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ナイトショーに関する一般知識


チケット入手▼  座席指定▼  料金表示▼  料金の変動制▼  場内撮影▼  休演シーズン▼  服装▼  年齢制限▼


【 ショーの種類と公演の時間帯 】 (2018年7月更新)

 ナイトショーには大きく分けて、長期的に継続して行なわれる常駐型のショーと、有名スターがやって来て数日間だけスポット的に開催されるショーがある。
 常駐ショーは、そのホテル内の専用ステージなどで毎晩行われており(週に1〜2回の休演日はあるが)、10年以上も続いているロングランショーも少なくない。
 一方、スポット的に行なわれるショーは、有名ミュージシャンのコンサートなどで、短いものだとその日限り、長くても一週間ぐらいで終わってしまうのが普通だ。

 常駐ショーは一般的に、7:00pm 前後に開演する「早い部」と、9:30pm 前後に開演する「遅い部」の毎日2回のスケジュールが組まれていることが多い。ショーそのものの正味時間は 1時間15分〜1時間30分が普通だ。
 一般論として、チケットは「早い部」のほうから先に売れるので、「遅い部」のほうが良い席を確保しやすい。
 その理由は、ラスベガスはアメリカの国土全体で見るとかなり西に位置しており、東に位置するニューヨークやボストンなどと比べると時差的に 3時間遅れているため、「遅い部」は、東海岸地区からの訪問者にとっては体感的に極端に遅い公演時間になってしまうからだ。
 たとえば、遅い部が終了するラスベガス時間の深夜11時ごろは、ニューヨーク時間ではすでに午前2時ということになる。ロサンゼルスやサンフランシスコなどの西海岸地区の人にとっても深夜11時は遅すぎ、特に子供にとっては限界に近い時間なので、子連れファミリーなどが遅い部のチケットを買うことはほとんどない。
 したがって、いずれにせよ時差ボケになる日本からの観光客にとっては、良い席が余りがちな遅い部のほうが狙い目ということになるが、やはり遅い部のほうが居眠りをしてしまう確率は高まるようなので注意が必要だ。それもそのはず、早い部の時間帯は、日本時間のランチタイムだが、遅い部の時間帯は、ランチ後の昼下がり、つまり日本にいても昼寝をしたくなるような時間帯というわけだ。

 話はラスベガスに戻って、夕刻よりも早い時間帯、つまり午後3時や 4時前後に行われるいわゆる「アフタヌーンショー」と呼ばれるショーもある。ただ、数的にはそれほど多くない。ちなみにアフタヌーンショーの大半は、プラネットハリウッドホテルに隣接のショッピングモール「ミラクルマイル」内にある小劇場 V-TheaterSAXE Theater で開催されている。

 常駐ショーにしろスポット的なショーにしろ、食事や飲み物が付くか否かで、ディナーショー(食事も飲み物も付く)、カクテルショー(飲み物だけが付く)などに分類されるが、近年のラスベガスにおいては、食事も飲み物も付かないショーが圧倒的に多く、エクスカリバーホテルで行なわれている「Tournament of Kings」とバリーズホテルの「Tony and Tina's Wedding」を除けば、ディナーショーもカクテルショーもほぼ完全に消滅したと考えてよい。
 それでも、劇場内の売店で各自が自由にビールなどを買って座席に持ち込むことは許されており、また小さな劇場では、開演直前まで客席の間をカクテル・ウェイトレスが巡回していたりすることもあるので、何も飲めないというわけではない。

【 チケットの入手方法 】

 「ラスベガスのショーチケットはすぐに売り切れてしまうので、なかなか手に入りにくい」と思っている人が多いようだが、それはまちがい。それは遠い昔の話だ。
 もちろんスーパースターのコンサートやシルク・ドゥ・ソレイユのオウなど例外はあるが、多くの常駐ショーにおいて、現場のチケット売り場で当日券を買うことができる。つまり、売り切れ完売になることは少ない。
 2008年前後に始まった世界的な大不況、つまりいわゆるリーマン・ショック以降のラスベガスのショービジネスにおいては、需要と供給のバランスが著しく崩れており、景気が回復してきたといわれる最近においても供給が過剰で、座席は慢性的に余っているのが現状だ。
 これは景気の問題というよりも、むしろ「ラスベガスのステージに立ってみたい」と考える役者(特にマジシャン)が多すぎることに起因しているともいわれている。つまり十分な集客ができっこないことを本人もわかっていながら、ショーを開催してしまう。履歴書などの経歴に「ラスベガスの◯Xホテルで公演」とか書けることが、その後の役者人生において有利に働くため、その経歴欲しさの公演があとを絶たないらしい。
 いずれにせよ、供給過剰なのが現実なわけだが、それでも「チケットは手に入りにくい」と思っている人が多いのか、日本人を相手にチケット予約代行のようなビジネスを有料でやっているサイトが少なからず存在しており、そういったサイトに手数料を払ってしまう日本人が少なからずいることも事実。多くのショーにおいて当日券を現場で買い求めることができるので実にもったいない話だ。

 ではシルク・ドゥ・ソレイユなど人気のショーの場合はどうかというと、これも公式サイトを通じてだれもが簡単に予約可能なので、予約代行サイトなどを使う必要はまったくない。
 というわけで、さっそくその公式サイトの利用方法について説明してみたいが、その前に「予約」という言葉について補足しておく必要がある。
 基本的にすべての 「チケットの予約」と呼ばれる行為は、厳密に言えば 「チケットの事前購入」ということになる。
 なぜなら、予約した段階でクレジットカードにその代金が請求されるからだ。(ネット予約であろうが電話予約であろうが、予約の際にクレジットカード決済が求められる)

 その事前購入は、多くの場合、そのショーを演じている団体の公式サイト、もしくはそのショーを主催しているホテルの公式サイトなどを通じて行うことになる。
 その際に必要なもの、つまり画面に入力すべき項目は クレジットカード番号、そのカードの有効期限、CVV番号(カードの裏面に小さく記載されている3桁の数字)、ショーの日時、枚数、名前、住所、メールアドレス、電話番号などで、特にむずかしいことはないが、サイトを管理する側の技術的な理由などから、最初にそのサイトにアクセスしてから(もしくは座席の選択をしてから)、たとえば 15分以内にすべてを終えなければならないことがあったりするので注意が必要だ。
 なお、この15分という数字はそれぞれのショーの予約画面において多少異なることがある。多くの場合、その残り時間は赤い文字などで表示されるのが普通だ。
 もしこの時間を超えてしまった場合は、その画面上で表示されていた空席情報はすべてリセットされてしまうので(つまり、あなたが買おうとしていた座席は他の人に開放される)、最初からアクセスし直さなければならない。
 こういった時間制限の存在は、住所やクレジットカード番号などを急いで入力しなければならず、利用者にとっては不便あるいは不親切のようにも感じられるが、残りの座席をリアルタイムできちんと管理していることを意味しており、公式サイトだからこそできる信頼の証と考えるべきだろう。

 なお、座席に関しては、日本でよくあるS席、A席、B席などという単純な名称とは限らず、その劇場専用の固有名詞が使われていたりすることがあるので( Main 席、Balcony 席、Orchestra 席など)少々とまどうが、画面の説明を見ればだいたいわかるようになっているので、あまりむずかしく考える必要はない。当たり前のことだが、「値段が高い席ほど良い席」と考えればそれで十分だ。
 予約手続きが完了すると、画面上に予約確認番号(Confirmation Number と呼ばれることが多い)が表示されるので(もしくはそれがメールで送られてくる)、それをプリントアウトするか書き留めて、ラスベガスへ持っていく。近年は、スマートフォンの画面にバーコードやQRコードとして送られてくる方式も増えてきている。
 チケットの現物は、ショーが開催される当日(もちろん前日もしくはそれ以前でもかまわない)、劇場前のチケット売場(通常 "Box Office" と呼ばれている)で受け取ることになる。受け取る際は [Ticket Sales] と書かれた窓口ではなく、[Will Call] と書かれた窓口に並ぶ。
 ちなみに [Will Call] とは、あらかじめ予約しておいた物を取りに行くような行為のことをいうが、もしその [Will Call] と書かれた窓口が存在しない Box Office だった場合は、[Ticket Sales] と書かれた窓口に並び、自分の番が来たら相手に「Will Call 」と告げればよい。あとは予約確認番号を申し出てチケットを受け取るだけだ。
 代金はすでにクレジットカードに請求されているのでそこでの金銭の授受はないが、事前購入を申し込んだ本人かどうかの確認のために、事前購入時に使ったクレジットカードと同じ番号のクレジットカード、それに写真付きID(身分証明のこと。アメリカ在住者ならば運転免許証、日本からの観光客の場合はパスポートなど)の提示を求められることが多い。したがって、友人に頼んで事前購入したような場合は注意が必要だ。
 なお、すでにふれたとおり、最近はスマートフォン画面内のバーコードやQRコードによるチケットレス化も進んできている。これは、Box Office に出向いてチケットを受け取る必要がないので非常に便利だ。これを希望する場合は、予約サイトの画面上で、チケットレス(e-Ticket と呼ばれることが多い)にするか Will Call にするか選べるようになっていたりするので、そこで指定すればよい。

 チケットの販売開始時期に関してだが、「公演日の90日前から」といったように、受付開始時期が各ショーによって決められているので、早ければいつでもよいというわけではない。一日でも早く手配しないと心配という者は(そんな心配は不要だが)、あらかじめサイトをこまめにチェックして、そのチケット販売開始日を確認しておくとよいだろう。

 なお、「英語の予約サイトはやはり苦手」 という人には、それなりの方法がある。クレジットカードの JCB が、カード利用促進のために行なっているナイトショー無料手配サービス (日本語OK) だ。JCBカード会員しかサービスを受けることができないが、手数料なしなので JCBカード会員はこのサービスの存在を知っておいて損はない。くわしくは、こちらをクリック

 さて、事前購入に関することばかりを長々と説明してきたが、事前購入の必要がないショー(大部分のショーがそれに該当)を観たい場合、つまりラスベガスに到着してからチケット購入の行動を起こす場合はどうすべきかを説明したい。
 すでに書いてきたとおり、一般的なショーのほとんどは、公演日の直前まで空席があると考えてよい。(各ショーの現場スタッフに取材したところ、アメリカの連休など特別な混雑時期に売り切れになることはごくまれにあるものの、そういったことは年に数回ぐらいしかないとのこと)
 万一の売り切れを心配する者は、ショーの開演直前に劇場前のチケット売り場に出向くのではなく、前日や、日本からラスベガスに到着した日のなるべく早い時間帯に現場へ行けば、売り切れで買えない確率はさらに低くなる。(翌日や翌々日のショーのチケットも買うことができるので、たとえば日本から到着した日の翌日のショーを観たい場合でも、到着日に買いに行ってかまわない)
 ちなみに、当日券が売り切れとなるような超混雑時期でも、前日や前々日に売り切れてしまうことなど 1% もあり得ないのが現実だ。(あくまでも通常の常駐ショーの話であって、人気スターのコンサートなどの話ではない)
 なお、多くの常駐ショーには週2回の休みの曜日があるため、「当日券がダメでも翌日や翌々日がある」と安心してラスベガスへ乗り込むと、その翌日や翌々日が休演日と重なっていたりすることがあるので、休演日には十分な注意が必要だ。また、毎週の休演日以外に、年に数回、スタッフの長期休暇のための連続休演(約2週間程度のことが多い)があることも覚えておきたい。
 運悪く 1% もあり得ないことに遭遇してしまっても、まだ当日券をあきらめるのは早い。ほとんどのショーにおいて、開演直前にノーショー(チケットを事前に買っておいたにもかかわらず劇場に姿を現さない人のこと)の席がリリースされるからだ。(上の写真は、オウのキャンセル待ちの人が並ぶべき場所を示す看板)
 つまり、いわゆる「キャンセル待ち」のような感じになるわけだが、よほど人気のショーでない限り、この方法で入場できないことはまずない。(そもそも売り切れ自体がまれなので、キャンセル待ちでの販売が行なわれること自体、めったにない)

 あとこれは余談になるが、ホテル街に点在している格安チケット店 "TIX 4 TONIGHT"(写真右)や "Tickets on Demand" では、ディスカウント価格で当日券を買うことができる。
 ただしこれらの店で売られているのは、少しでも空席を埋めたいと考えている主催者側が裏ルートを通じて流しているいわゆる余剰チケットのため、必ずしも目当てのチケットを入手できるとは限らない。(この TIX 4 TONIGHT や Tickets on Demand についての詳しい情報は、週刊ラスベガスニュースのバックナンバー 639号、812号、1082号などに掲載)

【 座席指定 】

 かつて 1990年ごろまでのラスベガスでは、指定席制のナイトショーはほとんど存在しなかった。つまり劇場の入口にいる案内人(Maitre)が客の身なりやチップの額などに応じて、それに見合った座席までエスコートするシステムが採用されていた。
 ところが 90年代初頭から指定席制のショーが増え始め、今日においては約8割のショーが指定席制となり、特に高級ショーはそのほとんどが指定席制となっている。
 従来のエスコート制の場合、Maitre にチップを渡さなければ良い席に案内してもらえないという弊害があったため、昨今の指定席制への移行は基本的には歓迎されるべきだろう。
 しかし中には「チップを払ってでも良い席に座りたい」という者も少なからずいるためか、今でもエスコート制に固執しているショーがわずかながら存在している。
(ただし、日本人観光客が観るようなショーにおいてはほとんど存在していない。もちろんシルク・ドゥ・ソレイユも指定席制なのでチップは不要)
 エスコート制が残っている背景には、チップ収入に頼る Maitre の利害などが複雑に絡んでいるとも言われているが、その他に、座席配置が可変制になっている会場(イスやテーブルを自由に配置できるような会場。宴会場のような施設を想像すればよい)でのショーの場合、座席番号などが固定的ではないためコンピューターによるチケット管理がむずかしく、結果としてチケットに座席を指定することができずエスコート制にせざるを得ないという物理的な事情もあるようだ。

 さて気になるエスコート制の場合におけるチップの相場だが、直接ホテル側に取材して得た数字としては $10〜$30 が相場のようだ。中には「どうしても一等席で観たい」ということで$50以上払う者もいるという。
 しかしこれらの数字もいまひとつハッキリしない部分が多く、「相場」の意味が「一人当たり」なのか「そのグループ全員」でなのか肝心な部分があいまいなばかりか、どんなにチップをはずんでも一般客は「超一等席」には座れないことがあったりするので、柔軟に考えたほうがよい。
 ちなみに超一等席は、ホテル側の上客であるハイローラー(高額ギャンブラー) 用の招待席として確保されているのが一般的だ。
 いずれにせよこのエスコート制のチップに関してはいつの時代も常に不透明な部分が多く、アメリカ人でさえも多くの者が頭を悩ませている。
 もっとも、チップを受け取る本人が相場の真実を公表するわけもなく、相場がヤミに包まれ続けていることは当然といえば当然のことだろう。(どうせ公表するなら、たくさんチップをほしいので、高い金額を言いたいところだが、そうなると逆に高収入とみなされやすくなり、税務当局に対する対応ではやっかいなことになりかねない)
 そういう意味においても、昨今の指定席制へのシフトは時代の流れでもあり、利用者側としては大いに歓迎したいところだ。
 それでも現実にまだエスコート制のショーが残っている限り、チップに不慣れな日本人読者のために何らかの指針をここで与えないわけにはいかない。
 あえて大まかな数字を言うならば、「特にひどい席でなければどこでもかまわない」という者は一人につき $5も渡せば十分ではないだろうか。そしてある程度それなりの場所を期待するのであれば $20ぐらい渡してみてはどうか。それ以上の期待をする者は各自の判断で自由に決めればよいだろう。
【 料金表示 】

 各ショーの主催者やそのホテルなどが発表している料金表示には、「税込み」の場合と「税別」の場合があるので、細かい金額を気にする者は注意が必要だ。
 ちなみにここでいう「税」とは、ラスベガスでの一般の消費税 8.25% のことではなく、LET(Live Entertainment Tax)と呼ばれる興行イベントにかかる特殊な税で、税率は9%となっている。その代わり消費税は課税されない。
Note: LET は 200席以上の施設における興行だけが対象。199席以下の施設の場合は無税)

 また、多くのショーにおいて、「Processing Fee」、「Service Fee」、「Delivery Fee」などと称する料金(各ショーにおいて呼び方は異なる)もチケット1枚ごとに加算される。日本語に訳せばどれも「販売手数料」といったところだが、これは買う側としては、気分のいいものではない。もしそれが費用として必ず発生するものであるならば、始めからチケット料金に含めて表示すべきで、あとからこっそり追加請求するようなこの種の手数料は、客をあざむくようで見苦しい。
 主催者側の取り分とチケット販売会社の取り分の経理処理的な理由などがあって、あえて別表示にしているようだが、そのような内部的な経理処理などは、別表示にしなくても当事者同士の間でどうにでもできるはずだ。チケット取次ぎ業者など、第三者が販売する場合ならばまだしも、少なくとも劇団やそのホテル直営の公式サイトでは即刻やめるべきだろう。
 しかし残念ながらこの販売手数料は公式サイトにおいてもなくなる気配はなく、むしろその金額は年々上昇する傾向にすらある。ちなみに高級ショーでは1枚につき 10ドルを超えることも珍しくなく、もはや手数料と呼ぶにはふさわしくない金額になってしまっているのが現状だ。
 業界のリーダー的存在のシルク・ドゥ・ソレイユも、この悪しき習慣にどっぷり浸かってしまっているのがなんとも残念でならない。
 ただ、シルク・ドゥ・ソレイユを含む多くのショーにおいて、その予約サイトのプログラムは、不正防止機能の強化など複雑化してきており、それの維持管理にはかなり高度な技術が求められるため、結局 ticketmaster など、チケット販売の専門企業の高度なアルゴリズムに頼らざるを得なくなってきているなど、販売部門におけるコストが急上昇している事情は理解する必要があるのかもしれない。

【 チケット価格の変動制 】

 これまで長らくチケット価格には、主催者側が公表している「定価」というものがあった。しかし近年それが無くなる傾向にあり、販売価格を固定化するようなことはしなくなってきている。
 もちろん今までも販売ルートによっては割引価格など、さまざまな価格設定があったが、それらの価格は日々刻々と変動したりするようなものではなかった。
 それが今では変動するようになりつつあり、すでにシルク・ドゥ・ソレイユのショーを主催する MGM社も変動制を導入し始めた。
 これは時代の流れであり、ナイトショーのみならず、スポーツ観戦やコンサートなども含めて、さまざまなイベントにおけるチケット価格は変動制が当たり前の時代に突入してきている。
 定価制に慣れてしまった者にとっては違和感があるかもしれないが、すでに日本でもホテルの宿泊料金や航空券などにおいては完全に変動制が定着しており、またプロ野球のチケットにおいても変動制が導入され始めたようなので、むしろ固定制のほうが時代遅れと考えるべきだろう。
 そもそも価格というものは、「需要と供給のバランスで決まるもの」というのが経済学の教科書にも出てくる原理原則。
 その「需要」が、季節、曜日、時間帯、天候などによって日々刻々と変動するものであるならば(変動しないほうがおかしい)、「価格」も変動させないとさまざまな不具合が生じてきてしまう。
 一番大きな不具合は、「チケットを買いたい人が買えない」、それと「チケットの売れ残り」だろう。その他にもダフ屋、買い占め、転売、徹夜での行列、空席だらけ、観客が少なすぎてイベント自体が盛り上がらないなど、問題は少なくない。
 つまり、たとえば季節が良い時期の週末のスポーツ観戦などでは需要が高まり、逆に同じスポーツイベントでも悪天候の平日だと需要は大幅に減る。結果的に、買いたい人が買えなかったり、チケットが売れ残ったりすることになるわけだが、そういった問題を最小限にするのが価格の変動による需給バランスの均衡だ。
 主催者側が、「今の価格だと売れ残りが大量に出てしまう。半額にすれば完売できるかもしれない」と予測できる状況においても、定価販売に固執していたのでは、それは主催者側にとって明らかな「ビジネス機会の喪失」であり、また「もう少し安ければ買ったのに」という人に対する「観戦や鑑賞の機会を提供することの放棄」になってしまう。

 したがって、固定価格から変動価格への移行は、経済学的な合理性があるわけだが(もちろん弊害がまったくないわけではないが)、特に最近このトレンドに拍車がかかって来ているのは、その経済理論だけが理由ではなさそうだ。人工知能(AI)というハイテクの登場が大きく影響しているといわれている。
 ショーの主催者など販売する側の人間が、チケットの売れ行き、天候、曜日などを考慮しながら価格を変動させることは決して簡単な作業ではないが、AIは現在の状況のみならず過去の膨大なデータなどから未来を予測し、売れ残りを最小限にすると同時に利益が最大になるような販売価格の最適値を日々刻々と自動的に算出してくれる。
 もはやAIの導入による変動制へのシフトは、時代の流れとして逆戻りすることはないはずで、遅かれ早かれほとんどのショーから定価という概念が消え去ることはまちがいないだろう。
 ただ、高性能のAIを使ったチケット販売システムの導入にはそれなりのコストがかかるので、主催者側の規模や資金力などによっては、導入が遅れる可能性はある。それでも最先端のハイテクを駆使している ticketmaster 社 などのチケット販売の専門業者に委託する方法もあり、またその委託販売のほうが、販売手数料を委託業者に払っても、より多くの利益を確保できることがわかれば、小規模のショー主催者もAIに頼るはずだ。
 変動制になることにより、従来の定価よりも高くなってしまうこともあれば、安くなることもあり、このトレンドが買い手にとって損なのか得なのか判断しづらい部分もあるが、成熟した市場経済社会の原理原則という大局的な視点から見れば、もはや業界にとっても消費者にとっても変動制を否定する余地はなく、双方にとって利益になることと認識し、素直に受け入れるしかないだろう。

【 場内撮影 】

 どのショーにおいても基本的には「撮影禁止」となっている。本格的なカメラはもちろんのこと、スマートフォンによる撮影も禁止であることは言うまでもない。
 このルールに関しては、開演直前に注意のアナウンスメントがあるのが普通だが、英語がわからない外国人(日本人も含まれる)は平気でフラッシュをたいてしまったりしているので注意が必要だ。
 また、ビデオならばファインダーのディスプレイさえ消しておけばフラッシュが光らないのでバレることはないだろうと勝手に思いこみ撮影してしまう者も後を絶たないようだが、各ショーではこうした無断撮影を取り締まるための専門部隊を置いているので、多くの場合すぐに見つかりカメラやスマホを取り上げられてしまう(もちろんショーが終わったあと返してもらえるが)。
 特にマジック関連のショーなどではその監視もより一層厳しくなっているので要注意だ。いずれにせよ、日本人の評判を落とさないためにも、ぜひマナーだけは守っていただきたい。
 なお、その一方で、近年は撮影OKというショーも増えてきている。禁止にするよりも、撮影させて SNSなどで拡散してもらったほうが宣伝になる、との考えがあるようだ。ただ、撮影OKの場合においても、「フラッシュは禁止」、「動画はダメ」という場合がほとんどなので、開演直前に流れる撮影に関するアナウンスメントは聞き逃さないようにしたい。

【 休演シーズン 】

 11月下旬から 12月25 日前後までは多くのショーが休演となる。この時期、アメリカの一般市民はクリスマス準備などで忙しく、観光都市ラスベガスが閑散期に当たるためだ。そしてナイトショーの関係者たちも、この期間に連続休暇を取り、クリスマス準備のために故郷へ帰る。
 したがってこの閑散期のラスベガス訪問は、混んでいないというメリットはあるものの、公演中のショーが少ないというデメリットもあるので、ナイトショーを観ることを目的としている者は避けたほうがよい。
 一方、「カジノだけが唯一の楽しみ」というヘビーギャンブラーにとっては、レストランなどで並ばされることも少なく宿泊料金も安いため、この時期は絶好の訪問チャンスということになる。

【 服装 】

 「ラスベガスのナイトショーは豪華にドレスアップしていくのが常識」と思いこんでいる者も少なくないようだが、実際に現地へ行ってみると予想以上にラフな格好が多いことに驚かされる。Tシャツ、ジーパン、タンクトップ、キャミソールといった姿もぜんぜん珍しくない。もちろんゴージャスに着飾った者もいるが、どちらかというと少数派だ。
 ラスベガスにおいては 劇場側が服装に条件を付けていることなどあり得ないので(もちろん上半身裸や水着姿は不可。プールサイド・コンサートなどの場合は、その限りではないが)、着飾りたくない者が無理にドレスアップする必要はまったくない。
 したがってラフな服装で何ら問題ないばかりか、むしろ夏場は「Tシャツ & 短パン」が最大勢力であることを覚えておきたい。
 一方、豪華に着飾りゴージャスな気分を味わいたい者は大いにお洒落をしていってかまわないし、していくべきだろう。日本では恥ずかしくなるほどの派手な格好でもラスベガスの劇場では浮いた存在になることはなく、めったにない機会のお洒落はラスベガス旅行の楽しみの一つだ。
 したがって、目立ちたがり屋は思いっきり着飾ってみるとよい。ただ、派手にドレスアップした「ライバル」も少なくないので中途半端な格好では目立つことはできないかもしれない。パーティー後の若者グループ、披露宴後の新婚カップル、大富豪の家族、結婚記念日を楽しむ中年カップル、成人祝いでラスベガスにやって来た若い女性グループなど、彼らはみんな気合が入っている。どうせならそんな目立ちたがり屋のアメリカ人に負けないぐらいの意気込みで派手に決めてみたいものだ。
 なお、夏場の劇場内は冷房がかなり効いており、屋外との気温差が大きい。激しく動く役者やダンサーのために、一般の室内よりもさらに気温が低めに設定されているようだ。また、煙などの特殊効果や、ステージ上に簡易アイススケートリンクを用意したりと、事情があってやむを得ず気温を下げている場合もあると聞く。ドレスアップする者もしない者も、冷房が苦手な者はそれなりの対策を考えておいたほうがよいだろう。(ラスベガスの各ホテルにおける空調の設定温度は、週刊ラスベガスニュースの第960号に掲載。あまりの低温に驚くはずだ)

【 年齢 】

 子連れファミリー族にとって気になるのが年齢制限。年齢の下限を明確に決めてそれを公表しているショーと、そうでないショーがある。どちらにせよ、「あまり小さな子供はショーに連れて行くべきではない」と考えることが、無用なトラブルを避けるためのキーポイントといえるだろう。
 一般に欧米社会では「大人の時間と子供の時間」あるいは「大人の空間と子供の空間」をハッキリ区別する傾向にある。また、自分の子供でも、TPOに応じて「ひとりの個人」もしくは「他人」と見なさなければならない状況に置かれることが多く、子供を自分の所有物であるかのように扱うことが許されがちな日本とは習慣が根本的に異なる。
 日本では公共の場であろうがなかろうが「親も子供も家族はいつも一緒」「子供は親の所有物」といった価値観が少なからずあり、そういった社会通念の相違から、日本人観光客がこの年齢制限の問題でトラブルを起こしやすい状況に置かれていることは否定しがたい事実だろう。
 そもそもラスベガスはギャンブルの街、すなわち完全に「大人の街」だ。ましてや「夜の社交場」の代表格ともいえるナイトショーの会場は完全に「大人の空間」といってよい。(もちろん「子供大歓迎」のショーは除く)
 つまり、ナイトショーの会場はゴージャスなナイトライフを楽しむための大人の社交場と考えておく必要がある。もちろんゴージャスではない二流のショーも少なくないが、それでもそこはあくまでも大人のエンターテーメントの場であり子供がはしゃぐ場所ではない。
 したがって、そのナイトショーの年齢制限が「5才以上」になっているからといって、5才の子供を連れていって何ら問題がないかというと必ずしもそうとは限らないので注意が必要だ。
 たしかに劇場側が決めたルール上では何ら問題がなく規則に反するわけではないが、トラブルを起こす可能性が常にあるということを頭に入れておきたい。なぜなら、ドレスアップしゴージャスなナイトライフを楽しんでいるアメリカ人カップルなどにとって、大人の世界に小さな子供が来ていることなど想定外であり、自分の隣の席で 5才の子供が突然泣き出したりだだをこね始めたらそれこそナイトライフは興ざめで、その親との間でケンカに発展しないとも限らないからだ。
 もちろん親に文句を言わず、5才の入場を認めてしまった劇場側にクレームする者もいるだろう。それでもトラブルの当事者として不愉快な思いをさせられることに変わりはなく、避けられるものであればそんなトラブルは始めから避けたいものだ。
 劇場側もそのようなトラブルに巻き込まれるのを避けるためか、あえて年齢制限を公表していない場合が少なくない。年齢制限など設定しなくても、乳幼児を大人の世界であるショー会場に連れ込もうとする者など欧米の価値観ではまずいないので「常識にまかせる」というルールだけでもとりあえずうまく機能しているからだ。

 したがって大切なことは、ラスベガスのナイトライフは大人の社交場であるということを十分認識した上で、自分の子供が上演中に静かにしていられるかどうかを正しく見極め、そして周囲の者の立場に立ち何ら迷惑になることはないと判断できた場合で、なおかつ劇場側が設定している規則を満たしている年齢である場合にのみ、子供をナイトショーに連れていくことを検討すべき、ということになる。
 また、上演中は特殊な光や突然の大音響など、大人でも驚くような演出が飛び出すこともあるので、子供がそのような場面で大声を上げたりすることなく平静を保っていられるかどうかをあらかじめ検討することも親の義務だろう。

 もちろん子供がラスベガスのナイトライフから完全に閉め出されているかというと、必ずしもそうではない。営業戦略的に子連れファミリー族の入場を始めから大歓迎しているショーも少なからず存在しているので(エクスカリバーホテルのトーナメントオブキングスなどがその典型)、子連れでラスベガスへ行く者は、事前にそういったショーの情報を集めておくとよいだろう。

 最後に、ここまでに述べてきたような乳幼児などを対象とした年齢制限とは別に、法令による未成年者に対する入場規制もあるので、中学生や高校生を連れて行く親は別の意味での注意が必要だ。
 たとえば、露出度が高いトップレスダンサーなどが出演したりするショーの場合、主催者側の意思とは無関係に当局の指導により 18歳未満もしくは 21歳未満の入場が制限されている。
 下限年齢は過激度などに応じて異なるようだが、少なくともトップレスダンサーが登場するショーにおいては何らかの制限が必ずあると考えたほうがよい。
 また、マジックショーやコメディーショーだからといって油断はできない。芸の合間に出てくるダンサーがトップレスだったりすることがときどきあるからだ。また、同じショーでも「7:30pm の部は未成年も可、9:30pm の部はダンサーがトップレスになるので未成年不可」という場合もある。


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