週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1999年1月6日号
翌年に課題を残したカウントダウン
 “年に一度のストリップの歩行者天国” こと、ラスベガスにおける大晦日のカウントダウンは、年々その知名度を上げているが、群集心理による暴動、略奪、喧嘩、破壊行為、転倒による圧死のリスクなども年々急上昇しており、単なるお祭り騒ぎでは済まされない状況に達している。
 
 特に今回のカウントダウンは大混雑が予想される 2000年のカウントダウン時のリスクを予想する上で非常に重要な意味を持っていたが、結果は残念ながら 「すでに大変危険な状態」 というのが地元警察など関係者の一致した見方だ。
 
 ラスベガスのカウントダウンスポットは大きくわけてダウンタウンのフリーモントストリートとフォーコーナーを中心とするストリップ地区の 2つの “会場” に分けられるが、危険度が年々増し今回問題となっているのはストリップ会場の方だ。
 ダウンタウン会場 (写真上) は今回も前年同様、フリーモントストリートへ進入するためには $10 を払わなければならないという有料制を採用したため、人の流入を主催者や警察が比較的簡単にコントロールできたばかりか、必然的に低所得者層が閉め出され、騒動に発展する要因を事前に押さえ込むことができた。
 一方、だれもが自由に進入できるストリップ会場 (写真下。この写真は非常にすいている場所で撮影。混んでいる場所では圧死の危険があるほどで撮影は到底不可能) は数十万人の群衆であふれ、2000年を待つことなくすでに一触即発の危険水域に達していた。
 
 街全体のイメージダウンを恐れてか、華やかな話題以外はあまり報道されなかったが、実際には大小さまざまなトラブルが多数発生していた。
 くわえタバコやビール片手に歩行している者が非常に多く、身動きがとれないほど混雑している場所ではタバコの火で服が焦がされた、ビールを浴びてしまった、足を踏まれケガをした、といったトラブルは当たり前のように多発しており、また地元メディアによると、一時的に圧死のリスクが発生したスポットも少なからずあったという。
 
 今回ラスベガス警察は緊急車輌のアクセスを容易にするため歩行者天国となったストリップの中央分離帯よりの 1車線を進入禁止とし、そこにパトカーを配備するなど厳重な警備体制をしいたが、それでも以下のようなトラブルが多発したのが現実である。
 
  • 各ホテル前に飾られている石像などに対する破壊行為 (シーザーズパレスなど)
  • 各ホテル前の植え込みなどに対する破壊行為 (ミラージなど)
  • 自動販売機などに対する破壊行為 (各ギフトショップ前など)
  • 新聞、雑誌、チラシなどを燃やす発火行為 (ほぼ全域で)
  • 駐車している車両を横転させる (モンテカルロ付近など)
  • 信号機や道路標識によじ登る (ほぼ全域で)
  • 落書き (ほぼ全域で)
  • ホテル施設 (噴水など) への空き缶などの投げ込み (ほぼ全域)
  • 池への飛び込み (シーザーズパレスなど)
 ちなみにあまりのトラブルの多さにラスベガス警察は午後 11 時過ぎ、歩行者天国内の人口密度を下げるための “ガス抜き” として歩行者天国の北側の境界をスターダストホテル前からサハラホテル前まで拡大したが、群衆の多くはフォーコーナー周辺に向かうばかりでガス抜き作戦もほとんど効果がなかった。
 
 頭を痛めたのは警察ばかりではない。群衆であふれるストリップに面したカジノを持つフラミンゴヒルトン、ハラス、バーバリーコーストなどではカジノ内が日本の通勤電車並みの混雑となり、カジノチップの集団強奪など群集心理による暴動に神経をとがらせていた。幸いそのようなトラブルはなかったようだが、ミラージなど、カジノが歩行者天国から比較的離れているホテルでさえ、一時的にカジノへ通じる通路前に警備員を立たせるなどして群衆の進入を制限したほどだ。
 
 一方、ボーイフレンドに肩車された若い女性が自ら衣服を脱ぎトップレスを群衆に披露したり、エルビスプレスリーにふんした男性が緊急車両用にあけてある進入禁止の車線に入り踊るなど、お祭り気分でハメを外した楽しい光景も多数見られた。残念ながらトップレス女性もエルビスプレスリーも警察に取り押さえられたが、この時ばかりは群衆から警察にブーイングの声がわき起こったことは言うまでもない。
 
 今回のストリップ会場の人出をラスベガス警察は 25万人から 40万人 (カジノとの境目があいまいだったりするため路上の人出を正確に把握することは不可能とのこと) と発表しているが、2000年を迎える次回はその倍以上になると予想されており (ホテルが確保できないため観光客の増加は少ないが、地元民や徹夜覚悟でロスアンゼルス地区からやって来る流入者などが激増するものと予想されている)、関係者は今回と同じ警備体制では安全を確保することが物理的に不可能だろう考えている。有料か無料かは別にして次回はおそらくなんらかの流入規制がしかれることは間違いなさそうだ。


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