週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年1月13日号
VENETIAN、二期工事は絶望的
 “客室数 6,000部屋、世界最大のホテル” を目指して現在建設が進められている VENETIAN ホテルだが、どうやら世界一になることはなさそうだ。
 一期工事分の 3,000部屋はこの 4月にオープンする予定だが、諸般の事情でその後の二期工事分 3,000部屋の建設のメドがまったく立っていないからだ。
 
 現在 VENETIAN が置かれている立場は非常に厳しい。まず、年末に起きた工事現場での資材落下による死亡事故や労使問題などさまざまな不運が重なり工事そのものがかなり遅れている。
 開業が 1日遅れると毎日 30万ドルの損害が出るとのことだが、高層階の内装工事が4月 13日の開業予定日までに間に合いそうもないという。損害を最小限にくい止めるために下層階だけの部分開業も検討しているというが、仮に予定通り完全オープンにこぎつけることができたとしても前途多難と見るアナリストが少なくない。
 
 VENETIAN のオーナー Sheldon Adelson 氏は、ラスベガス最大のコンベンションとして知られる COMDEX の元オーナーで、95年にその COMDEX を日本のソフトバンク社に約 8億ドルで売却した際に得た資金で VENETIAN を建設しているといわれている。しかしすでに当初の予算をオーバーしており、その資金はとっくに底をついているというのがもっぱらの噂だ。
 元 COMDEX のオーナーということもあり、Adelson 氏はこの VENETIAN をコンベンション族に的を絞った戦略で建設しているといわれているが、それがまた裏目に出ているようだ。
 すでに Adelson 氏は隣接するサンズコンベンションセンターの拡張工事やコンファレンスセンターの建設などに多額の投資をしている。ラスベガスでは年間を通じて大小さまざまなコンベンションが行われているので、その分野をねらった Adelson 氏の戦略は決して間違っているとはいえないだろう。しかし最近になって MGM もコンファレンスセンターを建設するなど、コンベンション市場の競争もにわかに激しさを増してきている。
 さらに最近の各種統計データによると、コンベンション族の宿泊客は一般観光客に比べカジノ滞在時間が短く、またカジノでの予算も少ないということがわかり始めてきており、投資家などの間での VENETIAN に対する評価は下がる一方だ。その結果、資金調達的にも VENETIAN を取り巻く環境は厳しさを増してきている。
 
 急きょ経営方針を転換しターゲットをコンベンション族から観光客に切り替えることも可能だろうが、その観光客市場も Mandalay Bay や Paris の開業を控えており激戦が予想されている。ちなみに現在建設中の各ホテルがすべてオープンすると、ラスベガス全体の客室数は 11万室を超えることになり、これに関しては多くのアナリストが供給過剰であると警鐘を鳴らしている。
 さらに悪いことにこの VENETIAN は全室スイートルームという豪華設計になっているため近隣のホテルに比べランニングコストが高く、またコンベンション族への依存度が高いそのカジノは収益性が低く、ライバルホテルの約 2倍という料金設定で年平均 90% 以上の客室稼働率を維持していかなければ採算が取れないといわれている。
 
 開業を直前に控えて暗い話ばかりの VENETIAN だが、この前途多難の局面をどう乗り超えていくのか経営者の手腕が大いに注目されるところである。
 いずれにせよ、業界全体を取り巻く環境からも、また VENETIAN 自身の資金事情からも 二期工事の 3,000部屋はほぼ絶望的と考えて間違いなさそうだ。


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