週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年4月21日号
グルメレストランの宝庫 マンダレイベイ
 今マンダレイベイホテルのレストランがおもしろい。
 4月 10日、ついにあの名シェフ Wolfgang Puck の店 “Trattoria del Lupo” がオープンし、“グルメの殿堂” を目指す同ホテルのレストランがすべて出そろった。

 シーザーズパレス、ミラージ、ベラージオ、MGMなどにも著名レストランが軒を並べているが、なんといってもマンダレイベイのレストランはどれも型にハマっていない奇想天外な店ばかりで話題も内容も他のホテルを圧倒している。
 “サーフィンもできる砂浜付きプール” ばかりが有名な同ホテルだが、どうやら食のスポットとしても注目を集めそうだ。

 まずこのホテルのレストランの特徴は、ホテル自体が 「東南アジアの楽園」 をテーマにしているためかアジア系の料理に強いということだ。さらにどの店も、アジア系に限らずそれぞれのジャンルの料理を独創的に発展させたメニューを持っている。
 またインテリアも非常に凝っており見ているだけで飽きない。レストランが並ぶ一帯がカジノとアリーナに隣接する巨大空間となっているためか、どの店もその豊富なスペースを生かした斬新なインテリアを売り物にしている。さらに建物の構造上、天井が非常に高くなっており、それが独特なデコレーションや開放感を創出するのに一役買っている。

 さて気になる個別の店だが、おすすめレストランの筆頭はやはり China Grill's Cafe だろう。とりわけ日本人にとっては要チェックの店だ。
 この店はニューヨークやビバリーヒルズで成功をおさめた China Grill のカジュアル版だが、とにかくインテリアもメニューも非常に奇抜だ。なにもかもがコンテンポラリー調のインテリアの中に、ごく普通のテーブル席、ブース席、モダンでカラフルな背の高いテーブル席、ピクニックテーブルと呼ばれる背の低い横長のテーブル席、カウンター席 (写真右) などがものの見事に配置され、頭上にある照明もそれぞれのテーブルにマッチした独特なものとなっている。
 店の名前からは中華料理を連想するが、実際は和食を中華風の味付けにしてさらにカリフォルニアンニュースタイル調に盛りつけたような変則的なメニューが多い。食器も独特でカラフルな三角形の皿や、竹をイメージしたビールグラスなど、ビジュアルな部分へのこだわりも忘れていない。
 味も日本人や中国人にはもちろんのこと、アメリカ人の口にも合うメニューが多いのか、いつも大勢の客でにぎわっている。ちなみに突出して有名なメニューとして、細かく刻んだイカフライと生野菜を絶妙にアレンジした “China Grill's Famous Calamari Salada”($10.95) というものがあるが、これはだれもがオーダーするこの店の超人気定番メニューとなっている (量が多いので注意)。
 なお、この店のすぐとなりには “兄貴分” の China Grill があるが、こちらはややフォーマルな中華料理レストランでインテリアも総じておとなしい。それでもメニューはひとひねり加えたものが多く、一般の中華料理店ではお目にかかれないものばかりだ。現在この China Grill のメニューは暫定版で近日中に本番バージョンが確定するとのこと。

 冒頭でふれた Trattoria del Lupo は、ハリウッドスター御用達のレストランとして世界的に名高い SPAGO のオーナー Wolfgang Puck 監修の店だ。その知名度から早くも連日満員御礼となっており人気の高さがうかがえる。
 高い天井を生かした斬新なデザインのダイニングルームもすばらしいが、歩道沿いにあるヨーロッパの街角を思わせるようなテラス席も捨てがたい。
 料理のジャンルとしては Tuscan料理とのことで、ピザやパスタ類などイタリアン系が中心だが、どれも Wolfgang Puck 氏独自のアレンジがなされた一風変わったものばかりで、一般のイタリア料理店とはひと味もふた味も違った料理を出している。

 その Trattoria del Lupo の向かい側には赤の広場こと Red Square がある。名前から想像つく通りロシアをテーマにしたレストランで、店内は非常に薄暗くなにやら陰気で物騒な雰囲気すら漂っている。
 この店の話題はバーカウンターのテーブルトップが氷でできていることだろう。そこにグラスを置けばよく冷えるというわけだ。キャビアをつまみながらウォッカを飲むことがこの店の 「正しい利用方法」 のようだが、ごく一般的なステーキなどのメニューもそれなりに充実しており食事をする場所としても申し分ない。ちなみに各種キャビアは 1オンス(約 28グラム) 低級品で $26、最高級品で $96 となっている。
 さて、この店では開業直後ちょっとしたハプニングがあった。3月初旬の開業時、この店の前には高さ 5メートルほどのレーニン像が立っていたが、共産主義を回顧するとのことで市民や観光客から激しい抗議を受け、結局その首を切り落とさざるを得ないことになり、今では “首無しレーニン像” が店の前に立っている (写真)。

  Shanghai Lilly は正統派中華料理レストランだ。外からは見えないがこの店の中にはレーニン像に負けず劣らず立派な仏像が立っている。高い天井から吊り下がった東洋美あふれる独特なデコレーションとその仏像が作り出すなんともいえぬ雰囲気の中には荘厳さと遊び心が漂っている。なお窓際の席からは同ホテルの中庭が見える。

 カジノ内にはカジュアル中華のカフェテリア The Noodle Shop がある。ミラージホテル内にも同様な店 (Noodle Kitchen) があるが、こちらの方が目立つ場所にあるためかいつも活気があり賑わっている。
 メニューの中心は麺類とおかゆで、高級なアイテムは何ひとつないが、ギャンブルに疲れた際の夜食など、軽くラーメンを一杯食べる感覚で利用するにはちょうどよい。いつも混んでおり入店で待たされるのが欠点だが、だからといって予約していくほどのかしこまった店ではない。

 AUREOLE も話題には事欠かない。インテリアは近代的なホワイトを基調としており、さわやかで非常にすがすがしい。それでいてどことなく地下の密室にいるかのような不思議な雰囲気に包まれている。
 この店の特徴はなんといっても世界初の “ロッククライミング型ワインセラー” だろう。遊び心もここまで来ると立派だが、とにかく世にも不思議なワイン貯蔵庫が店の真ん中にドーンとそびえている。その高さやワインを店員がどうやって取りに行くかは見てのお楽しみということで、話題をメニューに移すと、基本的にはステーキなどを中心とした一般の洋食だ。それでもオイスター、ロブスター、ツナ、サーモンなどを使ったシーフードメニューも豊富で日本人ウケするメニューが少なくない。店の格としては本格派一流レストランの部類に入るが、日本人にとっては食事を楽しむ場所というよりも、シーフードを肴に話題のワインセラーを眺めながら一杯飲みにいくつもりで行った方が楽しめるかもしれない。

 Bay Side Buffet も悪くない。名前から想像がつく通り南国の浜辺をイメージしたすがすがしいバフェィだ。店内のいたる所に熱帯植物が生い茂っており (ほとんどは造花だが...)、イスなども竹細工をイメージしたデザインになっている。全体としては広すぎず狭すぎずちょうどよい広さで心地よい。メニュー的にも、高価なシーフードではベラージオに負けるものの、中華料理やのり巻きなどもあり標準を上回る内容だ。

 その他、カリビアンカジュアルとミュージックホールがドッキングしたナイトクラブ型ラウンジ Rumjungle はいつも熱気と活気で満ちあふれている。
 また、カジノフロアにある寿司屋 Coral Sushi Bar も値段の高さが少々気になるものの味はかなりまともだ。

 ラスベガス滞在期間中は宿泊ホテルのバフェィばかりに頼りがちだが、ここに列挙したようなユニークなレストランを訪れてみるのも楽しいだろう。マンダレイベイは波が出るプールばかりが有名だが、そのプールは宿泊者以外見ることができない。このホテルは食のスポットとして訪問するのが賢い利用法のような気がする。



バックナンバーリストへもどる