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アンテロープキャニオン  



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英語名   ANTELOPE CANYON
住所   アリゾナ州 最北端 (Page 市の中心街から東南東に約6km)
電話   N/A
アクセス   無休憩で走行した場合、ラスベガスから約5時間。(280マイル、451km)

アンテロープキャニオン  時刻によって色彩を微妙に変える幻想的な岩肌と、芸術的かつ神秘的な曲線美で訪問者を魅惑する不思議な洞窟。
 2000年ごろまではほとんど無名で、訪問者も非常に少なかったが、近年 SNS などの影響か、幻想的な写真が世界中に広まり、中国やヨーロッパなどからの訪問者が急増。今では 大混雑が問題になるほど現場は活況を呈している。(事前に予約をせずに、当日飛び込みで行っても中に入れないことが少なくない)

 日本人観光客の間で知られるようになったきっかけとして忘れてはならないのは、大分県の焼酎「いいちこ」のテレビ・コマーシャルだろう。
 坂本冬美が歌う情緒あふれる曲とともに映し出された幻想的な映像により、日本での知名度も一気にアップ。今では、デスバレー、ブライスキャニオン、ザイオンなどの名だたる国立公園をおさえて、ラスベガスを訪問する日本人観光客の間では、グランドキャニオンに次ぐ2番人気の大自然観光スポットとなっている。
 なおこのアンテロープキャニオンは、先住インディアン「ナバホ族」の領土内にあり、アメリカ合衆国政府が管理する国立公園ではない。

アンテロープキャニオン  キャニオンという名称から広大な谷や渓谷をイメージしてしまいがちだが、ここアンテロープはそんな広い場所ではなく、100メートル、200メートル単位の中規模な「洞窟」と考えたほうが実態に近い。(右の写真内の暗い部分が洞窟への入口)
 ただ、洞窟といっても、鍾乳洞のような完全に地底に隠れた深い洞窟ではなく、地表近くにある横長の空間だ。そして地表に近いがゆえに、洞窟内の上部に存在するわずかなすき間から、微妙な角度で太陽光線が内部まで差し込んで来る構造になっており、その光線こそがこのアンテロープキャニオンの最大のウリといってよいだろう。

アンテロープキャニオン  光線は、当然のことながら季節によって差し込む角度が変わる。一般的には、太陽の高度が高い夏期の真昼の時間帯が、洞窟の底まで光が届きやすく美しいとされるが、その他の季節、その他の時間帯でも光線が見られないわけではない。
 というのも、洞窟内に存在するすべてのすき間が真上にあるわけではなく、少し太陽が傾いて来てからのほうが光線が差し込みやすい穴や割れ目もあるからだ。

アンテロープキャニオン  したがって訪問時の目安としては、「夏至に近い時期の真昼がベスト」と言えなくもないが、そのタイミングにあまりこだわる必要はないだろう。
 むしろ夏期は混みすぎているので、わざとその時期を避ける者もいるぐらいだ。
 太陽光線の条件を優先すべきか、混雑を避けることを優先すべきか、近年の混雑ぶりがあまりにもひどいだけに、その判断は悩むところで、実際に意見も分かれている。

アンテロープキャニオン  さて太陽光線の話はそのへんにして、このアンテロープキャニオンには "Upper" と "Lower" と称する 2つの洞窟がある。それぞれ似て非なるものがあり、入場料も別々に徴収される。
 ちなみにここまでに掲載した7枚の写真は、この真右の写真と、一番上の大きな写真の右側の写真が Lower、それ以外が Upper で撮影されたものだ。
 Upper はその名が示す通り、Lower よりもやや上流に位置しており、Lower はその下流ということになる。

アンテロープキャニオン  なお、上流、下流といっても、この川に水は流れていない。右の写真のように周辺は砂漠地帯で、見た目はやや低くなった単なる荒野だ。ごくまれに夕立などが降った際に鉄砲水が流れ込み川となる。(右の写真は、Upper の料金所から Upper の洞窟に向かう途中の "水なし川" を走る改造四輪駆動車)
 その激しい水流によって浸食されて出来上がったのがこのアンテロープキャニオンというわけだが、さて Upper と Lower、どちらを訪問すべきか。

アンテロープキャニオン  両者の洞窟はわずか数キロメートルしか離れていないので(それぞれの受付窓口の位置はさらに近く、互いにわずか 400メートルしか離れていない)、日程的に余裕がない者以外は両方を訪れるべきだろう。(右の写真は Upper)
 もしどちらか一方しか観ることができない場合は、以下の客観情報を目安に各自で判断してもらうしかないが、一般的に男性は Lower、女性は Upper のほうを好む傾向にあるとされている。
 なお入場料金に関しては、季節や時間帯によって大きく変動しているので非常に大ざっぱな数字しか示すことはできないが、Upper が 40〜70ドル、Lower が 15〜35ドル。

Upper Antelope Canyon
アンテロープキャニオン  全長は直線距離でわずか 150メートルほどで、やや物足りなさも残るが、右の写真のとおり、歩行する場所の幅は十分にあり、だれもが気軽に訪れることができるのが特徴。
 結果的に Lower に比べ訪問者が多く、ほとんどの観光客はこちらを訪れているようだ。
 Upper と Lower の最大の違いは、進入口の様子で、こちら Upper は割れた岩の間を水平に入って行くようになっているのに対して(つまり地面と同じ高さの位置を水平に進む)、Lower では、地下に降りていくようなカタチで進入する。
 なお駐車場がある場所に料金所や受付があるわけだが、Upper の洞窟の現場は、そこから 5km ほど離れた場所にあるため、ナバホ族が運営する改造四輪駆動車に乗って 10分ほど移動する必要がある。

Lower Antelope Canyon
アンテロープキャニオン  全長は Upper よりもやや長い程度だが、総じて歩行する場所の幅が狭く、また上り下りも非常に激しいため、入口から終点までの所要時間という意味では、かなり長い印象を受ける。
 見学というよりも探検といった感じになりやすく、アクティブな人には好まれるが、そうではない女性などには敬遠されることも。
 足腰が弱い高齢者には不向き。また、砂岩の表面など、たいらではない場所を歩くことが多くなるので、健常者でもスリップして転んで擦り傷を負ったりすることが少なくない。
アンテロープキャニオン  なお急斜面には、右の写真のように階段が設置されているので、登山のような特別な技術は必要としないが、両手はあいていたほうがよいので、女性はハンドバッグなどを持ち込むべきではない(駐車場の車内に置いておけばよい)。
 服装もスカートは不適で、シューズもかなり汚れたり傷が付いたりするので、はき慣れた古いスニーカーなどが好ましい。
 カメラの持ち込みは可能だが、Upper も Lower も原則として三脚の持ち込みは禁止。

【その他の注意事項】
 Upper も Lower も、周辺地域で雨が降った場合、鉄砲水が発生する可能性があり非常に危険なので、現場が晴れていても上流で雷雨などが発生しそうな場合は全面閉鎖となることがある。
 実際に鉄砲水で一度に 11人が命を落とすという痛ましい大惨事も発生しており、その人たちの名前を刻した碑が Lower の入口近くに立てられている。
 なお参考までに、冒頭でもふれたとおり、この地は先住民族ナバホ族が統治するいわゆるインディアン居住区で、通常のアメリカ合衆国の一般の行政区域ではない。駐車場や受付など、現場を取り仕切っているのはナバホ族の人たちだ。
 訪問する際は事前に予約してから行くべきだが、現場を取り仕切っているのはひとつのグループではなく、彼らなりにさまざまなグループが独自のウェブサイトでビジネスをしているので、よく研究してから行ったほうがよい。
 なおインディアン居住区そのものに関しては以下に補足しておいた。

【インディアン居住区について】
 インディアン保護区ともいう。ここでいうインディアンとは、白人がヨーロッパからアメリカ大陸へ渡って来るよりも以前からこの地域に住んでいた原住民のことで、彼らはアメリカ建国の歴史の中で白人から土地、住居、物資、権利、時には生命までを奪い取られてきたという悲しい過去を持っている。
 そのようなインディアンに対して現在の米国政府は、一般のアメリカ市民に対する法律を超越した特別扱いとして、古くから続く彼ら独自の生活習慣やルールを認めており、その治外法権的なことが許される区域を明確に指定したのがこのインディアン居住区。
 現在全米で 562の部族が、314ヶ所に点在するインディアン居住区内で生活している。中でもアリゾナ州北部 (グランドキャニオン東部からモニュメントバレー一帯)に住むナバホ族は人口的にも面積的にも最大勢力を誇る。
 「州と同格の自治権が与えられている」、というのがインディアン居住区に対する現在の米国内での一般的な法解釈で、警察なども独自に持っている種族が少なくない。
 ちなみに一般観光客が独自の行政を体感できる場面はインディアン居住区内でスピード違反などを犯した場合だ。反則切符を切られる際、「ナバホ国(Navajo Nation)警察の反則切符がいいか、アリゾナ州警察の反則切符がいいか?」とたずねられたりする。
 一般的にはだれもがナバホ警察を選ぶ。免許証に減点が付いたり自動車保険の掛け金に影響を与えたりしないためだが、とにかくインディアン居住区の自治権の存在を体験できる場面だ。
 最後に余談だが、最近の最先端の研究によると、インディアンは日本人と共通の DNA を持っていることが明らかになりつつあり、アメリカ原住インディアンはアジアからアリューシャン列島、ベーリング海を渡り、アラスカ経由で現在のアメリカ大陸に住み着いたといわれている。たしかにこのアンテロープキャニオンの駐車場や受付で働いているスタッフの多くは、背が低くずんぐりむっくりしており、その体型はどことなく日本人に似ていなくもない。


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