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PICASSO



  店  名 PICASSO   最寄のホテル ベラージオ内
  ジャンル 地中海風フレンチ (スペイン料理やイタリア料理の影響も受けているとのこと)
  住  所 3600 LAS VEGAS BLVD.   電   話 702-693-7223
  行 き 方 高級ブランド店が並ぶショッピング街の途中にあるエスカレーターで湖側に降りた場所
  営業時間 6:00 pm 〜 11:00 pm (水曜日休業)
  予  算   オシャレ度
  話 題 性   接待利用
  子連れ利用   高齢者味覚度
  予約必要度   M V P
  メニュー
  写  真

 ベラージオホテルの元会長 Steve Wynn 氏の趣味で買い集められたピカソの名画が所狭しと飾られている話題のレストラン。2000年春に同ホテルが MGM 社に買収されたことを機会に Wynn 氏はすでに退陣しベラージオを去ってしまったが、総額百億円以上と言われている絵画はそのままこのレストランのバーやダイニングルームに残されている ( [Photo-1] ←クリック )。

 「インテリア資産では世界一」 と噂されるこの店にはピカソの作品が全部で 12点飾られている。店内に足を一歩踏み込んだ瞬間、高価な絵画がなんのプロテクトもされないまま無造作に飾られている光景には誰もが驚くことだろう。ちなみに右の写真に写っている絵の購入価格は 1400万ドルとのこと。

 店内のベストシートはもちろん絵の近くだが、あまり近すぎると威圧感ある絵に圧倒され(たとえ芸術的内容がわからなくてもその金額を想像しただけで圧倒されてしまう)、料理を楽しむことができない可能性があるばかりか、ダイニングルーム全体に飾られているさまざまな絵を楽しむことができないので少々離れていた方がよいかもしれない。
 なお窓際の席からは同ホテルの名物である噴水ショーが良く見え非常にロマンチックだが、ピカソの絵からはやや遠くなってしまう。このレストランに限っては、噴水の存在は無視して絵を楽しむことに徹した方が得策かもしれない。
 それでも 「絵画よりも噴水」 という者は、湖畔に突き出た屋外のパティオ席 (写真左) もあるのでそこをリクエストしてみるのもよいだろう。パリスホテルのエッフェル塔やプラネットハリウッドホテルをバックにゴージャスな噴水ショーを思う存分楽しめるはずだ。ただ、風向きによってはかなり水しぶきが飛んでくるのでそれだけは覚悟しておく必要がある。

 絵画ばかりが目立ってしまうレストランだが、味やサービスも全米屈指のようで、権威ある Mobile Travel Guide の 2000年度評価で 5つ星レストランに選ばれている。ちなみにこの 5つ星の評価を受けているレストランは全米で 19店しか存在しないというからこの店のレベルの高さがうかがえる。

 料理のジャンルとしては南フランスの地中海風フレンチとのことだが、イタリア料理やスペイン料理の影響も受けているという。ちなみにこの店のチーフシェフ Julian Serrano 氏のルーツはスペインだ。

 仕入れた食材によって料理の内容が頻繁に変わるとのことで、着席と同時に手渡される メニュー (←クリック) にはその日の日付が印刷されている。
 基本的には $79.50 と $89.50 のコースメニューのみで、原則として飲み物以外はあれこれ選ぶことができない (ただしそれぞれのコースメニューの中でいくつかのセレクションはある)。予算としては標準的なワイン、チップ、税金込みで一人 $170〜$200 程度と考えておけばよいだろう。( [$89.50 のコースメニュー] ←クリック )
 なお、ワインリストはあまりにもページが多すぎるためここでの紹介は割愛するが、「どんなワインでもほとんどのものは用意してあります」 (ウェイター) とのことなので、ワインフリークの者は好みの銘柄を遠慮なくリクエストしてみるとよいだろう。$100 前後のスタンダード銘柄から 1万ドルを越える超一級品までそろっている。なおワインに詳しくない者やウェイターとの英語でのやり取りに自信がない者はコースメニューの中に記載されている "ソムリエお勧めワイン" を頼むとよいだろう。

 どのアイテムも総じてあっさり気味の上品な味で、オリーブオイルなどが効いたこってりした味のアイテムは少ない。もともとイタリア料理と違いフランス料理は脂ぎった物が少ないと言われているが、それを差し引いて考えてもかなりおとなしい味のものが目立つ。調理場からの油がダイニングルームまで浮遊し絵画にダメージを与えてしまうことへの配慮からだろうか。

 皿は盛り付けを引き立てるためか、純白の無地の物が使われている。それでも形や大きさはさまざまで、料理ごとの皿の使われ方などは非常に勉強になる。以下はこの記事の取材時にサーブされた各アイテムの写真だ (メニュー名をクリック)。

[Photo-2] フランスパンの盛り合わせ
[Photo-3] "Warm Maine Lobster Salada"
[Photo-4] "Poached Oysters"
[Photo-5] "Cream of Half Moon Petits Pois"
[Photo-6] "Roasted U-10 Day Boat Scallops"
[Photo-7] "Boudin of Fresh Lobster, Shrimp & Scallops"
[Photo-8] "Filet of Wild Atlantic Turbot"
[Photo-9] "Sauteed Foie Gras"
[Photo-10] "Sauteed Filet of Maine Halibut"
[Photo-11] "Roasted Pigeon"
[Photo-12] "Roasted Milk-Fed Veal Chop"
[Photo-13] 本日のデザート
[Photo-14] 本日のデザートとバースデー客用デザート

 服装に関してだが、「ネクタイ絶対着用」 などの厳しいルールにはなっていないものの、ジャケット程度は着て行った方がよいだろう。女性もあまりラフではないそれなりの服装が望ましい。

 さて気になる予約システムだが、最近は一頃に比べかなり簡単になってきた。開業当初は原則としてカジノゲスト (いわゆるハイローラーと呼ばれる高額プレーヤー) 優先で、その次がベラージオの宿泊者が優先され、さらにその次が系列ホテル (ミラージ、トレジャーアイランド、MGMグランド、ニューヨークニューヨークなど) の宿泊者となっていたため (今でも基本的にはそうだが)、どれにも該当しない一般の者の予約は非常に難しかったが、最近はハイローラーの利用が一巡したためか、それとも日本人に占領されつつあり常連客に敬遠されているのか (最近は利用客の半数近くが日本人)、数日前の予約でも簡単に取れてしまうことが少なくない。それでも予約無しの飛込みでの利用は原則として受け付けていないので、必ず事前に予約しておく必要がある (電話番号 702-693-7223 まで)。

 なお、予約時は名前や連絡先はもちろんのことクレジットカードのインフォメーションやノーショー (当日無断で姿を現さないこと) の際のペナルティーに関するルール説明およびそれに対する同意など、それなりの英語力を必要とするので、あまり英語に自身のない者は電話しない方がよいだろう。
 英語が得意な友人などに頼んで予約してもらうという方法もあるが、それはあまりお勧めできない。なぜなら、この種の高級レストランでは、案内人やウェイターとまったく意思の疎通ができないというわけにも行かず、予約の際の英会話に困る者は当日現場でもっと困るからだ。
 ちなみに、担当がしっかり決まっていて個々の客に手厚いサービスをしてくるウェイターとの会話は、メニューやワインを決めたりする場合だけではない。それぞれ出された料理に対する感想はもちろんのこと世間話までしてくることがある。またコミュニケーションはウェイター側から話を持ちかけられる場合だけではなく、こちら側にもそれなりの振る舞いが求められるシテュエーションが少なくない。
 たとえば、いくら会話が苦手でも食事が終わったあとなどは伝票の Gratuity の欄に 20% 程度の数字をスマートに書き込み、お礼の気持ちを込めにっこり笑いながら伝票を手渡すぐらいの振る舞いは必要だ (会計はレジではなく、食事をしたテーブルで担当ウェイターを通して行う)。
 そもそも 一人 $150 以上もするようなこの種のレストランは、アメリカ人でも非常に限られた層の者しか利用できないのが現状で (一般大衆レベルのアメリカ人は、日本人が考えているよりはるかにお金を持っていない)、そこには利用する側にもそれをもてなす側にもそれなりの暗黙の合意があり、たとえ日本人といえども現場へ行ったからにはそれなりのもてなしで歓迎されるし、それなりのゆとり (経済的にも精神的にも) が求められ、そこには当然のことながら必然的にコミュニケーションが発生してくる。
 したがってこのような店ではウェイターとのコミュニケーションもディナーの延長線上にあるというわけで、そんな会話を楽しめる余裕がない者はこのレストランの "ピカソで満たされた空間" も楽しめないので行かない方がよいというわけだ。
 ウェイターが近寄るたびにおどおどするそぶりを見せていたのではウェイターもサービス意欲を無くしてしまうばかりか、周囲の雰囲気を壊すだけだ。また、あとから利用する日本人客の迷惑にもなりかねない。特にチップなどに関しては、一握りの日本人客が店側とトラブルを起こしただけでも、その後のすべての日本人客に対するサービスが低下しかねない。
 この店における日本人のプレゼンスが急上昇している時だからこそ、そのへんのことには十分配慮したいものだが、残念なことに多くの観光ガイドブックはただ単に 「超おすすめ!」 とだけ紹介している。その結果、非常に多くの日本人観光客が殺到しており、その現実が良い悪いは別にして、階層というものの存在や TPOをわきまえず 「金さえ払えば誰がどのように利用しようが勝手」 というような発想で利用し、店との間でトラブルを起こす者が少なからずいるという。それはきちんと現状を紹介していないメディア側にも責任があるだろう。少なくともこのラスベガス大全では次のことを改めて伝えておきたい。

 客は店を選ぶことができるが、店は客を選ぶことができない。少なくとも服装で客を選ぶことはできても階層で選ぶことは法律で禁止されている。つまり店は、その望む階層を明文化したルールで制限することができない。したがって、その店側の望みは客側が察してあげる必要がある。この PICASSO はそれなりの階層の者 (日本には階層という価値観がほとんど存在しないためこれは非常にわかりにくい概念ではあるが) だけが利用する店であることを店側は暗黙のうちに望んでおり、その代わりこの店では客側もそれなりのもてなしを受けることができるようになっている。日本人観光客が利用すること自体になんら問題はないが、そのもてなしに対して店側も客側にそれなりの振る舞いができることを期待しているため、この店を利用する者はその辺の事情や階層社会の存在をある程度理解しておいた方がよいだろう。




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