更になったりした場合、ツアーそのものの運行を担当している航空会社は大損をする。その日の収入がなくなるわけだからそれは当然のことだろう。また、観光客も期待していたグランドキャニオンへ行けなくなるわけで、これまた大いに残念なことだ。
 ところが旅行代理店だけは損をしない場合がある。なぜか。その話をする前に、悪天候によりツアーが中止になってしまった場合の作業の流れや、その後の対処方法などについて説明しておく必要がある。

 悪天候が理由でグランドキャニオンツアーが予定通り催行できなくなってしまうことは観光客が想像しているよりはるかに頻繁に起こっている (特に冬期)。
 ラスベガスは年間を通じて晴れの日が多く、総じて天候に恵まれているが、Gキャニオンサウスリム地区の空港は標高が 2000メートルほどの高地にあるため、降雪や凍結で空港閉鎖となりやすい。夏は降雪の心配こそないものの、やはり高地にあるため突然の悪天候などで離着陸不能となることがまれにある。
 さて、そのような理由で予定していたフライトが Gキャニオンへ向けて出発できない場合、乗客側にはどのような選択肢があるのだろうか。
 じつは次の 3つの選択肢が用意されており、まともな航空会社は原則としてその選択権を乗客側に与えている。つまり乗客の一人ひとりがその航空会社の出発カウンターにて次の 3つの中からどれかを選べるというわけだ。

■1. ツアーをあきらめ、予約時にクレジットカードで払込み済みの代金を全額返金してもらう。

■2. 天候の回復を祈って翌日以降に予約を振り替えてもらう。

■3. 降雪で閉鎖されている Gキャニオン空港に着陸しなくても済む 「空中から見学するツアー」 (通称、エアーオンリーツアー) などに振り替えてもらう。

 ■1. の 「代金返金」 は、アメリカ側で航空会社に直接予約を入れている限り (ラスベガス大全経由での予約もこれに相当)、支払い時に使ったクレジットカードに返金されるので、むずかしいことや、めんどくさいことは何も無い。航空会社側が、「マイナス金額のお買い上げ」 というカタチで経理処理してくれ、それで終わりだ。

 ■2. の場合は、予約変更料などまったく取られることなく翌日に予約を振り替えてもらうことができる (もちろん空席があればの話)。ちなみにこの再予約のことを現場では REBOOK もしくは RESCHEDULE と呼んでいるので、覚えておくようにしたい。

 ■3. の場合、そのエアオンリーツアーの代金 (元々のツアーより安いのが普通) と、元々のツアーの代金の差額を精算し、エアオンリーツアーに参加することになる。

 さて、日本の旅行代理店などを経由して予約していた場合、ここで問題が生じてくる。特に、旅行全体の中にグランドキャニオンツアーがパッケージとして含まれている場合や、グランドキャニオンツアーをオプションで単独に申し込み日本円で支払い済みの場合などは、やっかいなことになる。なぜなら、航空会社側は原則として選択権を乗客に与えてくれないからだ。その理由は、乗客はすでに旅行代理店側にツアー代金を支払ってしまっているわけで、航空会社としては代金の決済はあくまでも旅行代理店との間で行わなければならず、「代金を支払う者に選択権や決定権を与える」 というのがビジネスの原則だからだ。つまり、選択権は旅行代理店側にある。

 さてそのような立場に置かれた旅行代理店は悪天候の場合、どのような決定をくだすのだろうか。その代理店にもよるが、よくあるのが、乗客が上記の ■1.■2. を選びたくても ■3. をすすめられてしまうというパターンだ。
 なぜなら、■1. にしてしまうと利益がゼロになってしまうばかりか、やっかいな返金手続きが必要となる。■2. は、翌日に晴れる保証がないだけでなく (翌日以降も悪天候が続いたら売り上げを失うことになる)、別のオプショナルツアーを翌日に売ることができなくなってしまう。
 結局、「できることならその日のうちに売り上げを確定させてしまいたい」 と考えるようになり、■3. が選ばれてしまう。さてここからが問題だ。
 元々予約していた 「Gキャニオンデラックスツアー」 などに比べ、短時間で空中から見学する 「エアーオンリーツアー」 は当然のことながら定価が安い。しかしなぜか旅行代理店によっては、その差額を払い戻してくれない場合がある。(最近では、そういったことは減りつつあるものの、かつてはそれが当たり前のように行われていた)
 なぜならクレジットカードではなく現金で払い込まれている場合、返金方法がやっかいなばかりか、そもそもエアオンリーツアーの売値を決めていない場合、返金額を決める方法が無いからだ。
 利用者側も 「天候のせいだから仕方がない」 とあきらめてしまっているためか、この矛盾に気づかない者が少なくない。しかし現実には、航空会社からその旅行代理店へ請求される金額 (旅行代理店にとっての仕入値) は当然のことながら 「エアーオンリーツアー」 の方が安い。結果として、「雨や雪が降ると旅行代理店が儲かる」 という図式になってしまう。
 最近大手の旅行代理店ではこの差額をちきちんと返還するようになってきたようだが、そうでない旅行代理店もまだ少なからず存在しているようなので注意が必要だ。

 このような理不尽を避けるためにもグランドキャニオンツアーは必ずアメリカ側へ直接コンタクトして予約したほうがよいだろう。そうしておけば悪天候の場合の身動きが軽くなるからだ。つまりツアー参加を断念してもわずらわしい払戻作業のことを考える必要がなく、また、エアーオンリーツアーに振り替えても、その分の代金を負担するだけでよいことになる。
 もしどうしても日本側で手配せざるを得ない場合は予約の際に必ず、「悪天候の場合はどうなるのか」 を旅行代理店側に確認しておいた方がよいだろう。ただ、日本側の営業窓口にこの事情を知っている営業担当者がどれほどいるのか大いに疑問だ。全世界のツアーを取り扱っている日本側スタッフにそのような知識を要求すること自体無理かも知れない。


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