週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1998年6月24日号
記念カジノチップが大流行の兆し!
 6月 19日 と 6月 21日、エクスカリバーホテルとモンテカルロホテルがそれぞれ開業 8周年、開業 2周年を迎えたが、それに先立ち発行されていた "アニバーサリー記念 $5 カジノチップ" ( 「写真集」 セクションに拡大写真あり) なるものが関係者の間でちょっとした話題となっている。
 
 この種の記念カジノチップはこれまでにも多くのカジノホテルが発行してきており、なにも両ホテルが初めてというわけではないが、めでたい " 1周年" やキリのいい "10周年" 、 "20周年" などではなく、大した意味もない "2周年" や "8周年" といった程度の理由で記念カジノチップが乱発される傾向が出てきていることに対して関係者は大いに注目している。
 
 そもそも記念カジノチップはホテル側にとってかなりウマ味があるらしい。カジノのキャッシャーで換金されずに観光客がそのまま記念品として持ち帰ってしまうケースがあとを絶たないからだ。観光客の自宅のタンスに退蔵されるということは、ホテル側にしてみれば 「通貨を勝手に発行している」 ようなもので、こんなうまい話はない。もちろんネバダ州政府当局からカジノチップの発行残高に応じた現金の準備金などが義務づけられていることは言うまでもなく、記念カジノチップを無制限に発行できるというわけではないが、それでもキャッシュフロー的に見てそれらチップが個人の家に退蔵されればホテル側に絶大なるメリットがあることは明らかだ。
 
 毎年記念日のたびにデザインを工夫するなりしてシリーズ化すればマニアのみならず一般観光客の間でも "記念カジノチップ収集ブーム" なるものが巻き起こる可能性は十分あり、また、発行枚数を少なくしたりすればプレミアムが付き高値で売買されるようになることも考えられる。まさに様相は腕時計の Gショックやぬいぐるみの Beanie Baby といった感じだが、今回の両ホテルが採った戦略があまりにも対照的なところが興味深い。
 
 エクスカリバーは膨大な数の "8周年記念チップ" を発行し、それを通常の $5 チップ以上にカジノ内に流通させている。一方、モンテカルロはその "2周年記念チップ" の発行枚数を 1200枚に限定し、カジノ内には 1枚も流通させていない。手にすることができるのはハイローラーなど限られた者だけだ。当然のことながらプレミアムが付き、すでにマニアの間では高値で取り引きされているとのこと。この両ホテルの戦略の違いを関係者は 次のように分析している。
 「どんなにプレミアムが付き高値で取引されようとも、発行元のモンテカルロは額面の $5 を超えて発行するわけにはいかない。結局 1200枚で $6000 にしかならず、これではモンテカルロにとって何のメリットもない。一方、エクスカリバーは数十万枚発行していると思われるが、このままでは記念チップに対するありがたみも認知度も上がらない。モンテカルロが記念チップの希少性やありがたみを広く一般に認知させ、結果としてエクスカリバーの記念チップが 1枚でも多く家庭に退蔵されればそれでよいのではないか。そういう意味で今回の両ホテルの戦略はあまりにもうまく出来すぎている」
 
 ちなみにモンテカルロは、エクスカリバーを所有するサーカスサーカス社が半分出資しているホテルだ。やはり今回の記念カジノチップは周到な計画の元に仕込まれた戦略なのだろうか。いずれにせよホテルにとっては錬金術のような記念カジノチップの発行が今後ブームとなることだけは間違いなさそうである。


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