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CRISS ANGEL Believe




ホテル  ラクソー / 702-262-4400
スケジュール  7:00pm と 9:30pm (ただし水、木は 7:00pm の部のみ)
休み  原則として、日曜日と月曜日
料金  以下の本文中の表を参照 (2015 年 11月 現在の料金)
ドリンク なし 年齢制限 5才以上
英語力 まったく必要なし 座席指定 指定席

 人気マジシャン、クリス・エンジェルとシルク・ドゥ・ソレイユのコラボレーションによるアクロバット・マジック・ショー。会場は、ピラミッド型ホテルとして知られる LUXOR。
 良くも悪くもこれほど地元メディアにあれこれ書かれるショーは少ない。それだけクリスもシルクも話題性があるということの証で、両者にとっては名誉なことだろう。

 まずはクリスについて簡単にふれておきたい。ニューヨーク出身で幼い頃からマジックを始めたクリスは、今でこそ大型イリュージョンという印象が強いが、下積み時代を終えるまでは小さなマジックもこなし、さまざまな場所でマジックショーを演じてきた。
 2000年ごろを境に、名前が売れてくるようになると、軸足をステージからテレビに移すことに。露出度という意味でのテレビの影響力は絶大だったようで、その特徴的な風貌で女性ファンのハートをつかむことに成功し、彼の名は一躍有名になった。
 2005年ごろにはすでに、話題性や注目度において、全盛時代を過ぎたデイビッド・カッパーフィールドやランス・バートンなどの先輩マジシャンを抜き去り米国マジック界のリーダー的存在になると、プライベートな部分においても超一流ぶりを発揮し、人気歌手ブリトニー・スピアーズや女優キャメロン・ディアスとの恋仲など、芸能雑誌が喜ぶようなゴシップを連発。
 そんな彼の存在に黙っていなかったのが、スターを誘致したいベガスのショービジネス界で、ホテル王とされるスティーブ・ウィン氏を始め、さまざまな関係者が彼に声をかけることになったが、結局彼が最終的に選んだ提携相手はシルク・ドゥ・ソレイユだった。

 そのようないきさつで始まったこのショー、当然のことながらメディアからの注目度は半端ではなく、開幕当時の報道合戦は過熱気味で、ベガスの枠を超えたその報道は全米で注目されることになったわけだが、期待に反して評判は惨たんたるものだった。
 地元最大の日刊紙ラスベガス・リビュージャーナルは異例とも思われる大きなスペースをさいて酷評記事を掲載、他のメディアもおおむね辛口のコメントでこのショーを報道した。
 個人のブログやSNSなどでの意見も総じてきびしいものが多く、その傾向は数年が経過した今でも基本的に変わっていない。

 ではマスコミの評価はともかく、日本人の感覚で実際に鑑賞してみた感想はどうかというと、やはりあまり感動できるレベルのものではないというのが正直な印象だ。
 何が悪いかというと、個々の細かい演出よりももっと根本的な部分、つまりクリスとシルクの組み合わせ自体に問題があるように思えてならない。どちらが悪いということではなく、両者は一緒にやるべきではないということ。
 実際に観る前までは、クリスの豪快なイリュージョンとシルクの幻想的な演出が組み合わされば、さぞかしすばらしいものになるだろうと思っていたが、実際はまるで逆。つまり 1 + 1 が 3 や 4 になることを期待していたが、結果的には 1 以下になってしまっていた。
 ようするにマジックショーは始めからマジックショーとして見たほうがわかりやすく、またサーカスやアクロバットも始めからそれとわかって見たほうが楽しいということがわかった。
 たとえば役者が空中に浮き上がっても、あらかじめそれがサーカスなのかマジックなのかわかって見ていないと、ばくぜんと見過ごしてしまうことになりかねず、同様に、シルクのダンスだと思って見ていたダンサーがひとりぐらい突然消えてもなぜかビックリしない。
 「ビックリ」 が重要な要素だとすると、予測できない未知の未来、つまり何が起こるかわからない状態のほうがより一層感動できるようにも思えるが、実はそうではないようだ。
 人体が二つに切断されることがわかっていて、やっぱり切断されたときに観客は 「へぇー」 と思い、消えると思っていた人物が実際に消えると 「どうしてだろう」 と感動できるが、マジックをやりそうもないダンサーがいきなりそれらをやってのけても、「今のはマジックだったのね」 程度であまり感動できなかったりする。

 この現象は、食べ物にたとえてみるとわかりやすいのかもしれない。クリスが寿司、シルクがスイーツ。マグロ、イカ、ハマチ、ウニ、これらはどんな順番に食べてもうまい。同様にケーキ、シュークリーム、プリン、アイスクリーム、どれもうまい。しかし、マグロの次にケーキを出され、イカの次にシュークリーム、ハマチ、プリンと出されると、もはや次に対する 「予測できない期待感」 とか 「ワクワク感」 などまったくなく、どんなにうまいウニが出てきても、すでに味覚センサーが混乱しておりうまいと感じない。寿司とスイーツの混在がダメなように、今回のショーを観てマジックとサーカスも混ぜるものではないことが確認できたような気がした。

 組み合わせの失敗だけでなく、このショーはクリス自身にとっても理想の環境ではなさそうだ。
 このショーに出るまでのクリスは、自身のテレビ番組 「マインドフリーク」 (ケーブルテレビ局 A&E Network) の中で、神秘性やカリスマ性を含めた一種独特のイメージを定着させてきたわけだが、当然のことながら一般の多くのファンはそんなクリスの姿を今回のステージでも期待してしまう。
 しかしその番組内でのマジック (たとえば空中歩行、水上歩行、緊急脱出など) は、屋外で群集を前にして披露するストリートパフォーマンス系のものが多く、それらはクリス本人のみならず群集のサポートやハイテク技術を駆使して作られた映像エンターテーメント、つまりそれは路上というライブで見せるパフォーマンスのように見えるが、じつは単なる撮影現場であり、クリスのマジックはあくまでもテレビで放映して見せるために作られているものがほとんどだ (例外もあるが)。
 もっとわかりやすく言ってしまえば、その番組は、「路上で披露されている彼のマジックをテレビでも放映している」 のではなく、あくまでも 「テレビで楽しむための番組映像を、路上パフォーマンスという形の撮影現場をセットして制作している」 ということになる。

 したがってクリスのマジックは高度な撮影技術やカメラワークなどがあって初めて成り立つものが多く、そう考えると、個々の観客が同一方向からノーカットで連続して見ることになるライブステージで、テレビと同種のマジックを披露することは極めてむずかしく、この劇場という環境はクリス自身のコンセプトにマッチしていない。
 このことは、「テレビを通じて伝える映像マジック」 という分野を開拓し、それを自身の持ち味として定着させ成功したクリスにとって非常に大きなハンデで、もはやライブステージは彼の型ではないといってよいのではないか。
 結果的に、今回のショーで披露できるマジックは、クリスにとっての下積み時代のステージ型パフォーマンスになってしまいがちで、実際に、手からハトを出すような古典的なマジックもやっていた。
 クリスのファンはそんなマジックを期待していないはずで、結局、観客の反応もいまひとつという状態になってしまっている。
 参考までに、最後のほうのシーンで披露されるクリス自身が自らの身体を二つに切るイリュージョンは、彼のテレビ番組でも見られる 「最もクリスらしい演出」 のひとつといってよく、この部分だけは珍しく観客も盛り上がっていた。
 クリスのためにあえていうならば、ステージショーはせっかく築き上げた彼のイメージを壊すだけのように思えてならない。テレビでできることとステージでできることはまったく別で、彼はステージでハトなどを出している場合ではないし、華麗なシルクのダンサーと一緒に踊って美などを追求している場合でもない。
 そのロックミュージシャンのような自慢の風貌をテレビの大画面に大写しにされながら豪快な緊急大脱出劇や瞬間移動などを演じるのが彼の持ち味で、それをやっていかなければマジシャン生命が終わってしまう恐れすらある。
 そもそもライブステージでは、彼のセクシーな顔をハッキリ認識できるのは前列のほんの一部の観客だけで、せっかくの「資産」を生かしきれていない。テレビスターであることを再認識し、自分のためにも、夢を追うファンのためにもテレビに回帰し、そこでカリスマ性を思う存分発揮したほうが彼のためになるような気がしてならない。

 そのようなわけで今このショーが抱える問題は、ちょっとした改良や修正で解決できるような簡単なものではないので、今後このショーの評価が急激にアップすることは考えにくい。その証拠に、初公演後 5年が経過した 2013年現在でも、何度か改良を重ねてきたにもかかわらず、集客実績はまったく回復していない。結果的に、数あるシルクのショーの中では異例とも言えるチケットの大幅割引販売を続けている。
 ということで、このショーを観る際は、テレビでの豪快なクリスを期待することなく、またシルクの華麗なるサーカスも期待することなく、大きな期待をせずに気軽な気持ちで足を運べば、そこそこ楽しい時間をすごせるかもしれないが、そうではない場合はガッカリさせられる可能性が高い。

 会場は、かつてブルーマンが行われていたシアターで、基本的なサイズなどは当時と同じ。客席空間の左右の幅はそれほど長くないが、奥行きが深くなっているのがこの劇場の特徴で、後方の席からはステージがかなり遠くなる。座席選びの際は、左右の位置関係よりも、前後の奥行きを気にしたほうがいいだろう。すべての座席がワンフロアの中にあり、2階席はない。そのフロアの傾斜は十分すぎるほどあるので前の人の頭がじゃまになるようなことはまずない。チケット料金 (定価) は 以下のとおり。

公式チケット価格$130.00 $109.00 $89.00 $59.00 
LET税 9%$11.70 $9.81 $8.01 $5.31 
販売手数料$10.95 $10.95 $10.95 $10.95 
最終価格$152.65 $129.76 $107.96 $75.26 
( LET とは、Live Entertainment Tax の略で、いわゆる興行税のこと。ラスベガスでの一般の消費税 8.1% とは異なり、 LET が課税される商品に対しては消費税は課税されない)
 なお、「販売手数料」 は、これは買う側としては、気分のいいものではないが、ラスベガスのショーチケットにおいてはほとんどの場合、これが存在しており、シルク・ドゥ・ソレイユも例外ではないので仕方がない。(ショーを実際に行う劇団側と、チケットを販売する部門が別組織になっているため、公式サイトで買っても販売手数料が発生する)

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