週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1998年9月16日号
地元民はカジノがお好き?!
 「ラスベガスに住んでいる人はギャンブルをやるのか?」
 これは日本からラスベガスを訪れる多くの人たちから受ける質問だ。

 じつはラスベガスに住む大多数の者が多かれ少なかれギャンブルをたしなんでいる。いや 「たしなむ」 などという言葉では済まされないほど熱狂的なギャンブラーが多く、ほとんど中毒症状に近い者も少なくない。もはや老若男女 「市民総ギャンブラー」 といっても過言ではないだろう。

 この実体を知らされた日本人の多くは 「まさか」と思い、「やっぱり」 と思う者は非常に少ないようだ。「まさか」 と思う者は日本のパチンコを考えるとよいだろう。ラスベガス市民はまさに日本人が近所のパチンコ屋へ出かける感覚で毎日のようにカジノへ足を運んでいるのである。

 統計によるとラスベガスのカジノの売り上げの 3分の 1 は地元民、3分の1 が車で 4〜5時間で来ることができる南カリフォルニア (ロスアンゼルス、サンディエゴ地区) からの来訪者、そして残りの 3分の 1 がニューヨークやシカゴなどの全米各地および世界各国から航空機を使ってやって来る観光客によって支えられている。

 この実体は多くの日本人にとってにわかに信じがたいことのようだが、人口比などで考えれば妥当な数字であることが容易にわかるはずである。
 ラスベガスに住む平均的ギャンブラーが週に 1回、つまり年に約 50回 カジノへ足を運ぶと仮定する。同様に南カリフォルニアに住むギャンブラーが年に 2〜3回、アメリカの他州に住むギャンブラーが数年に 1回、先進諸国 (ラスベガスへの海外旅行が可能な国) に住むギャンブラーが一生に数回ラスベガスへ足を運ぶと仮定し、ラスベガスの人口が 100万人、南カリフォルニアがその 20倍の 2000万人、全米他州がさらにその 10倍の 2億人、先進諸国がその数倍の 10億弱と考えると前述の統計値が極めて妥当であることがよくわかるはずである。
 もちろん 1回の訪問当たりのギャンブル予算は地元民より遠方からの来訪者の方が多いと予想されるが、とにかく地元住民がラスベガスのカジノ産業の 3分の1を支えていることは疑いのない事実なのである。
 それでも一般の日本人観光客などにとってこの数字はまだまだ信じがたいことだろう。その最大の理由は地元民ギャンブラーの存在が日本人の視界に入っていないからである。

 実は地元民ギャンブラーはストリップの主要ホテルへは行かない。ローカルカジノなどと呼ばれる “地元民用のカジノ” へ行くのである。理由は大きくわけて3つあるようだ。
 第一は駐車場からカジノまでの距離や自分の家からカジノまでの距離などアクセスに関する理由。そして次がバフェや託児所それに小切手換金 (後述)、コンプなど各種サービスの違い。そして最後の理由がスロットマシンの払い戻し率などに関するやや迷信に近い (中には真実もあるが...) 思いこみだ。

 さて、そこで日本人の誰もが考えることが 「ストリップ地区やダウンタウン地区以外の場所に地元民用のカジノなんてそんなに多くあるんかいな?」 ということだろう。
 実はこれがすごいのである。ホテルの客室数こそ遠く及ばないが、カジノフロアの広さなどではストリップの大型ホテルに何ら見劣りのしない大型ローカルカジノがラスベガス市内の至る所にゴロゴロ存在しているのである。
 Sams Town、Sunset Station、Boulder Station、Reserve、Showboat、Orleans、Fiesta、Santafe、Gold Coast など数えればきりがない。実はあの Rio Suiteも売り上げの半分は地元民に頼っている。

 これらのホテルがいかに地元民を対象にしているかは地元のテレビ番組などを見ればすぐにわかるだろう。ストリップ地区のホテルはほとんど地元ではテレビ宣伝をやっていないが、ローカルカジノは地元での宣伝に力を入れており各カジノの宣伝合戦は半端ではない。
 また、各カジノでは日本でいうところの 「手形割引」 ならぬ 「小切手割引」 合戦も激しい。アメリカ人は給料を雇用主から銀行振込ではなく小切手で受け取ることが多いが、その小切手をローカルカジノでは即金で換金してくれる。それもラスベガス以外の都市における換金業者では 2〜3%の手数料を取られることが普通だが、ラスベガスのローカルカジノでは手数料など取らないばかりか (つまり額面通りの現金に換金してくれる)、それどころかバフェなどの食事券や各種商品などオマケまで付けてくれるところが少なくない。
 こうなるともはや銀行に小切手を入金することなどバカバカしくなるようで、事実地元民の多くは 「銀行に入金して ATMで引き出すと $1 か $2 の手数料を取られる。だったらカジノで換金した方が得」 とまで言い切っている。こうして多くの地元民は給料日にカジノへ足を運ぶことになり、益々ギャンブルにハマっていくのである。

 つい先日発表されたネバダ州当局の統計によると、ストリップ地区の大型ホテルのカジノ収入が伸び悩んでいる中、ローカルカジノではそれが大きく伸びているという。
 理由は簡単だ。ラスベガスの人口が急増しているからだ。ストリップ地区に大型ホテルが開業するたびに 5000人以上の新たな直接雇用が発生し、さらにその数倍の間接雇用が創造され (他州からラスベガスに流入する新規住民が増えればそれに付随して住宅産業はもちろんのこと、家具、食品、自動車などの流通業も当然のことながら拡大し雇用がさらに増える)、そうした New Comer と呼ばれる新規住民たちがまた新たなローカルカジノの 「お得意さん」 となっていくのである。もちろんローカルカジノ間での競争も激しさを増しており、経営難に追い込まれるカジノも少なくないが、全体のパイは確実に広がっている。
 来月ストリップに Bellagio、来春には Mandalay Bay、Paris、Ventian とストリップ地区に大型ホテルが次々とオープンするが、結果的にローカルカジノも今後さらに増殖を続けていくことだろう。

 ローカルカジノの特長:

  •  ストリップから数マイル離れている。
  •  ホテルとしての客室数は非常に少ないが、カジノはストリップ地区の大型ホテルに匹敵するほど広い。
  •  テーブルゲームに比べビデオポーカーやスロットマシンの比率が相対的に高い(地元民はなぜかビデオポーカーやスロットを好む)。
  •  バフェが内容のわりに非常に安い。
  •  ゼロ才児から預かってもらえる託児所がある。
  •  ボウリング場や映画館が併設されている。
  •  ビンゴがある。
  •  立体駐車場に比べ平面駐車場が相対的に広い。



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