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アリア




寸評
 ラスベガスを代表する高級大型カジノホテル。2009年開業。客室数は約4,000MGM Resorts International 社の系列。
 立地場所は、日本円で一兆円ともいわれる超大規模な再開発プロジェクトによって誕生した大型複合施設「シティーセンター」の中。
 このシティーセンター自体の立地場所は、ストリップ地区全体から見るならば、やや南に位置しているものの、一般観光客にとっての実際の行動範囲的には、繁華街のほぼ中央付近と考えて特に差し支えないだろう。
 大型テーマホテルの建設ラッシュに沸いた 1990年代、エジプト、ニューヨーク、パリ、北イタリアなど、特定地域をテーマにした個性あふれるホテルが続々と誕生したわけだが、このアリアは、そのテーマホテルブームが去ったあとに誕生したホテルということもあり、明確なテーマのようなものは特に設定されていない。
 したがって、特定テーマはないものの、ホテル全体のイメージとしては、洗練された近代的かつ都会的な大人の空間をクールに演出しようとしていることがうかがえ、そういったコンセプトはコンテンポラリーな内外装のデザインなどからも感じ取れる。
 規模も内容も十分すぎるほど充実しており、最高級レベルのホテルであることに異論はないと思われるが、高級好きな日本人観光客の利用は意外にも少ない。また、4,000室という巨大なホテルのわりには露出度が低く、知名度的にもあまり目立った存在ではない。やはり以下の「悪いところ」に記載した、ストリップ大通りからの進入路の長さによる不便さが影響しているものと思われる。

沿革
 世界中が好景気だった 2004年、MGM 社とドバイの政府系企業 Dubai World 社が共同で、ストリップ大通りの西側のエリアに点在していた駐車場、ヘリポート、小売店、飲食店などのスペースをすべて買上げ、大型複合施設「シティーセンター」の建設計画を発表。
 その建設計画の中に含まれていた複数の高層ビルの中の一つがこのアリアホテルで、着工は 2006年。
 着工後、高層コンドミニアム(日本でいうところの高層タワーマンション)の建設ラッシュに沸いていたラスベガスに突如激震が走ることに。世界的な不動産不況「リーマンショック」だ。(英語では The Great Recession とか The Financial Crisis などと呼ぶのが一般的で、リーマンショックという言葉はあまり使われない)
 当時ラスベガスでは、トランプ・タワー(トランプ氏が大統領に当選する前に着工)を始めとする高層コンドミニアムが十棟以上も着工あるいは計画されていた時期で、シティーセンター内で建設が始まってしまった多くの高層ビルも、実はコンドミニアムだった。
 ちなみに現在のコスモポリタンホテル(ベラージオホテルとアリアの間に存在)も当初は高層コンドミニアムとして建設された物件だったが、結局コンドミニアムとしての分譲を断念せざるをえない状況になり(よほど価格を下げない限り買い手が現れない状況)、ホテルとして運用することになった。トランプタワーも同様な環境に置かれていたため、分譲が完売に至らず、館内の多くのユニットがホテルとして運用されることに。
 そのようなこともあって、建設途中のアリアを含むシティーセンター全体も、コンドミニアムの供給過剰という厳しい環境に置かれ(買い手がつかず、販売価格が暴落)、結果的に建設資金の回収に暗雲が立ち込め、MGM 社は倒産の危機に直面。
 結局シティーセンターの計画自体が建設途中で頓挫することがほぼ濃厚となり、実際に建設も一時中断されたが、金融機関のサポートや、MGM 社が当時保有していたトレジャーアイランドホテルを売却することによってある程度の資金調達に成功したため、なんとか倒産の危機を脱出。アリアも無事に完成し、2009年末、めでたく開業のはこびとなった。

良いところ
 ストリップ地区にある大型カジノホテルとしては、一、二を争うほど新しいホテルということもあり、ライバルホテルとの相対論として、すべてにおいて新鮮で美しく洗練されている。
 ホテルのグレードとしてもトップレベルにあり、客室内の装備などにはさまざまなハイテク機器が導入されているなど、ハード的な部分において、特に大きなマイナス要因は見当たらない。カジノの広さもラスベガスで屈指の規模を誇っており、高級レストラン群も充実している。

悪いところ
 ストリップ大通りから奥まったところにあるため、使い勝手が非常に悪い。シティーセンター全体の、ストリップ地区における位置関係は悪くないが、このアリアは、広大なシティーセンターの敷地内の一番奥にあり、結果として、ストリップ大通りからアリアの正面玄関までは、250メートルほど歩く必要がある。
 さらに悪いことに、正面玄関やフロントロビーから客室までがとてつもなく遠く、もはやこのホテルは、「ストリップ地区にありながら、ストリップ大通りから客室まで 15分以上かかってしまうホテル」ということになり、利便性がいちじるしく損なわれている。まったくバカげた造りと言わざるを得ない。
 単刀直入に言ってしまうならば、このホテルには宿泊すべきではなく、宿泊したら後悔することになる と断言してもよいだろう。
 建設してしまった今となってはもう遅いが、利用者のみならず、MGM社の幹部たちも、「この位置では不便すぎる。もっと手前に建てるべきだった」と後悔しているようだ。
 ちなみにあの毒舌のトランプ氏は、当時(もちろん大統領に当選する前)、シティーセンターのライバル的な存在のトランプタワーを北ストリップ地区に建設していたこともあり、「シティーセンターは最悪のプロジェクトだ」と酷評している。
 とにかくこのアリア、それ自体は非常に立派なホテルなだけに、その奥まった位置は残念でならない。手前の土地を確保できなかったのならまだしも、そうではなく、ストリップ大通りからアリアのその奥まった正面玄関まで、わざわざ何車線もある立派な誘導路を造っているほど土地はあった。
 このようなことになってしまった原因は、このアリアホテルを設計した建築デザイナーが自己満足的に「高級ホテルはストリップ大通りの歩道に面した場所にあるよりも、奥まった場所にあったほうが荘厳で格調高く見える」と思い込んでしまっていたからのようだが、その案をそのまま受け入れてしまった経営陣にも責任がありそうだ。
 さて、さんざん酷評してしまったが、滞在期間中に、ホテルの外にほとんど出る予定のない者、たとえば館内で開催されるコンベンションやビジネス会合へ出席するための出張族などにとっては、アリアは館内の施設が充実しているので、不便を感じない快適な滞在になるはずであることを、付け加えておきたい。

雑情報
 ネガティブな情報をたくさん書いてしまっただけに、ここの読者があえてこのホテルに泊まるようなことはないだろうが、宿泊せずにこのホテルを訪ね、何か特徴的なものを見たいということであれば、正面玄関前のロータリーの中央部分にある踊る噴水がおもしろいかもしれない。もちろんベラージオホテルの噴水ショーとは比べ物にならないほど小規模なものではあるが、複雑に変化する水の動きと、それに合わせて切り替わる光の演出は見ている者を飽きさせず一見の価値がある。

 このホテルには、プール施設が2つある。広大な一般向けのプールと、怪しげなサイズのアダルト向けプール。
 アダルト向けといえば、ミラージュホテルやマンダレイベイホテルに、トップレスの女性を大歓迎しているプールもあるが、このアリアのアダルト向けプールはとりあえずトップレスは禁止。では一般向けのプールとどこが違うのかということになるが、明確な基準などないが、簡単にいってしまえば、スタイルなどに自信がある女性や、それら女性を目当てに行く男性向けのプールと考えればよいだろう。

 このホテルのシアターでは、シルク・ドゥ・ソレイユの VIVA ELVIS の公演が、ホテル開業直後の 2010年2月からスタートしたものの、2年半後の 2012年8月にクローズ。
 その後、同じくシルク・ドゥ・ソレイユの ZARKANA が 2012年11月から始まったが、ホテル側が「シアターを持っているよりもコンベンション施設を持っていたほうがビジネス的にはメリットがある」と判断、2016年4月、ZARKANA の公演を打ち切り、会場をコンベンション施設に改造してしまった。現在このホテルには本格的なシアターがなく、定期公演ショーはおこなわれていない。

 無くなってしまったものといえば、BAR MASA も消えた。ニューヨークで大成功を収めた高山雅(Takayama Masayoshi)氏監修の、ミシュラン3つ星の超高級和食店 MASA のラスベガス店ともいえる BAR MASA(BAR という名前がついているが酒場ではなく、本格的な和食店)は、価格設定が高すぎたのか、開業当初から空席が目立つことが多く、それが理由かどうかはわからないが、2018年春、店を閉じてしまった。そのあとを引き継ぐ高級シーフード店 CATCH も価格設定が非常に高いようなので、この店の運命もいかに。

 現在このアリアは、MGMグランド、ベラージオ、マンダレイベイ、ミラージュ、ニューヨークニューヨーク、パークMGM、ルクソール、エクスカリバー、ヴィダラ、デラノ、ザ・シグネチャー と同じ MGM社系列のホテルとして運営されており、これらのホテルでは、共通のポイントカード(航空会社のマイレージカードのようなもの) M life Card を発行している。
 このカードは、上記のどこのホテルでも無料で簡単に取得でき(カジノ内などにある M life カウンター に出向き、パスポートなど身分証明となるものを提示するだけ)、宿泊や食事、さらにはカジノでのプレー実績などに応じてポイントが貯まる仕組みになっているが、上級メンバーなど特例を除き原則として、一定期間(10月1日から翌年の 9月30日まで)まったく利用がなかったりすると、ステータス・レベルや貯まったポイントがリセットされてしまうので、日本からの一般の観光客にとっては、わざわざカードを作る意味はないと思われる。
 ただし、各ホテルの館内にあるレストランなどにおいて、カードを提示すると割引があったりする場合もあり、必ずしもカードを作ることに意味がないわけではないが、割引で得られる金額と、カードを作る手間とのバランス感覚は必要だろう。(サーカスサーカスホテルは MGM社が運営するホテルではあるが、M life Card プログラムの対象外)

ホテルのグレード ★★★★★
 ホテルのグレードとしては、すでに書いてきたとおり、ラスベガスでは最高級に位置付けされているのでトップクラスと考えてよい。もちろんそれなりに宿泊料金も高いことはいうまでもない。それでも、コスモポリタンやベラージオと比べると、やや安めの価格設定になっていることが多いように見受けられる。

立地条件 ★★★☆☆
 前述の通り、シティーセンター全体としては一等地で申しぶんないが、シティーセンターの敷地内の一番奥にあるため、館内と街との出入りの際にはかなりの不便を強いられる。
 とはいえ、マンダレイベイやストラトスフィアのように街の中心部からとてつもなく離れている不便なホテルもたくさんあることを考えると、星の数としてはとするわけにはいかず、とりあえずにした。
 なお、同じ MGM 系列のホテルであるベラージオとパークMGM(2018年春までは、モンテカルロホテルと呼ばれていた)とは、無料モノレールで結ばれている。無料であるならば利用しない手はないが、路線区間があまりにも短いのと、駅の位置が不便な場所にあるため、大きな期待は禁物だ。
 もちろん話題として一度は乗ってみるのも悪くはないが、交通機関としての利便性はあまり高くないことはあらかじめ知っておいたほうがよいだろう。特にパークMGMへは、館内の連絡通路を使って徒歩で行ったほうが早い。したがって、このモノレールを使うとしたら、アリアよりも北方向(ベラージオ側)へアクセスするときぐらいになりそうだが、その北側の終点であるベラージオ駅の場所もストリップ大通りからかなり離れているので困ったものだ。

バス停の位置 ★★☆☆☆
 南北に長いストリップ大通りの移動に欠かせないのが公営バス。(運賃は、発行時刻から2時間有効な乗車券が6ドル、24時間有効券が8ドル、72時間有効券が20ドル。バス停にある自販機で購入可能)
 すべてのバス停に停車する2階建てのバス DEUCE と、主要のバス停にしか停車しない急行の2連結バス SDX の2系統があるわけだが、DEUCE は停車回数が多すぎ利便性が悪いので、交通手段ではなく、むしろストリップ地区の景色を眺めるための遊覧的な乗り物と考えるべきだろう。
 結局、多くの場合、SDX を使うことになるわけだが、残念ながらこのアリアホテルの近くには SDX が停車するバス停はない。北行き路線の SDX に乗るためにはパリスホテルの前のバス停まで行く必要があり、また南行きの SDX に乗るためにはベラージオホテルの前にあるバス停まで行く必要がある。
 DEUCE のバス停はもう少し近い場所にあるが、それでも南行きが PARK MGM の前、北行きがポロタワーの前ということになり、決して近い場所ではない。
(DEUCE、SDX は、それぞれの路線に付けられた愛称。そのバス停に SDX も停車するのか、それとも DEUCE だけしか停車しないのかは、バス停に立っている小さな看板を見れば、それぞれのロゴマークが描かれているのでわかるようになっている。多くのバス停には DEUCE のマークしか描かれていない)

ショッピングの利便性 ★★★☆☆
 「ファッションショーモール」、「フォーラムショップス」、「グランドキャナルショップス」などの人気のショッピングモールからは遠いが、ストリップ大通りを斜めに渡った(歩道橋あり)向かい側のプラネットハリウッドホテル内に、庶民的なショッピングモール「ミラクルマイル」があるので、MGMグランド以南のホテルなどと比べると、ショッピング環境は決して悪くない。
 また、飲み物など、滞在中に必要な雑貨類の購入に関しては、徒歩圏内のパークMGMの手前に CVS、プラネットハリウッドホテルの南側に Walgreens(どちらも全米規模の大型ドラッグストアのチェーン店)があるので、特に不便を感じないはずだ。(館内にある小さなコンビニはべらぼうに高い)
 ちなみに、「ミラクルマイル」内には、みやげ物を買う際のショップとして日本人観光客から絶大なる支持を集めている ABC Stores(ハワイで多店舗展開をしているコンビニスタイルのギフトショップ)もある。
 そもそもこのアリア自体にも、超高級ショッピングモール「クリスタルズ」が隣接しているので、ブランド品を買う予定の者は、このクリスタルズの存在も覚えておきたい。

レストラン ★★★★
 ホテル自体が巨大なため、レストランの数も多く、また料理のジャンルも豊富で、充実度は抜群。
 ステーキハウス、フレンチ、イタリアン、中華はもちろんのこと、スパニッシュ・タパス、タイ料理、寿司(Aria Cafe 内)、さらにはピザ専門の店からスイーツ店まで選択肢は多い。定額料金で食べ放題の バフェィも人気が高い。(バフェイとは、日本でいうところの食べ放題のバイキング。発音がむずかしく、「ビュッフェ」や「バフェ」と言っても通じない。うしろの「ェイ」のところにアクセントを置いて「バフェイ」と発音する必要がある。ちなみに「バイキング」は北欧地域の海賊のことなので論外)
 というわけで、食事環境はまったく悪くないが、どこも総じて高級すぎるのと、ファーストフード店が集まるフードコートのようなものがなく、庶民的な価格帯の店が少ないということで、星5つではなく、星4つとした。

ハネムーン ★★☆☆☆
 ホテルそのもののゴージャスさなどにおいては、ハネムーン需要に十分応えられるだけのものを持っているが、正面玄関が奥まった場所にある部分が問題すぎる。
 というのも、ハネムーンでは、とかくたくさんのみやげ物を買う必要に迫られたりするもの。当然のことながら、客室からひんぱんに街に出たり入ったりしなければならないわけだが、そのような宿泊者にとっては、このホテルは不便極まりないので、避けたほうがよい。

レンタカー利用者 ★★☆☆☆
 レンタカー利用者にとって、このホテルは便利ではない。理由は単純で、駐車場が客室から遠すぎるからだ。
 また、郊外へ出かける際に利用することになる高速15号線へのアクセスにおいても、必ずストリップ大通りを通らなければならず、裏通りから15号線にアクセス可能な Park MGM やニューヨークニューヨークと比べると、かなり使い勝手が悪い。

子連れファミリー ☆☆☆☆
 子供の利用を想定したマーケティングは特にしていないので、子連れファミリーにはまったく向いていない。
 ホテルのコンセプト的な部分以外でも、街へ出るまでの歩く距離が長すぎるので、子連れファミリーには不向き。宿泊ホテルをどこにすべきか検討する際は、始めから候補リストから除外すべきだろう。


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