週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年10月20日号
クリントン大統領が立ち寄ったレストラン
 今週は、今ラスベガスで最もホットなレストラン Eiffel Tower Restaurant を紹介してみたい。


 名前の通りこのレストランは開業したばかりのパリスホテルのエッフェル塔内にあり (右の写真の黒い部分) その場所柄、オープン前からかなり話題を集めていたが、10月 1日 あのクリントン大統領が民主党の会合で立ち寄ったことにより注目度は決定的なものとなり、今では “ラスベガスで最も予約が取りにくい超ホットなレストラン” となっている。

 とにかく予約の取りづらさは天下一品だ。カジノゲスト (カジノにとっての重要顧客。いわゆる “ハイローラー” と呼ばれている高額ギャンブラー) 以外は現場へ行っても 「あしたこの番号へ電話して予約しろ」 と言われてしまう。また、その 「現場」 もレストランそのものではなく、「レストランへ通じる専用エレベーターの前」、つまり予約がない者はエレベーターにさえ乗せてもらえないというわけだ。ちなみにそのエレベーターの乗り場はカジノフロアにある。
 予約の電話番号は 702-94-TOWER、つまり 702-948-6937 だ。この番号をゲットしたからといって安心してはいられない。ダイヤルしてもすぐに相手が出てくれるとは限らず、レコーディングの案内が流れているだけで予約できないことが多い (予約受付業務の時間帯がハッキリ定まっていないようだ)。また、運良く相手が出たとしても保留にされたまま長時間待たされたりする。日本からの国際電話では予約だけでかなりの負担となりかねない。
 やっとの事で担当者と話すことができても (もちろん英語。フランス語も OKとか)、まだ安心できない。その日の予約が取れるとは限らないからだ。かなりの席がカジノゲスト用に確保されており、一般客に対する枠は 1時間に数組しかないとのこと。したがって週末などの予約はかなり厳しいと考えた方がよいだろう。

 運良く予約が取れたならば、定刻通り専用エレベーター前に行こう。名前を名乗り予約が入っていることが確認されると、係りの者がエレベーターに案内してくれる。
 なお、服装だが、予約時に確認したところ、「ネクタイ絶対着用」 などの厳しいルールはないものの、できればジャケット程度は着て来て欲しいとのこと。したがって少なくとも男性は襟の付いたシャツ、女性もあまりラフではないそれなりの服装が望ましい。とは言ってもやはりここはラスベガス、かなりラフな身なりの客が少なからずいることもたしかだ。

 エレベーターが目的のフロアに到着しドアが開くと目の前はなんと厨房だ (写真右)。そこでは 10人以上のシェフが忙しそうに働いている。
 ちなみにエレベーターはエッフェル塔の中心部を通っており、厨房はその北東側 (バリーズホテル側) に位置している。また南東側 (パリスホテル側) はトイレなどの施設で、目的のダイニングルームは南西側と北西側に面している。外周は天井から床まで全面ガラス張りで開放感は抜群だ。
 南西側の窓に面したダイニングルームからの景色はパリスホテルの球状の青いネオンサインとモンテカルロホテルがきれいに見える。北西側からの主な景色はベラージオの噴水とシーザーズパレスだ。
 ただ、どちらの方向も窓ガラスの色が濃すぎるため景色は総じて暗い。なぜこれほど濃い色のガラスにしてしまったのか首をかしげたくなるほどだが、日中の強い日差しを避けるためにはやむを得ないということか。ちなみにこのレストランはディナータイムのみ営業しておりランチタイムはやっていない。真夏は夜 8時頃まで明るいのでそのためのダークグラスか。

 照明がテーブルだけを照らすスポット照明になっているためか、ガラス越しの夜景だけでなくダイニングルーム自体もかなり暗い。撮影は困難を極めたが (ストロボを使用してもダイニングルーム全体に光が届かない)、とりあえずダイニングルーム内の写真 (南西側) は ここをクリック
 なお、窓から離れた席ほど床の位置が高くなっており、窓際の席でなくても夜景は十分に楽しめる。
 総じてゴージャスなムードが漂っているが、あえて難を言うならば少々騒がしいということだろうか。満席ということもあり仕方がないと言えばそれまでだが、ゆっくり落ち着いて静かに食事を楽しみたい向きには少々不満が残るレストランかもしれない。

 さて、席に案内されるとまずワインリストとキャビアリストが手渡され飲み物とつまみを聞かれる。ビール党が圧倒的に多いアメリカといえどもやはりフランス料理を意識しているのか、周囲を見渡すとビールを飲んでいる者は非常に少ない。「フレンチレストランでビールを飲むのは常識はずれ」 よりも、「料理がなんであれ、自分が飲みたいものを頼むのが当然」 という考え方が幅をきかせているアメリカだが、ここではアメリカ人もフランス文化に敬意を表しているのか、それともただ単にフランス人気取りで食事を楽しみたいだけなのか、いずれにせよほとんどの客はフランス人ではなくアメリカ人でその大多数はワインを飲んでいる。
 ワインリストに目を通すとその数に驚かされる。料金も $10 のグラスワイン、$39 のボトルワインから、$5,600 のボトル POMEROL まで非常に幅が広い。参考までに主な高額ワインは以下の通り。

種類値段種類値段
 BURGUNDY  (1982) $940  PAUILLAC (1959) $3,200 
 ST. JULIEN (1953) $4,200  GRAVES (1982) $4,800 
 ST. EMILION  (1982) $5,600  POMEROL (1979) $4,900 


 キャビアはスプーンサイズと 1オンスサイズが単位となっており、料金は以下の通り。なお、どのキャビアがよいのかわからない者は、それぞれのキャビアのすべてが 1オンスずつサーブされる “Caviar Sampler”($159) がおすすめだ。ただしひとりでは多すぎるので数人のグループ用と考えた方がよいだろう。

種類Spoon1 ounce
 BELUGA  $16  $72 
 OSETRA  $14  $54 
 SEVUGA  $10  $42 
 AMERICAN STURGEON  $8  $32 


 飲み物とキャビアをオーダーすると次にパンが運ばれてくる。ウエイターが大きな皿にたくさん持って来るので、遠慮せずに好きなパンを適当な数だけもらうとよいだろう。ちなみに取材時に出されたパンは 4種類で (写真は ここをクリック )、すべて試食したがどれもまずまずの味だった。

 さていよいよメニューが手渡されオーダーとなるが、意外とメニューの数は少ない。それでも肉、野菜、シーフードなど、それぞれのメニューがバランスよくそろっているのでとりあえずこれで十分といった感じだ。ちなみにメニューの現物は以下をクリックすると見ることができる。

■ Appetizer / Soup / Salada
■ Meat / Seafood / Fowl
■ Desserts

 ここのレストランに限らず、食事をオーダーする際にデザートを聞かれることはないが、スフレだけは用意するのに時間がかかるとのことで、食事と同時にオーダーするようアドバイスされる。

 食事が済むとデザートメニューが渡されるので、コーヒーなどと一緒にデザートをオーダーする。
 すべてが終了したら担当のウエイターが伝票を持って来るので記載に誤りがないか確認したのちクレジットカードを渡す (原則として日本のように客が伝票をレジに持って行って精算するようなことはない。精算は食事をしたテーブルですべてを済ませる)。クレジットカード処理した伝票を再びウエイターが持って来るので Gratuity または Tip と書かれた欄にチップを記入し、さらに合計金額の欄に合計を記入しサインして席を去る。

 参考までに今回の取材時に試食した主なアイテムは以下の通り。
(照明の関係で写真はかなり暗い)

● Seasonal Oyster, 3 ways
氷の上に殻付きの生ガキが 6個。2個ずつ 3種類の独特のソースがかかっており、名前の通り 3通りの味を楽しむことができる。どれも絶妙な味だが、大きさが小さすぎて食べた気がしないのが難点。

● Terrine of Foie Gras, Marinated Figs
これは絶品。生のフォアグラを使った脂ぎった料理とも異なるし、典型的なペーストタイプのフォアグラとも異なる。独特の香りがあるので好き嫌いがあるかもしれない。

● Truftle Pudding Eiffel Tower
トリフの量はごくわずかなのでトリフそのものの香りを楽しめる料理ではないが、全体として絶妙な味に仕上がっている。

● Lobster Termidore Eiffel Tower
いわゆるロブスターのテルミドールで珍しいものではない。素材が高いためかとにかくおいしく感じてしまう。頭部のミソは捨てられており、その代わりにホウレンソウとシイタケが頭部に詰められている。“エビミソ” を楽しみたい向きには少々期待はずれか。また、値段もメニューに書かれている $34 ではおさまらないので注意が必要だ。「$34」 とは、あくまでも 1ポンド (約 450g)の値段で、この値段におさまることはまずないだろう。ちなみにこの写真のサイズで 2 ポンド分の料金を請求された。

● Braised Ballotine of Boneless Quail en Cocotte
ウズラを丸ごと煮込んだ料理。ウエイターの説明によると、特にフランスから輸入したウズラではないとのこと。味はよほど注意して食べない限りチキンと区別がつかない。味付けは独特だが、日本人の口にはあまり合わないかもしれない。

● Chocolate Souffle
4種類あるスフレのうちのチョコレートバージョン。可もなく不可もない味。やはりデザートは冷たいモノの方がおいしいような気がしないでもないが、それはあくまでも個人の好みか。

● Chocolate Plate Eiffel Tower
6種類のチョコレートが皿に盛られているかわいらしいデザート。周囲のテーブルを見ている限り、最も多くの人が食べていたデザートだ。ただし甘いモノに慣れているアメリカ人といえどもこれを全部食べている者は少なかった。甘さは決して控えめではなく、一般の日本人なら 3人で一皿で十分だろう。

 
 味はともかく、ラスベガスの物価水準からするとかなり高級なレストランといってよいだろう。その分ウエイターなどもしっかりしており、きめ細かいサービスに心がけているようだ。結果としてあれこれ気づかってくれその都度ウエイターがいろいろ話しかけてくることになるが、それが逆に英語に自信のない者にとっては負担となるかもしれない。予約作業も含めてある程度英語力を必要とするレストランのような気がする。
 最後に、【 Eiffel 】 のアメリカでの発音は “アイフェル” で、日本式の “エッフェル” ではまったく通じない。この記事内では話題の対象物の認識において混乱が生じる可能性があったためとりあえず “エッフェル” と表記した。


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