週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 08月 26日号
フローズンヨーグルトの業界事情とベガスのおすすめ店
 日本にはまだ少ないのか、それとも味がまったくちがうのか…。
 最近、アメリカ旅行中にフローズンヨーグルトを探し求める日本人観光客が増えてきている。
 今週は、いろいろなフレーバーが混ざったそのトロリとした食感のように、どろどろのカオス状態になっているフローズンヨーグルト業界を追ってみた。

 フローズンヨーグルトとは、ヨーグルトのようなほのかな酸味があるソフトクリーム状の氷菓。それにフルーツやナッツ類などのトッピングを乗せて食べる。
 今に始まったものではなく、存在自体はかなり昔からあったらしい。かつても静かなブームになったことがあったようだが、特に騒ぎ立てるほどのものではなく、食べたい人は食べていた、その程度のブームだった。
 ところが数年前、なぜかそれに火が付き、またたく間に全米に広がった。
 「震源地」はロサンゼルスといわれているが、それより先に韓国でブームになったとする説もあり、発祥の地を争う論争は決着を見ていないようだが、いずれにせよアメリカでも韓国でも共通していることは、韓国系の経営者が市場をリードしてきたということと、低カロリー、健康的、お洒落といったイメージ先行型のマーケティングで成功しているということ。当然のことながらそこにハリウッドスターの名前やエコロジーも加わる。その結果、この食品が何ゆえエコロジーと関係しているのかよくわからないが、内装や容器などがリサイクル製品であることをことさら強調している店が目立つようになった。

 イメージ先行の市場環境に加え、フローズンヨーグルト自体の定義や位置付けがあいまいなためか、個々のビジネスのコンセプトや方向性は似ているように見えてバラツキは大きく、業界全体としての実態も非常に不安定だ。
 どんな業種においても厳しい弱肉強食的な競争があるのは当たり前だが、ハンバーガー、タコス、アイスクリームなどの業界と異なり、フローズンヨーグルト業界の競争は、多店舗型の比較的大きな企業のみならず、個人経営の単独店もたくさん入り乱れているところが特徴で、結果的にそれら単独店がそのローカルでの多店舗化を虎視眈々とねらい、実際に勢力図がひっくり返えるような下克上的な事例もたくさん起こっている。

 そして困ったことにマネの横行もこの業界の特徴で、後発組が先発組のマネをすることなどは日常茶飯事だ。実際に裁判沙汰になっているケースもあるという。マネが多い理由として、商標権などに無頓着な韓国系のオーナーが多いことを指摘する業界関係者もいるが真相のほどは定かではない。
 ちなみにマネの問題は中小企業に限ったことではない。大手の 「ピンクベリー」(Pinkberry)がハリウッド一帯で成功をおさめると、別の会社がそのピンクをレッドに、ベリーをマンゴにそれぞれ置き換えた「レッドマンゴ」(Red Mango)という名前で同じ地区に参入し、それが論争になると、じつはレッドマンゴはピンクベリーの創業よりも前に韓国でこのビジネスを始めていたことが発覚し、逆にピンクベリーがマネをしたのではないかと騒動になるほど、この業界はマネに関する論争がたえない。
 他にも例がある。アイスクリーム業界の「コールドストーン」の成功にあやかろうとしたのか、「ゴールデンスプーン」(Golden Spoon)は、そのロゴの字体やテーマカラーが似ていると物議をかもしている。それでもこの程度はまだいい方で、個人経営のローカルレベルではもっと露骨なマネが横行しているらしい。

 ではどれほど店が乱立しているのか。実際に名前を挙げてみるとこれだけある。
 Red Mango、Pinkberry、Golden Spoon、Yogurtland、Cefiore、yoCup Yogurt、Frosted Cup、Fiji Yogurt、Nuyo、Cherry on Top、Yogurtopia、Yogurt Express、Big Spoon Yogurt、Nubi、Yogurt Time、HeavenLy's Yogurt、Yogurt Creations、Beach Cities Yogurt
 これらはすべてカリフォルニア州に本拠を置く店だけで、全米のリストではない。これから淘汰が始まるのは必至で、今後この業界は一波乱も二波乱もありそうだ。

 業界が混沌としているのはアメリカだけではない。前述のゴールデンスプーンが昨年春、東京六本木で日本上陸を果たすと、そのブームに乗り遅れまいと、アメリカの成功例 「ピンクベリー」 のマネをしたような 「ピュアベリー」 という店が東京渋谷に出現した。さらにそれを追いかけるように同じ渋谷にまぎらわしい名前の 「ピンクスイートベリー」 が登場するが、こちらは半年であえなく撤退。
 そして2年前、オーガニック素材で差別化をはかり西海岸制覇を夢見てビバリーヒルズとサンタモニカに出店したスノーラ(sno:la)は、その後いつまでたっても3号店を出さなかったので心配されていたが、西海岸地区での激しい競争に恐れをなしたのか、なんとこのたび京都に3号店を出店した。
 そして先月、「計り売り方式」で急拡大中のヨーグルトランドが日本でのフランチャイズ展開を開始し、一号店を沖縄に出店。今後、東京や大阪など本土上陸を目指すという。いよいよ日本も乱立の時代に突入しそうだ。

 ちなみに計り売り方式とは、客がセルフでマシンを操作しフローズンヨーグルトを所定のカップに入れ、フルーツなどのトッピングも自由に乗せ、レジでカップ全体の重さを測って料金を支払う方式だ。料金は店によって多少異なるが、ラスベガス地区での現在の相場は1オンス(約28グラム) 33セント前後。
 自分の好きな量、つまりほんの少しだけ盛り付けても、てんこ盛りにしてもかまわないところが人気で、今後はこの方式が主流になると見る関係者は多い。さらにこの方式ではフローズンヨーグルトのフレーバーの種類が多いのも特徴で、その数を競う競争がすでに始まっている。

 さてこの業界の今後はどうなるのか。すでに飽和状態でバブル崩壊との見方がある一方、これからが本格的な大ブームの到来という楽観的な意見もある。たしかにアメリカでもまだこのブームは西海岸やニューヨークなどの都市部が中心で、食べたことがない人はたくさんいるという。
 バブル崩壊か、大ブームの到来か、どちらもそれなりの理由があり予想はむずかしいところだが、少なくとも日本はまだ飽和状態にはなっていないはずだ。それでも今後拡大する前に市場が消滅するということもありえるので、この大ブームの最中にその味を試してみたいという者は、アメリカ訪問の際にそれを実行してみるのも悪くないだろう。

 ラスベガスでの状況はどうかというと、すでに乱立ぎみで、店にとっては厳しい状態になっている。先日、先発組の大手レッドマンゴが、ハードロックホテル前の店舗を閉じてしまった。計り売りを導入していないため劣勢に追い込まれているのかもしれないが、計り売りを導入しているヨーグルズ(Yogel's) もユースワール (U-Swirl) も客の入りは決して良いとはいえない。
 そんな中、ロケーションがいいのか、前述のヨーグルトランドのタウンスクエア店が比較的繁盛しており、観光客にとっても行きやすい立地条件にあるので、行くならばこの店がおすすめだ。  
 行き方としては、ホテル街から二階建てバス DEUCE の南行きに乗り、マンダレイベイホテルを超えストリップのホテル街の町並みが終わると、左手に空港の滑走路が見えてくるので、その次に渡る大きな交差点(もちろん信号機あり)に注意しながら、その交差点を渡って最初のバス停もしくはその次のバス停で降りればそこがタウンスクエア。タウンスクエア全体におけるこのヨーグルトランドの位置関係は、ストリップ側からタウンスクエアを見た場合、左奥(南西側)にあり、アパレルショップ H&Mの目の前。
 店内に入ったら勝手にカップを取って自分でマシンを操作し盛り付ける。トッピングも好きなものを乗せる。あとはレジで計測し代金を支払うだけだ。
 フレーバーは30種類以上あるが、その日に店頭に並んでいるのは16種類。トッピングはナッツやチョコレートなどのドライアイテムが21種類、フルーツが15種類、店頭に並んでいる。料金は1オンス 30セント。
 味のほうは評判がよく、まずかったという話はほとんど聞かない。営業時間は、日曜日から木曜日が午前11時から午後11時、金曜日と土曜日が午前11時から深夜12時まで。



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