週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年11月10日号
リオスイートでタイタニック展
 1912年、処女航海で沈没した英国の豪華客船タイタニック号。映画にもなったその今世紀最大級の海難事故を世紀末の今こそ改めて検証しようとタイタニック展 “TITANIC The Exhibition” がリオスイートホテルで 11月 5日から始まった。

 “ラスベガスでのイベントはしょせんカジノへの客寄せ” そんな気持ちもあり、簡素なアトラクションだろうと勝手に思い込み大きな期待をせずに現場を訪れてみたところ、あまりにも充実した内容に少々驚かされた。

 80余年ぶりに深海から引き揚げられた数々の遺品、造船所の風景などタイタニック号が建造さられていく様子をつづる当時の写真、客室やダイニングルームなどタイタニック号の豪華な船内をそっくりそのまま実物大に再現したモデルルーム、高性能の潜水艦やハイテク技術を駆使して行われた引き揚げ作業風景のビデオ、沈没に至ったプロセスの学術的分析、その他実話に基づくさまざまな展示物が一堂に集められている。
 終始一貫して厳粛な雰囲気が漂っているこのタイタニック展は、“軽さ” が売り物のラスベガスのアトラクションとしては極めて “優等生” で、他のエンターテーメント系のアトラクションとは完全に一線を画する異色の存在だ。

 地味なコンセプトの中にも工夫が凝らされており、観る者を飽きさせない演出もなかなか立派だ。
 入館時にひとりひとりに手渡されるウォークマンによる音声解説 (現在は英語版のみ) を聞きながら順路に沿って進むと、まずは 46,000馬力を誇るタイタニック号のスクリューの大きさに感動させられる (写真による展示)。
 その直後に、深海から引き揚げられた錆びたスーツケース、メガネ、ボロボロになった米ドル紙幣などを見せられ、80余年という歳月の重みに胸を打たれていると、次にいきなり豪華なダイニングルームや一等客室の実物大モデルルームが目に飛び込んでくる。
 また、映画 「タイタニック」 の中で何度も登場した豪華な一等船内の階段も実寸通りリアルに再現されており (写真右)、そのすぐ脇に展示されている粗末で狭苦しい二段ベッドの三等客室との対比によって、当時の階級社会をかいま見ることができる。

 沈没過程を学術的に解説するセクションに置かれた大きな氷山が本物の氷でできていることに驚いていると、次は非常に暗く重々しい雰囲気が漂う部屋が待ち受けている。なんとその部屋の壁には 2000人を超える全乗客およびクルーの名前が刻まれており、その脇には無情にも 「犠牲者」、「生存者」 という文字が小さいながらもハッキリ記載されている。文字こそ非常に小さく描かれているものの、その持つ意味はあまりにも大きく思わず感傷的な気分にさせられてしまう。ちなみに客室クラス別の犠牲者・生存者の数は以下のように記載されていた。

 1等客室2等客室3等客室乗務員
犠牲者130166536685
生存者199119174214


 展示順路の最後は記念グッズショップになっており、そこでは絵はがき、Tシャツ、帽子、マグカップなどの定番商品に加え、事故を速報で伝えた当時の主要新聞のコピー版 ($9.99) や 「タイタニック展オフィシャルカタログ」 ($19.99) などが売られている。このカタログは収集されている情報量、記述の内容、写真のクオリティー、ページ数、どれをとっても非常に立派で、情報資産としても見学の思い出としても良い記念となるだろう。

 料金的に決して安くはないが、映画などでは伝わってこないリアルな感動を味わうことができるばかりか、この世紀の大事故を風化させないためにも、引き揚げ品の現物を目の当たりにしながら多くの人がこの史実を振り返ってみることは決して無意味ではないだろう。

 
 料金: $15.95 (大人)、$9.95 (5才〜14才)、無料 (5才未満)
 開館時間: 毎日 10:00am 〜 10:00pm (ただし最終入館は 9:00pm)
 場所: リオスイートホテル新館タワー棟のカジノフロア (マスカレードビレッジ) の東端の 2階
 期間: とりあえず 1年間を予定しているがハッキリしたことは未定


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