週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1998年10月28日号
Bellagio で “O” が始まる
 ホテルそのものの開業から遅れること 1週間、先週ついに噂のナイトショー “O” が Bellagio ホテルで始まった。
(読み方は “ゼロ” ではなく “オウ” で、フランス語の水を意味する "eau" にちなんでいる)

 内容は前評判通りすばらしく、これまでに類を見ないまったく独創的なショーだ。
 どれほどすばらしいショーであるかをここで説明したいところだが、残念ながらあまりにも独創的すぎ、このショーの内容をうまく表現する言葉が見当たらない。したがってここではとりあえず客観情報だけをお伝えすることとしたい。

 パリのオペラハウスをイメージしたという 1800人収容の専用会場は、これまでのラスベガスのスタンダードをはるかに超える非常にゴージャスな会場だ。
 またこの会場は雰囲気だけでなく機能的にもすばらしい。シートの横の配置が直線的ではなく、全席がステージに対して真っ直ぐ向くよう弧を描くように配置されているため、中心からかなり外れた壁際のシートでも正面にステージを見ることができまったくポジションの悪さを感じさせない。
 また床の傾斜がきついため、前にどんなに大きな人が座っても視界が妨げられることがなく、かなり後ろの席でもステージがよく見える。むしろあまりステージに近い席は避けた方がよいかもしれない。床の傾斜の関係でステージに近い席ほどステージとの高低差が少なく、ステージ表面でのパフォーマンスがよく見えないからだ。前から 10列目以降をおすすめしたい (現場でチケットを買う際は座席を指定することができるが、電話での購入の際は座席配置表を見ることができないので英語が苦手な者にとってはむずかしいかもしれない)。
 なお、「バルコニー席」 と呼ばれる 2階席はステージから遠すぎるため避けた方がよいだろう。ちなみに バルコニー席は $90、1階席は $100 となっている。( 1階席にも横の通路を挟んでステージ側の 「メインフロア」 と後方側の 「アッパーレベル」 があるが料金はどちらも同じ $100)

 ショーの内容は、トレジャーアイランドの MYSTERE を演じる Cirque du Soleil が演じているためか、どことなくその MYSTERE と似た前衛的で神秘的な雰囲気が漂っている。それでもこの “O” は舞台がまるで違うため、MYSTERE とはまったく別のショーと言ってよいだろう。
 世界初といわれる “プールステージ”は、舞台全体が巨大なプールになっており、始めから終わりまですべての演出はその水上 (空中も含む) もしくは水中で行われる。
 リビエラホテルの看板ショー SPLASH も水を使うことで有名だが、あちらは大きな水槽をステージの上に持ってきての水中演技だが、こちらは舞台そのものがプールとなっておりコンセプトもスケールも根本的に異なる。つまり SPLASH の場合は水槽の中での演出を水槽の横からガラス越しに見るカタチとなるが、“O” の場合はステージが水面となっているため、上方から水面を見ることになる。

 このショーの最大の特徴はやはりその舞台設備、特にそのプールの底をたえず上下させ水深を変える画期的な技術だろう。役者が空中ブランコからダイブする際は底を下げ水深を深くし、水上でダンスを踊ったりする際は底を上げ水深を浅くする。(水面の絶対的な位置はほぼ一定している)。
 また底を水面よりも高く持ち上げ通常の舞台のように使うこともできる。もちろんその場合の舞台は濡れているわけだが、表面が特殊な材質になっているのかアクロバットを演じている役者が滑ったりするようなことはない。
 舞台の表面 (水面下にある場合はプールの底) に小さな穴が無数にあいていると思われるが、とにかく水の抵抗をまったく感じさせないほど瞬間的に水深を変えるそのハイテク技術は非常に興味深いところだ。

 役者のパフォーマンスは空中ブランコ、アクロバット、シンクロナイズドスイミングなどが中心だが、他の一般のショーでも観られるその種のものとはわけが違う。目がいくつあっても足りないほど複雑で多彩な演技を披露してくれる。またマジックでもないのに 「どうしてだろう」 と思わせる不思議な場面にもたびたび遭遇する。
 あと忘れてはならないのが、非常に危険な技を演じているということだ。幻想的な演出の陰に隠れがちだが、一歩間違えば死に至るような荒技が多数織り込まれている。空中ブランコから飛び込む際など、水深を調節する者と (コンピューターによる全自動管理かもしれないが) 役者のタイミングがずれたらそれこそ大惨事だ。また水中衝突を心配するような場面もしばしば見られた。
 とにかく芸術性においても難易度的にも他のショーとはまったく比較にならないほどこのショーのパフォーマンスはすばらしい。

 なおトークの部分は一切ない。これは英語が苦手な日本人もアメリカ人と対等にショーを楽しむことができるという意味で大いに歓迎すべきことだろう。マジック系以外で英語力を必要としないショーはこの“O”と MYSTERE をおいて他にないだろう。

 料金は前述の通り 1階席 $100、バルコニー席 $90 となっている。他のショーに比べ著しく高いが (ドリンクも含まれていない)、このショーを観て 「値段に見合わない」 と不満を感じる者は少ないのではないか。それほど独創性、芸術性、舞台設備など、すべてにおいてレベルが高いということだ。

 上演は水曜日と木曜日を除く毎日 7:30pm と 11:00pm の2回。チケットは劇場近くのカジノフロアにあるチケット売場で買うことができる。なお販売は 7日前からだが、同ホテルおよび系列の Mirage、Treasure Island、Golden Nugget の宿泊者は 90日前から購入可能。電話による事前購入はクレジットカード決済のみ。また電話による事前購入者がチケットの現物を受け取りに行く際はチケット売場の 【 WILL CALL 】 と書かれた窓口へ並ぶ。当日券を新規で購入する者は 【 TICKET SALES】 と書かれた窓口へ並ぶ。お問い合わせは、702-693-7722 まで。


バックナンバーリストへもどる