週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年11月3日号
○ (オウ)、ハイローラー用に 500席?!
 "たかがオウ、されどオウ"... 日本人観光客の間で圧倒的な人気を誇るベラージオホテルのナイトショー "○" (オウ)は、その人気の高さゆえにチケットの入手がむずかしく、各方面にさまざまな問題を投げかけている。
 特にチケット入手のために右往左往する日本人の現場におけるプレゼンスは高まるばかりで、もはや日本人のオウ好きを知らない現場スタッフはいないほどだ。
 「これはオウ人気というよりもオウ騒動」 (在ラスベガス日系旅行代理店) と言われるほどの "大騒動" になっており、最近の日本人観光客の行動は 「うれしい悲鳴」 を通り越し多くの関係者を困惑させている。

 個々の観光客にとっては 「自分のチケットだけを求める 1回限りの行動」 だが、現場関係者らにとっては継続的な悩みとなってしまう。
 ベラージオホテルのチケット予約部門には毎日日本からの国際電話が殺到しているとのこと。本来であれば商売繁盛で喜ばしいところだが、なかなか理解してもらえない英語の対応に現場は四苦八苦しているという。ウェブサイト経由での予約も英語が苦手な日本人には使い勝手が悪いようで問題解決には至っていない。
 また、英会話を避けるためか、ホテルのファックス番号を調べ出しオウの予約注文を勝手に送りつけてくる日本人も多いという。ちなみに原則としてベラージオホテルではファックスでの予約を受け付けていない。
 クレジットカード会社の予約代行サービスなどを利用する者も多いのか、「英語はしゃべれるがオウ自体を知らない代理人からの電話が多く、話が通じなかったりその場で返事をもらえなかったりするので困る」 (現場スタッフ) との不満も聞かれる。毎晩 2回ある開演時間の選択や座席の位置の希望など、電話をしてくる者と発注者が異なるため即答してもらえないというわけだ。

 困っているのはベラージオ側だけではない。入手できないチケットの手配を求められる旅行代理店側もかなり頭を痛めているという。十分な手数料を取れれば良いビジネスにもなるが、額面以上の価格でのチケットの単純転売は法律に触れるとあって (ダフ屋行為は禁じられている)、「単なる転売」 ではなく 「予約代行手数料の上乗せ」 という形での苦しい解釈のビジネスを強いられている。手数料としての常識を超えた利益の上乗せはできず、「同程度の利益であれば入手が簡単な他のショーのチケットを手配したい」 というのがホンネのようだ。

 このラスベガス大全も例外ではない。寄せられる問い合わせで一番多いのがオウのチケットに関する質問で、E-MAIL での問い合わせならまだしも、「オウのチケットをなんとか手配して欲しい」 という突然の電話などは日常業務の妨げになっている。
 ラスベガス大全フォーラムにおいてもオウは常に話題の主役のようで、毎回同じような質問が投稿されている。

 これだけ多方面に影響が出てくると、日本に向けてオウを最初に詳しくレポートした日本語メディアとしてラスベガス大全も無関心ではいられない。事実ラスベガス大全に対しては関係各所から WEBを利用した現状告知や改善策の提案などが求められている。そこで今回ベラージオ側のチケット部門 (写真下) の現場スタッフに意見を求めてインタビューしてみた。

 「名前は出さないでほしい」 という約束で公開してくれた情報によると、ホテル側は劇場の全座席 1800席のうち、平日で 350席前後、週末で 500席前後をハイローラー (高額でプレーするカジノ客) 用に確保しているという。もちろん特等席ばかりだ。

 この数字はラスベガス大全が予想していた数字をかなり上回るものだが、事情を聞くと納得できる数字だ。
 これら座席はベラージオに宿泊しているハイローラーだけが対象となっているわけではなく、近隣の競合ホテルのカジノホストなどからの突然のリクエストにも応じられるように十分な数の席を確保しているという。つまり各ホテル同士がそれぞれのハイローラーのためにサービスを融通し合っているというわけだ。
 これら座席のハイローラー向けの割り当ては原則としてショー開演時間の 1時間ほど前に締切られ、余った座席はキャンセル待ち客にリリースされる。日によっても異なるが、その数は 100席を超えるという。もちろんほとんどゼロに近い場合もあるようだが、いずれにせよキャンセル待ちで確保できる確率は極めて高いと言えそうだ。
 (下の写真はキャンセル待ちの列の先頭にある案内板。ここに並べばよい。何時間前から並べば必ず買えるということは言えないが、2時間前、つまり 7:30pm 公演のショーはその 1時間前の 6:30pm からリリースされるので 5:00pm ごろから並べばかなりの確率で買うことができるだろう。なお、4:30pm よりも以前に並び始めると、あまり早く現場がごった返すのを避けたいためか、現場スタッフが並んでいる客に対して立ち退くよう "強制退去命令" を出してくることがある)

 ハイローラー用に確保する座席の数は今後増える可能性が高いという。それは日本人などに事前に前売券を買い占められてしまうことを防ぐという理由もさることながら、前売に必要な人件費などを削減できるからだ。もちろん当日ハイローラー用に実際にさばく営業パワーが伴わない限りキャンセル待ち用にまわされる座席がどんどん増えてしまうことになるが、それは結果として 「前売券を減らし当日券を増やす」 ことに他ならない。
 チケットを毎回完売できる自信があるショーの場合、当日券に重点を置いた方が管理作業もコストも軽減できるわけで、この方針は理にかなっているといってよいだろう。

 「キャンセル待ちに毎回日本人が長蛇の列を作ることに対して何か問題はないか」 との質問に対しては特にこれといった返事は返ってこなかった。本来であればカジノでプレーしているはずの者がキャンセル待ちの列で時間をつぶすということはホテル側にとって利益にならないため今後新たな問題に発展する可能性はあるが (そのような場合は整理券でも配って対処することになるのではないだろうか)、とりあえず現時点では日本人のキャンセル待ちが問題となっていることはなさそうだ。

 以上のことから、よほど英語に自信がある者以外はキャンセル待ちを利用するのが現時点における 「だれにも迷惑をかけない最善の策」 といってよいのではないだろうか。また、そうした方が結果として良い席が手に入る可能性が高い。
 もしどうしても自分だけ抜け駆けしてでも先に入手したいという者は電話予約もかまわないが、それなりの準備を (少なくとも座席の位置を英語で答えられるように) してから電話をかける配慮が必要だろう。
 そしてなにより最も大切なことは、オウにあまりこだわらないということではないだろうか。他にもたくさんすばらしいショーがあるので 「なにがなんでもオウを観る」 というスタンスでラスベガスに乗り込むことはあまり感心できない。ホテル側がハイローラーに重点を置いていることからもわかる通り、ショーはあくまでもカジノへ客を呼び込むための道具であり、ギャンブルをやらずショーを観ることだけを目的としている人たちに座席を占領されてしまうことをホテル側は望んでいないからだ。
 日本人に対する不必要な偏見やトラブルを避けるためにも、「たまたまオウを観たくなったのでキャンセル待ちに並んでみた!」 程度の気軽な気持ちでこのショーに臨んでいただきたい。なお、このオウに関する詳しい情報は [ナイトショー] セクションを参照のこと。

【注意】
2001 年6月時点においても、ここに記載されている情況に特に大きな変化はありません。
なお、弊社ラスベガス大全では、ダフ屋行為を禁じる法律に接触する可能性があることなどから、ショーチケットの手配代行は行っておりません。また、チケットの入手方法などに関するお問い合わせにも一切応じておりません。電話、ファックス、電子メール、いかなる方法においても、ショーチケットに関するお問い合わせはご遠慮ください。



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