週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1998年3月4日号
STAR TREKに当局から改善命令
 今年1月にオープンしたばかりのヒルトンホテルの話題のアトラクション “STAR TREK” に対して、さる2月 23日、ネバダ州当局から厳重警告と改善命令が出され、ヒルトン側は急きょ対応策をせまられるという思わぬハプニングが発生している。
 
 当局が問題としている部分は、チケット購入窓口およびアトラクション会場に通じる入口がカジノ内にあるという点で、現在の STAR TREK のレイアウトは未成年者にギャンブルの機会を与えることを禁じたネバダ州の法律に接触しているという。
 
 その警告によると、チケット購入や入場を待つ列の中に子供が多数いるにもかかわらず、その列の両側にスロットマシンが並んでいることは教育上問題があるばかりか、子供が見ている前で平気でギャンブルに興じる親があとを絶たずそれをこのまま見過ごすわけにはいかないとのこと。中には子供にコインを投入させたりボタンを押させたりしている親も少なくないという。
 さらに、具体的な指摘はしていないものの、当局側はそのスロットマシンが UFOをテーマにしたものになっているなど(写真右)、意図的に子供受けをねらっている部分がある点なども問題視しているようだ。
 
 今回の警告に対するヒルトン側の対応だが、たしかに当局が指摘するまでもなく STAR TREK のチケット売場や入口がカジノ内にあることは動かし難い事実で、この事実関係に対してヒルトン側はとりあえず争う気を示していない。
 しかし今回の指摘はカジノ産業の根幹にかかわる重要な意味も含んでおり、ヒルトン側もこのまま引き下がるわけにはいかず、慎重な善後策を検討したいとしている。
 法律の専門家の多くは、今回の当局からの指摘はラスベガスそのものの否定につながりかねない重要な問題を含んでいると見ており、またマスコミの論調も総じてヒルトン側に同情的な意見が目立っている。
 
 そもそも STAR TREK のチケット売場や入口がカジノの近くにあるという背景には、ヒルトン側が始めからそのように意図して設計したという営業上の戦略があり、入場の列に並んでいる間にスロットマシンで遊ぶ者がいることなどまさに “筋書き通り”のことなのである。なにもそのような戦略を採っているのはヒルトンだけに限ったことではなく、ラスベガスにあるすべてのホテルに共通した戦略なのである。その証拠に、あのモンテカルロホテルの人気ナイトショー “ランスバートン”も、話題のショッピングセンター “フォーラムショップス”も、リオスイートホテルの人気バフェも、それらの入口はすべてカジノのど真ん中に造られている。
 そういう意味において今回の当局側からの指摘はヒルトンにとって不愉快であるばかりか、ラスベガスという街全体に広く根付いているコンセプトの是非が根本から問われる問題なだけに、他のホテルの関係者はもちろんのこと、一般市民も巻き込んだ大論争に発展する可能性がある。今後のヒルトンの対応が大いに注目されるところだ。


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