週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年7月21日号
“スターそっくりさん人形” の博物館 がオープン
 モンロー、シナトラ、モハメドアリ...。映画スター、歌手、スポーツ選手などの “そっくりさん人形” を一堂に集めた 「ろう人形博物館 Madame Tussaud's Celebrity Encounter」 が 7月 13 日、ベネシアンホテルにオープンした。
 ちなみに今回オープンしたラスベガス館は、ロンドン、アムステルダムに次ぐ 3番目のロケーションで、数年以内にニューヨークにも開館するという。

 さて内容だが、これがとにかくすごい。まさかこれが人形かと目を疑いたくなるような精巧な作りにはただただ驚くばかりだ。どれが本物の人間 (見学者) でどれが人形だかほとんど区別がつかない。
 それもそのはず人形の製作にあたっては、デスマスクなどの古典的手法から 3Dコンピューター解析といったハイテク技術まで、ありとあらゆる手法が取り入れられ、さらに何人もの職人が数ヶ月かけて細部に手を加え完成させたという。身長、胸囲などの寸法はもちろんのこと、肌の色、ホクロやしわの数、ピアスの穴の位置、白髪の本数まですべて本物と同じにしてあるとのこと。そんな人形が 100体以上ディスプレイされているというから驚きだ。

 館内は通路に沿って進みながら見学するようになっており、道順の途中には映画スターセクション、スポーツ選手セクション、ラスベガスゆかりの人物セクション、といったジャンルごとの部屋に別れている。また、それぞれの人形はそのスターゆかりの場面や小道具と一緒にディスプレイされており見ている者を飽きさせない。

 日本人にもなじみのあるスターを一通り紹介しよう。館内に入るとまず料理界の帝王ウォルフガングパックがワインボトルを持った姿で登場する。さらにすぐあとにはオペラのルシアーノパパロッティが陽気に微笑みかけてくる。
 エルトンジョンは実物よりもやや太り気味といった感じだ。アーノルドシュワルツネガーはただただその大きさに驚かされる。

 スポーツセクションへ入るとホリーフィールドとモハメドアリがリング上でにらみ合っている。あまりの完成度の高さにみとれていたため、ホリーフィールドの耳がどうなっていたか取材するのを忘れてしまった。
 男子テニス界からは今をときめくサンプラスではなく、マッケンローが代表として登場していたが、意外なほど小さな身体に驚く。女子の代表ヒンギスは若いせいもあってスポーツ選手としては肌が非常にきれいだが、人形としての完成度はイマイチか。
 筋肉増強剤など常に薬物疑惑がつきまとっていたフローレンスジョイナーは、人形を見る限りそれほど筋肉質ではない。引退後の彼女をモデルにしたのだろうか。
 ゴルフ界の代表はもちろんアーノルドパーマーだが、星条旗の前でただ呆然と立っている姿は少々寂しい。あの独特で豪快なスウィングのポーズで決めてもらいたかった。
 ベーブルースはあまりにも古い人物のため、映像で見る機会も少なく人形が実物と似ているのかどうか判断しかねる。
 フットボールのジョーモンタナはおそらく同博物館全体でも 1-2を争う出来具合といってよいだろう。とにかくよく似ている。もっとも、ベーブルースのように写真解析だけにしか頼ることができない故人よりも、本人の協力を得てカラダの各部分の型を取ったりすることができる実在スターの人形の方が完成度が高くなるのは当然か。

 ミュージシャンセクションへ行くといきなりスティービーワンダーが熱唱しているが、彼が弾いているヤマハのキーボードのロゴの方が彼以上に目立っているのはいただけない。マイケルジャクソンはこんなものかといった感じだ。
 ミュージシャンセクションを出ると単独の個室になっており、そこではマイクを手にしたシナトラが観客に向かって何かを語りかけている。40代頃の姿なのか、晩年のふくよかなシナトラとはほど遠いイメージだ。当時を知るオールドファンにとってはこれでよいのかもしれないが、若い世代にとっては少々物足りないだろう。彼のように長期に渡って活躍していたスターは若い頃と晩年の両方の人形を展示した方がよいのではないか。

 アメリカを代表する永遠の美女マリリンモンローはなぜか映画や写真で見るより可愛くない。これが実物に限りなく近いとなると少々ガッカリだ。
 ライザミネリ、サミーデービス Jr. らはもともと顔が特徴的なため、だれが作ってもそこそこの出来の人形ができそうだ。
 地元現役スターのシークフリート&ロイ、ランスバートンらも総じてよくできている。ただ、ホワイトタイガーにまたがったロイの展示位置はもっと低くすべきだろう。天井付近では高すぎてよく見えない。

 最後を飾るのは映画界の女王エリザベステーラーと “King of Las Vegas” ことエルビスプレスリーだ。熟年エリザベステーラーの美しさは絶賛もので、若きモンローも足元にも及ばないといった感じだ。年老いてもなおロマンスゴシップが絶えない彼女の貫禄がこの人形からうかがえる。
 エリザベステーラーとは対照的にエルビスの人形はいただけない。にやけた顔でファンにサインをしている姿だが、キングにふさわしい鋭く険しい表情で熱唱している姿にして欲しかった。ちなみに現場スタッフの話によると、まだ博物館自体が未完成のため、今後エルビスのセクションなどにさらなる改良を加える計画があるとか。

 開演時間は週7日 10am 〜 10pm となっており、不夜城ラスベガスとしては夜が早い。入館料は一般 $12.50 (4〜12才未満 $10、3才以下は無料) と、無料アトラクションがひしめくラスベガスにしては決して安くはない。それでも人形の完成度などを考えるとこの値段は妥当といってよいのではないか。
 まだ開業直後ということで存在そのものを知らない人が多いのか、それとも料金が高すぎるためか、今ならかなりすいており、人形一体一体にさわることができるし一緒に記念撮影をすることも可能だ。夏休みにラスベガス旅行を計画している者はぜひ訪れてみるとよいだろう。


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