週刊ラスベガスニュース バックナンバー   1997年5月28日号
MGMのライオン、早くも解体処分!
 ストリップ通りとトロピカーナ通りの交差点 “新フォーコーナー”に君臨するMGMグランドホテルの巨大ライオン像は、遅くとも6月末までに解体撤去されることがこのたびのMGMの経営会議で正式に決まった。

 今回の決定に対しては、そのあまりにも早い解体に周囲の関係者はもちろんのこと多くの地元住民も一様に驚きを禁じ得ない様子だ。また、このMGM経営陣の計画性のなさからくる浪費に対して世間の目は総じて批判的で、好意的に受け止めている者はごく少数派だ。

 このライオン像はすでにラスベガスを代表する観光名所となっており、もはや単なるMGMグランドホテルのシンボルではないばかりか、昨年撤去されたトロピカーナホテルのモアイ像なきあとの “新フォーコーナの道祖神”的な存在にもなっている。
 そのようなライオンがたった4年という “年齢”でいとも簡単に “屠殺処分”されることに対して批判が集中するのは当然の結果といえるだろう。

 旅行業界などではもっと深刻だ。パンフレットの表紙などにこのライオンの写真を大きく採用していたり、説明文などの中でこのライオンの話題を大きく取り上げたりしていることが非常に多く、それらの印刷物を全面的に作り直す必要にせまられているからだ。
 実在しない被写体を掲載することによる不要なトラブルや、古いパンフレットを使用し続けることによる会社のイメージダウンを、どこの業者も避けたいと思うのは当然のことだろう。絵ハガキ業者なども同様に頭を抱えている。

 じつはこのMGMは昨年も “エメラルドシティー”や “オズの魔法使いマジックショー”、それにゲームセンターエリアなどを次々と解体しており、旅行業界をさんざん泣かせている。
 たしかに前述のトロピカーナホテルのモアイ像やハラスホテルのリバーボートなどのように、最近は一時代を築いた名所の撤去が相次いでいるが、それでもそれらのほとんどはこのライオンの何倍も長い寿命をまっとうしており、撤去に対する批判の声などほどんど出ていない。もちろんそれらのホテルがMGMほど注目を浴びていなかったという事情は否定できないが、とにかく方針がころころ変わるMGMの経営に対し嫌気がさしている旅行関係者が少なくないことだけはたしかなようである。

 一方、ビジネスアナリストらの専門家は、「失敗を素直に認め積極的に改善していくことはむしろ正しい選択」と、MGMの経営方針に理解を示す向きも少なくない。たしかにエクスカリバーとラクソーは(ちなみにこの両ホテルは同じ資本系列)、その両ホテルを結ぶモノレールを、建設後わずか一年で解体撤去しその跡地に建てたラクソーの新館でとりあえずは成功している。
 このように競争やマーケットの変化が激しいラスベガスにおいては、早すぎると思われる方針転換もある程度はやむを得ないのかもしれない。

 さて、最も気になるライオン撤去後のMGM側の計画だが、なんとそこにはまたライオンが建設されるという。これまでのライオンはいかにも軽量な樹脂製の頭部だけだったが、今度は光り輝くゴールド色に表面処理された重厚なブロンズ製の全身像によみがえる予定だ。そしてその像は周囲を噴水で囲まれた高さ7メートルの台座に乗せられ、今度こそは新フォーコーナーのシンボルとして永遠に君臨するという。なお、重量は50トンで全米最大のブロンズ像になるとのこと。完成は97年末を予定している。


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