週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年9月15日号
PARIS HOTEL の “LE VILLAGE BUFFET”
 今週は開業直後からいろいろ話題に登っている PARIS ホテルの噂のバフェィ “LE VILLAGE BUFFET” を紹介してみたい。

 「バフェィ」 とは、ラスベガスの主要ホテルのほとんどに存在する食べ放題形式のレストランのことだ。日本語のガイドブックなどではブッフェ、ビュッフェ、バフェなどと表記されているようだが、「バフェィ」 と言わないとなかなか通じない。ましてや 「バイキング」 ではまるでダメだ。

 LE VILLAGE BUFFET は噂通り良くも悪くも他のホテルのそれとは一線を画している。フランス料理への固執からか、最近はどこのバフェィにでもある中華やメキシカン料理がまったく無い。また、他のバフェィと異なり広さが非常に狭い。それでもフランスの街角をモチーフしたインテリアは非常に好評で、広大なバフェィにありがちな殺風景な雰囲気はまったくない。特に人工の青空と石畳の絶妙なコントラストはにくいばかりの演出だ。

 他のバフェィと同様、原則として予約の必要はない。しかし現在は開業直後ということもあり混雑が激しく、ピーク時は入口の前にある受付で入店時刻を指定される。結果として予約制と同じようなことになるが、これは 「その時間が来るまでカジノで遊んでいてください」 ということのようだ。

 指定の時間に再び現場へ行くと、いきなり案内人から 「ボンジュール」 と声をかけられる。このホテルにいると何度も聞かされる言葉だが、突然言われると返事に困ってしまう。フランス語を知らない者にとっては少々面食らう場面だ。
 “禁煙席か喫煙席か” はさすがに英語なので一安心だが、着席した直後に再びフランス語の洪水が目に飛び込んでくる。このバフェィは店内が PROVENCE、BURGUNDY、NORMANDY、BRITTANY、ALSACE の 5つのセクション (地方) に別れており、それぞれが地方色豊かなフランス料理をサーブしているとのことだが (ホテル側の説明)、実際には料理の陳列ブースが形式的に分けられている程度で、これらセクションの存在や違いをハッキリ意識させられるほど明確な区分になっているわけではない。ましてやよほどの食通でない限り、その味で地域差を認識することはむずかしいだろう。

 さて気になるメニューだが、冒頭でも触れた通りフランス料理 (らしき物)一色だ。もちろんパスタ類などイタリア料理風のアイテムや、ステーキなどのアメリカ的なアイテムもいくつかあるが、陳列台に書かれているフランス語による品書きなどを読んでいるとすべてがフランス料理に見えてきてしまうから不思議だ。チキンらしきものは野鳥に見え、貝らしき物はエスカルゴに見えてしまうのは少々行き過ぎか...。
 シーフードは生ガキ、カニ、エビ、スモークドサーモンなどが中心だ。どれもクオリティーは高い。特に生ガキは型は小さいものの、通常見かける品種とは異なり非常にクリーミーでコクがある (こういったアイテムは季節によって変わるので毎回そうとは限らないだろうが)。カニも立派で、最近評判が急低下しているリオスイートのビレッジシーフードバフェィのカニ (たくさん食べられないようにかなり濃い塩水でゆでてある) よりはるかにうまい。

 ちなみに取材試食は朝、昼、晩の 3回行われたが、生カキはランチタイムとディナータイムのみ、カニはディナータイムのみだった。したがって朝食で食べられるシーフードはエビとスモークドサーモンということになるが、なぜかディナータイムでも見かけなかったマグロの刺身 (本マグロではないが) が朝からサーブされていた。
 その他のアイテムにおける時間帯による顕著な違いはデザート類だろう。甘さ控えめの上品なプリン、パイ、タルト、シュークリームなど (日本で言うところのいわゆるショートケーキはなぜかほとんど見かけなかった) が並ぶランチタイムとディナータイムは大差ないが、朝はフルーツ以外ほとんど何もないので甘党にとっては少々寂しいかもしれない。
 なお、目の前で焼いてくれるクレープはなかなかいける (昼と夜のみ)。担当シェフにストロベリーかブルーベリーのどちらかを指定し (両方を選んでもよい) 焼いてもらう。シロップを何にするかも聞かれるが、これは種類が多く名称も複雑なので英語 (フランス語でもよいのか...) が苦手な者は目の前に並んでいるシロップを指でさせばよいだろう。なおこのクレープはかなり大きいので他のデザートをたくさん食べたい者は 2人で半分ずつ食べるようにした方がよいだろう。

 料金は 朝 $10.95、昼 $14.95、夜 $21.95。これはベラージオのバフェィなどと並んでラスベガスで一番高いレベルにある。気になるのは価格に見合うかどうかということだろうが、これは非常にむずかしい。ヨーロッパ風のお洒落な雰囲気の中で食事を楽しみたい者や、「平凡なアメリカ料理に飽きたが、だからといって和食をラスベガスに来てまで食べたくない」 という者にとっては価値あるバフェィかもしれない。一方、和食的なサッパリしたシーフードなどを楽しみたいという者には、その種の料理のアイテム数から考えてベラージオのバフェィの方がおすすめだ。

 最後に、生ガキやカニを食べる際に醤油が欲しくなるものだが、フランス料理への固執からか、残念ながらウェイトレスに頼んでも持ってきてもらえない (他のバフェィでは持ってきてもらえるのが普通)。しかし取材に応じてくれたウエイトレスの話によると、一般のアメリカ人からも醤油のリクエストは非常に多いとのことなので、このバフェィのテーブルに醤油が並ぶ日もそう遠くないかもしれない。


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